遠隔作業支援とは?AR(拡張現実)を使った最新サービスを紹介
今回は遠隔支援(遠隔作業支援)についてご紹介します。
遠隔支援とは
遠隔支援(遠隔作業支援)とはその名の通り、遠隔で支援することです。しかし、近年の遠隔支援ツールにはデバイスや手段の面で、従来とは異なる特徴を有しています。
まずデバイスですが、従来は遠隔支援というと電話がメインで、スマートフォンやタブレットに留まっていました。しかし、近年はPC対スマートフォン・タブレット間での遠隔支援も可能になってきた他、スマートグラスの活用も徐々に始まっています。
スマートグラスは、サングラス型のデバイスにさまざまな機能を付加した商品です。時間確認のほか心拍数の測定などができる時計がスマートウォッチと称されたように、ウェアラブルアイテムのひとつの形として近年注目されています。
具体的な商品としては、Microsoft(マイクロソフト)のHoloLens2やパソコンメーカーとして有名なLenovoのThink Reality A3などを中心に産業利用が進んでいます。また、2023年6月にはAppleが初のスマートグラスApple Vision Proをリリースしたことでも注目を集めています。
また手段としては、ただの電話に留まらずビデオ通話を利用することも増えてきました。電話に比べて視覚情報の伝達が可能になったことにより、その利便性は大きく向上しています。しかし、それでもまだ指示が言語に依存してしまうため不十分であったと言わざるを得ません。
そこで登場したのがARを活用した遠隔支援です。ARを利用することにより、支援者側は相手側の空間への描き込みが可能になり、従来より細かな指示ができるようになりました。ついに遠隔支援は、直接現場に赴くのとほとんど変わらない精度で情報伝達ができるようになったのです。
なぜ今遠隔支援なのか
この章ではなぜ今このタイミングで遠隔支援を導入するべきなのかを解説します。
2020年に流行が始まった新型コロナウイルスが落ち着きを見せる昨今、マスクをする人は日に日に減り、世間はコロナ禍以前の生活を取り戻そうとしています。製造業や建設業などの仕事の場でも、せっかく導入したテレワークが終了し、再び満員電車での通勤が始まるなどしています。
しかし、新型コロナウイルスの危機が去った今もなお、日本の産業はかつてないほどの危機に晒されているのです。それが少子化による人材不足と高齢化によるベテランの引退です。
製造業従事者に関して言えば、現状でさえ20年前と比べると100万人も減っています。しかし、少子化は留まることを知らず、今後も労働人口は減少していき、人材確保が難しくなることに疑いありません。
ここで人材確保の方法を強化することも大事ですが、何よりも重要なのは少ない人数でも成果を維持・向上するための生産性の向上でしょう。そして生産性の向上のための手段の中でも、導入が簡単で、成果が出やすいものの一つが遠隔作業支援なのです。
遠隔作業支援により出張が削減されれば、労働者としては時間や労力ともに大きく軽減され、他の業務により一層集中できるようになり生産性が向上します。また、費用面で見ても単純に出張費が軽減されるだけでなく、遠隔による迅速な対応でダウンタイムが短縮され機会損失も大きく削減されます。
また、ベテランの引退による損失も深刻です。団塊の世代が70代後半にさしかかり、いよいよ多くのベテラン人材の引退が迫ってきました。この引退は属人化を未だ抜け出せていない企業にとって致命的なものとなります。
ベテラン人材を引き留めることももちろん重要ですが、彼らの引退は絶対に避けられない以上、彼らが現役のうちにその技量を保存し次世代に継承することが重要なのです。そしてその手段としても遠隔支援は重宝されます。
遠隔作業支援により、ベテランが遠隔で迅速に新人をサポートできるようになると、ベテラン一人に対して複数の新人がついて学べるようになる他、遠隔支援に付属する録画機能によりベテランの技能の保全が可能になり、新人教育用の教材がよりわかりやすく、そしてより作りやすくなります。
遠隔作業支援により、ベテランの貴重なスキルを保全、新人に継承し、人材の標準化を成し遂げて持続可能な産業を作り上げましょう。
これらに加えて、近年の環境への配慮の重要性の向上も遠隔支援の導入を後押しします。SDGsが世間に浸透し、社会全体として環境への配慮を重要視する傾向が強まっているほか、欧州を中心にESG投資が広がっています。環境への配慮が業績に繋がる時代になったのです。
そして、遠隔支援は環境保全へも貢献します。遠隔支援により出張が削減されれば、移動、特に二酸化炭素排出量の多い自動車での移動も同時に削減され、環境への負荷を減らすことができます。このような小さな取り組みであっても、行うことが重要なのです。
どの業界で使えるか
