huluオリジナルドラマ『十角館の殺人』ネタバレ感想
毎日1話ずつ楽しみに見ようと思っていたこのドラマ、次が気になって結局未明までかかって最後まで視聴しました。
当noteでは基本渡邉美穂さん関係の記事ばかり書いていますが、たまには別ジャンルの記事も書いていきたいと思っています。というわけでこのドラマには渡邉美穂さんは出演されていませんのでご注意ください。
さて、原作は未読というか、十角館に到着するあたりまで読んで恥ずかしながら放置しておりました。今回ドラマ化ということでこうなったら原作未読でネタバレなしでドラマを楽しもうと待っていた次第です。
興奮冷めやらないので寝ずに感想書いてみました。冗長かつ要領を得ないところも多々あると思いますがご容赦ください。
全ての事象は網羅しきれていませんが、果てしなくネタバレしておりますので、原作及びドラマ未視聴の方はまずご覧になるか、ブラウザバック推奨いたします。
冒頭
メッセージ・イン・ア・ボトル
犯人らしき人影がこれから起こす犯罪を書き記したメモをボトルに封じて海に投げます。最後の審判を人ならぬもの(=神)に託そうと。
もし完全犯罪を成し遂げたとしてもこのボトルが誰かの手に渡ったら天意に従って自らも裁きを受けるということですね。
何か覚えがあると思ったらアガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』のオマージュでした。
ニックネーム呼び
角島(つのじま)へ向かう船の上でK大学ミステリ研究会の面々がお互いをニックネームで呼び合います。
それぞれミステリー作家の名前にちなみ、
そして本名は出てきません。
え?名前出てこないの?
少し戸惑いましたが、お互いミステリー作家を気取ったニックネームで理屈っぽく鼻持ちならない応酬を行うというすごく恥ずかしくなってしまう冒頭のやりとりに紛れて本名が記載されないという違和感は忘れてしまいました。
これがのちのち効いてくるのが憎いところです。
十角館
K大学ミステリ研究会の面々が合宿する十角館ですが、無人の孤島に立地しているとのことでまず思ったのが。
電力や上下水道ってどうなってるの?
ここらへんお話やトリックに関係ないのですがすごく引っかかりました。
電力はおそらく燃料による自家発電で賄えそうですね。
飲み水や生活用水も孤島に上下水道はないでしょうから、島内に井戸があるとか定期的に運ぶ水を使用するかでしょうかね?
トイレは水洗なのか?汲み取り式?
本題に入る前に妙なことで引っかかってしまいました。
そして一週間分の食料や物資は?
という疑問もありましたが……。
十角館上陸
ヴァン
前乗りしていた「ヴァン(S・S・ヴァン・ダイン)」が出迎えます。ヴァンの叔父が十角館を買い取ったことにより実現した今回の合宿のために、食料や物資も事前に準備してくれていた感じですね。
一週間寝泊まりするには明らかに手荷物が少なそうで勝手に心配していましたが安心です。
さてヴァンは風邪気味でマスクしています。
この時は全然違和感なし。お大事に〜って感じです。
ドイル
島田潔と一緒に探偵役になる河南孝明はK大学ミステリ研究会の元メンバーで、今回合宿に参加しておらず、本土で推理にあたります。
「河南→かわみなみ→こうなん→こなん→アーサー・コナン・ドイル!」ということで彼のニックネームは「ドイル」。
あーなるほど、ニックネームは名前にちなんでいるのねと納得してしまいました。
守須恭一
ドイルと島田潔が訪ねた、守須恭一もK大学ミステリ研究会の一員で、さっきの「河南→→コナン・ドイル」の流れがあるから、「守須→モーリス・ルブラン」で守須のニックネームは「モーリス」でいいんですよね?ここは流れで思っちゃいました。
この守須さん、絵を描き上げないといけないので合宿にも行かなかったそうで、調査に同行せず今回は安楽椅子探偵に徹するそう。
ここで「この人が犯人だったら意外だな?」と脈絡もなく思いました。
というのも一読して犯人ではありえなさそうな人が実は真犯人だったということが推理小説では往々にしてあるので、メタ的に当てずっぽうで思ったわけです。
その後いろんな情報が出てくるのでそのたびに疑う人は変わっていきましたが。
島田潔
すごく適当そうな自由人だけど、コミュ力半端なくて、実はすごく推理能力が高そうな方。ドイルを振り回しつつ謎に迫っていく天才肌タイプですね。
どんな危地に立っても泰然と対処できそうな人ですごく憧れます。
青木崇高さんはちりとてちんに出てた人だ!それとNHK大河でも良く拝見する!とテンションあがりました(もっといろいろ出演されているでしょうが)
中村紅次郎
絶対この人怪しい!何か隠してる!って最初から思ってました。
東京03の角田晃広さんは演技もお上手ですよね!
