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出版新時代14 縦書きと横書き
私は1960年代の後半から文章を書き始め、最初は自分のNoteに日々、好きなことを書いてきた。1972年にロッキング・オンを創刊して、自分の頁を確保したので、自分の部屋でNoteに書いていたようなことを公開した。もちろん、雑誌はパブリックなものなので、「読まれる」という前提での文章になる。私的なNoteから公的な雑誌に移行することによって「読まれることを前提に書く」という意識のシフトができた。それもいきなり一般誌に書くのではなく、自分たちのメディアなので、半分プライベートで半分パブリックの意識で移行できた。
生まれた時からネットで書いている人は私から公へのシフト変換ができていないのではないか。「読まれることを前提に書く」という意識が薄い人が多いように思う。書きたいことを書くのは私的なNoteだけにしておいた方がよい。ネットの時代は、今日書いたことも、10年前に書いたことも、同列に並べられる。常に「読まれることを前提に書く」という意識がメディアの上では必要な態度だと思う。
さて、70年に本格的に原稿を書き始めて、最初は原稿用紙に縦書きで書いた。ロッキング・オンでは専用の原稿用紙を印刷して、著者に配った。私が写植屋なので、バラバラの原稿用紙で書いてこられると効率悪いので、1段18文字で線を引いた原稿用紙を作った。
その時代、雑誌も書籍も縦組みであった。だから原稿用紙は縦組みが基本。自宅のNoteに何か書く時は横書きである。横書きの方がスピードが早い。
やがてワープロやパソコンが登場して、通信機能がついてメールや掲示板が出来ると入力はキーボードになり、わざわざ縦組みで入力する人はいなくなった。現代は、入力も出力も横組が基本である。
しかし、読む時は縦組みが読みやすい。これは長年縦組みの本を読み続けた体質なのかも知れない。ただ、写植屋をやっている時に「縦組みと横組み」の意味を考えて書いたことがある。確か、こういう文章だった。
日本語の縦書きというのは、単語が氷柱(つらら)のように重なって落ちていくもので、西洋の横書きは単語単位が並列して並んでいる。思いを伝えるには縦書きがよく、情報の意味だけを伝えるには横書きの方が効率がよい。
70年以後、英語の単語がたくさん日常用語に入ってきて、縦組みだと組みにくいし読みにくいので、横組の本が増えた。コンピュータ関連の本で縦組みはあまり見たことがない。
岩谷さんの本を作っていて、外国のミュージシャンや曲名がたくさん出てくるので、これはやはり横組の本になるかなあ、と思っている。
『イコール』も橘川や久恒さんの『イコール』は縦組みだが、田原くんの『イコール』は国際版なので横組である。
縦組み、横組みの選択は編集者が決めるが、単なるイメージだけではなく縦組みと横組みの構造的差異を考えた上で選択した方がよいだろう。
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