私の推しの渡邉美穂さんとコントで共演したこともあり、大好きなお笑い芸人さんです。
現れたプレート
翌朝忽然と現れた7枚のプレート。
合宿参加者が7名でプレートも7つ。7人のうち誰かが犯人?そう思ってしまいます。
一人は探偵ならその人は死なないのかな?とも思いました。
オルツィの死
第一の被害者と部屋にプレートを貼られたオルツィが絞殺・左手首が切られ行方不明。
もう死に顔が鬼気迫っていて、そりゃポウならずとも見るな!って言いますよね。
ただこの時点ではポウが犯人の可能性もあるので、みんなに遺体を見せずに検死していたのは少し怪しかったです。
生前オルツィは何やら責任を感じていたようですね。この時点ではぼんやりですが。
カーの死
カーはアガサの用意したコーヒーを飲んだ後苦しみだし死亡。毒殺のようでした。
カーは女性陣に振られた前歴とか、酒癖悪いとか、オルツィが死んだ後、挙動不審とか、なかなかいけすかなかったですが、やはり可哀想な死に様でしたね。
翌日には左手首が切られており、部屋には第二の被害者プレートが貼られます
ここらへんで、ん?待てよ?と。
7名が合宿に参加することを知ってあらかじめ準備できるのは合宿参加者で、そのうち前乗りして準備していたヴァンって怪しくない?
ヴァン怪しいなと一瞬思いましたが、事件が矢継ぎ早に起こるのですぐに忘れました。
アガサの死
長濱ねるさん、欅坂のころから好きだったんですよね。
そのねるさんアガサ、無人島でもオシャレコーデで下級生のルルウを顎で使う女王様っぷりが最高でした。
しかし殺人が起こり、自分の注いだコーヒーでカーが死ぬなどで半狂乱になっていきます。
アブノーマルな感想になりますがすごく良いです(しみじみ)
そんなアガサも毒殺されちゃいます。悲しい(しくしく)
口紅💄変えなきゃ死ななかっんじゃない?
でもオシャレなアガサのこと、二本持参しているならいずれは両方使った事でしょうね。
ルルウの死
中村青司と中村千織の関係に気づいたルルウ。
この時点ではルルウが何を確かめようとしているのかわかりませんでした。
え?何か親子関係以外に何かあったっけ?といぶかしく思いました。
そういえば我々は当初からドイルと島田の調査で親子関係を知っていましたが、ルルウ達ミステリ研のメンバーは知らなかったんですね。
だいたい真実に気付いた人は次の場面で殺されるというメタ的予想通り、ルルウは殺されますが、屋外での撲殺という、これまでの殺し方とは違う場当たり的な殺し方に、犯人にとっても予定外のできごとのような印象を受けました。
偉いエラリイ
青屋敷跡の隠し地下を見つけたり、ルルウの死体のそばの足跡に気づいたり、一つだけ十一角形のカップに気づき、さらにはそれが十角館の下の十一番目の部屋の入口の鍵と看破するという、もうすごく冴えまくりのエラリイ。
マジックも上手いし、リーダーシップもある。
惜しむらくは話し方が鼻に付くのが難点。
さて、その彼の大活躍で、当初の当てずっぽうをすっかり忘れ、エラリイが主張する中村青司犯人説に引っ張られていました。
ポウの死
医学部生でオルツィとも幼馴染ということがわかったポウ。
時代背景もあり、みんなタバコ吸い過ぎですが、自分のタバコで毒殺されるという最後を遂げます。
この時もエラリイ・ヴァンもタバコをもらっていますので、誰が死んでもおかしくありませんでした。
それにしても、カー・アガサ・ポウと三人も毒殺って、毒多すぎ!
かといって何も口にしないわけにはいかないですもんね。
医学部生ということで犯人と疑われていましたが、ポウでもなかったか~。
中村千織
最初にドイルや守須が受け取った「お前たちが殺した千織は、私の娘だった。」という手紙や、ポウが心臓マッサージをする回想シーンで、中村千織が何らかの事故か持病で部室で亡くなったというのが徐々に明らかになってきました。
この時点で千織さん誰かと付き合ってなかったの?とちょっと思いましたが、「私の娘だった。」という言葉でどうしても中村青司を思い浮かべて恋人関係はあまり考えませんでした。
不在の多い中村紅次郎
この方、序盤以降はドイルと島田が訪ねても全然会えないので、「こいつ絶対島行ってるやん!」って思ってました。
それに度々出てくるヨットの写真で海にも強そうですし!
中村青司の犯行動機と妻和枝の左手首を切った理由
千織が実は紅次郎と和枝の子で、不義密通を疑いつつも千織が自分の子だと信じたかった青司。
しかし千織の死で妻の愛に確信が持てなくなって、永遠に自分もものにするために和枝を殺害、弟の紅次郎の元に左手首を送り、その後使用人夫婦も殺害し青屋敷に火を放って自殺したというのが真相でした。
義姉と密通して子をなしていた紅次郎への復讐の気持ちももちろんあったことでしょう。
これ何だか気持ちわかるんですよね。
すごく不健康で利己的かつ独善的な愛ですが。
十一番目の部屋
十一角形のカップを使って十一番目の部屋に入ったエラリイとヴァンはミイラ化した死体を発見し驚きます。
え?これは青司?庭師の吉川誠一?
混乱しているうちに次のシーンになってしまいました。
ただ死んでからかなり時間が経っているようですね。
十角館全焼・ミステリ研メンバー全員死亡
灯油をかぶって自殺したエラリー
どうやら他のメンバーを殺して自殺したことになっているらしくてプチパニック。何があったんや?
本名も「マツウラ・ジュンヤ」らしくて、全然エラリイ要素ないやん!
あの一行
と思ってたところに、島田修警部よりついにニックネームについて質問が!
あーーーー!やられたーーーー!
髪型の違いとメガネとマスクの有無も相まって全然わからなかった!
ここで4話のラストでした。
この時点で午前3時くらいでしたが、このまま寝るわけにはいきません。
メンバーの本名
5話冒頭のニュース番組で全員の本名判明。
はい、全然ニックネームと名前に関連性ありません。
河南=ドイルに惑わされましたね。
そして、あの憎たらしいカーが爽やかな写真すぎて同一人物とは思えないぞ。
ということで当然ヴァン=守須の名前はなく死人は6人。
先ほどの衝撃から回復して、全員死んだからヴァンの滞在は誰にも知られなかったんだなということがようやく実感できました。
けど、そんなことできるのー?ってまだ半信半疑。
ヴァンの計画
アリバイ工作でドイルや島田と会いつつ、ゴムボートで島を往来、ヴァンとしてメンバーとやりとりしつつ、殺害も行うという超人プレイ!
絵もちゃんと描いてるよ!と少しずつ描きあがってきている絵を数枚用意しているなど芸が細かいです。
オルツィを最初に殺したのは、千織に好意的だったから慈悲をかけたようなことを言っていましたが、その実、千織と守須のイニシャルが入った指輪もオルツィが形見分けに貰って付けていたので、回収したいが、指輪だけ無くなると怪しまれるので、見立て殺人として左手首を切り取ったという、かなり利己的な理由でしたね。
千織の恋愛相手
ヴァンと付き合ってたんだね~、サークルのみんなには内緒にしてたんだね、わかる、わかるよ。自分もそうだったもん。
ヴァンの気持ちは男の私にはすごくわかる。
これって先述の青司の歪んだ愛と根っこは同じ気がするんです。
二人だけの時間を大切にしたいヴァン。
独占したかったんですよね。
千織の死
自分も大学時代サークルに入っていたので部室で飲み会とか結構ありました。でも飲めない女の子に無理やり飲ますとかはなかったなあ。
千織も無理やり飲まされたのか、自分で飲んだのか、心肺蘇生をしたのかしなかったのか、当事者の証言とヴァンの思い込みに差があって、本当はどちらなのかわからない感じです。
ただ病院で「あの子が自分から飲んだんじゃない!」「あれは不幸な事故だよ、誰も悪くない」というアガサやエラリイの言葉を聞いたヴァンが、千織の救命処置をせずミステリ的な邪悪な喜びに浸っているメンバーを想像してしまうくらい怒ってしまったのも無理はないでしょう。
原作ではどう描かれているかわかりませんが、実際はお酒の無理強いはしなかったし、救命処置もしてたのだと思いたいです。
でもお酒は心臓の病に悪影響なのに千織が羽目を外すか?というのもなかなか考えにくく。
それにしても死に顔がひどくて辛い。
十一番目の部屋はヴァンも知らなかった
ヴァンも知らなかったのかー!
ほんとエラリイ凄いね、惜しい人を亡くしました。
そしてミイラは庭師の吉川誠一だったんですね。
捜査の幕引き
警察はエラリイを犯人として捜査の幕引きを図ります。
最初に送られた手紙は無関係ないたずらとして処理される模様。
まあこれって当時の時代背景を考えると、科学捜査にも限界があったろうから仕方ないと言えば仕方ないでしょう。
現代ならたとえ十角館が消失しても、島全土からヴァンの毛髪とか絶対見つかりそうなものだと思いました。
諦めないドイル
失意のうちにいったん諦めたドイルでしたが下宿のおばちゃんの叱咤により復活。
海岸で守須を探し当て自分の推理を話し始めるので期待!
でも、それはエラリイと千織が付き合っていたのが殺人の動機なのでは?というエラリイとヴァンを入れ替えればほぼ正解の推理。
生前の会話で、千織が指輪を皆の前で付けたがっていたのを彼女から聞いていたドイル。
恋人と付き合ってることを皆に言いたかったんじゃないか、恋人のことを隠そうとしたのは辛かったのでは?とドイルは話します。
それを聞いたヴァンは、千織が死ぬ前の飲み会でヴァンともっと話したいと引き留めたのを拒絶したことを思い出し、「僕が千織を殺した」と自責します。
自分の事で恐縮なんですが、結構これサークルあるあるなんですよね。
隠れて付き合っている男の方が二人きりになりたいのに、彼女はサークルメンバーと遊びたい。サークルメンバーとわいわいしている彼女を見るのはいたたまれずその場から離れてしまう。
あー古傷が痛みます。
話がそれました。
そこに島田が現れます。
ああ、わかっちゃいましたね!島田さん!
これは先ほどの仮説の千織の恋人はエラリイではなくヴァンではないかと考えてるんですね?
でもヴァンに「もうやめましょう、全て終わったことです、全て」と言われちゃいます。
きっと島田は真相に辿り着いたんだと思います。
そしてヴァンも島田が看破したことに気づいた。
だからバッサリ突っぱねたのでしょう。
審判
このままだとヴァンは完全犯罪を達成します。
意を決して二人の元を去るヴァンの足元に流れ着く見覚えのあるボトル。
ヴァンは審判が下ったと悟ります。
ヴァンは砂浜で遊ぶ子供にボトルを渡し、ドイルと島田に渡すように頼みます。
ヴァンとの関係を皆から祝福され幸せに生きたいと願った、千織の気持ちを今になって知り。
結果的にそれをないがしろにしてしまった自分への怒り。
その怒りを浄化するためには、ボトルを渡すしかなかった。
今度は自らが裁かれるために。
最後に
夢中で観終わった四時間でした。
ぐいぐい引き込まれ最後まで引っ張る疾走感は、もちろん原作の力が大ですが、それを見事に映像化したプロデューサー・監督・脚本家・撮影スタッフ、素晴らしい演技で物語を紡いだキャストの皆さんの力によるところ大です。
いわゆる叙述トリックものに分類される本作、ネタバレなしで視聴したので、完全に騙される心地よい驚きを味わうことができました。
キャストのみなさんの演技も素晴らしく、不謹慎ですが、死に顔がそれぞれ鬼気迫っていました。これは地上波ではなかなかできない配信ならではの表現ではなかったでしょうか?
ドイルと島田のバディーものとしての側面も楽しく、いわば知的ゲームとしての殺人事件の推理という少し倫理観から外れたエキセントリックな部分(特に島田)を奥智哉さんと青木崇高さんが見事に演じておられました。
あと個人的で恐縮ですが、長濱ねるさん最高でした。大学時代のサークルでこんな綺麗で女王様気質の先輩がいたなあと懐かしくなりました。お気楽無人島生活から仲間がどんどん死んでいく狂気の演技の振り幅素晴らしかったです!
長々と書いてきましたが、思い違いなどあるかもしれません。気づいたら随時追加・修正したいと思います。
それでは最後までお読みいただきありがとうございました!
(終)