遠隔作業支援は製造業や建設業、特に出張の多い業界や技術者と労働者が離れているような現場で多く利用されています。最近は医療業界や商社の方の利用も増えています。
上記の業界は対内的なやりとりで遠隔作業支援を利用する事例が多いのですが、対外的なやりとりでも遠隔支援は大いに役に立ちます。
例えばテクニカルサポートでの利用です。テクニカルサポートとは、お問い合わせ窓口の中でも特定の商品の技術的サポートに対応する部署のことを指します。ただの問い合わせ窓口と異なり、商品の細かい仕組みなどを説明する都合上、通常の電話で言葉だけでの伝達が著しく難しい場面が起こりがちになります。
そこで役に立つのが遠隔作業支援です。AR機能を用いて相手側の空間に矢印などで指示を書き込むことができる他、双方向に映像を用いたやり取りができるようになることで支援者側が同じ製品を持って見せながら説明することができるようになります。
説明を効率的に行えるようになると、一件あたりの対応時間が短縮されテクニカルサポーターの負担が軽減される他、顧客側にとっても満足度が大きく向上します。また、遠隔支援に付随する録画機能により問い合わせ内容が映像とともに保存されることによって、想定問答集や製品説明の充実など新人教育の充実に役に立つほか、製品理解・顧客理解がさらに深まります。
さらに具体的な費用の話をすると、電話上での解決が難しかった場合、顧客の製品を郵送してもらうか、顧客側に訪問することになるかと思いますが、遠隔作業支援の導入で従来よりもサポートの質が上がると、このようなケースも減り、送料や出張費を軽減することができるようになります。
遠隔支援導入のメリットとは
遠隔支援導入のメリットは大きく分けて3つあります。
無駄なコストの削減
まず最初は無駄なコスト、主には出張費の削減です。遠隔作業支援の一つ、『MetaAssist』は月額5万円です。一見すると高額のようにも感じますが、例えば遠方の顧客対応が『MetaAssist』のおかげで遠隔で済んだ、というケースが月に一件でもあれば、交通費やホテル代も勘案すると十二分に元が取れるのではないでしょうか?
加えて工場の整備や異常時の対応に活用したい、というケースであれば、遠隔作業支援による技術者の到着を待たない迅速な対応によって、ダウンタイムが一分一秒でも短縮されれば、それによる利益は計り知れません。五万円なんて比較にならないほどです。
有資格者・ベテラン人材の負担軽減
次に紹介するのは有資格者・ベテラン人材の負担軽減です。社内で一社員のみに負担が偏っている、というケースはないでしょうか?「トラブル対応がその人しかできないから」など様々な事情があるかとは思いますが、そのために彼らを出張に赴かせるのはスキルの無駄遣いではないでしょうか?出張を削減すれば、有資格者はもっと他の業務に集中できるようになります。
そうでなくとも一部の人材に負担が偏っている状況は彼らの離職に繋がりかねません。有資格者・ベテラン人材ほど失いたくない人材であるはずなのに、彼らの技能故に酷使して離職されてしまったら元も子もありません。
出張という社員にとっての大きな負担を少しでも削減して、労働環境を向上し、離職率を下げることが求められているのではないでしょうか?
ナレッジの蓄積を始められる
最後に紹介するのは、ナレッジの蓄積を始められることです。ここでいうナレッジとは知識や技能、また様々なケースのことを指しています。
前述した通り、団塊の世代をはじめとした現在のベテラン人材の引退が間近に迫っている中で、彼らの知識の保全は最重要事項です。同時に蓄積したナレッジをどのように若手人材に継承していくかも考えなくてはいけません。
そこで活用できるのが遠隔作業支援です。何か別に録画の準備をすることなく、遠隔作業支援を使えば自動的に録画が開始され、その映像が蓄積されていく手軽さ。そして、一人称視点でのわかりやすい映像が撮れる点でナレッジの蓄積には最適と言えます。
以上3点を遠隔作業支援のメリットとして挙げましたが、この他にも出張が削減されることで二酸化炭素排出量を減らすことができるなど多くのメリットがあります。詳しいメリットや事例を知りたい方は、以下のリンクからお気軽にお問い合わせください。
問い合わせ:https://metaassist.jp/#contact
遠隔支援導入時に気をつけること
これまでは遠隔支援の良いところを紹介してきましたが、この章では遠隔支援のデメリットや導入に際しての注意点などを紹介していきたいと思います。
まず、費用対効果を見定めましょう。先ほど紹介した『MetaAssist』は月額5万円ですが、これは出張が全くない企業や自社内で保守保全業務を完結できる企業にとっては費用対効果がよくない結果となってしまうことは想像に難くありません。
そのため、導入を検討される際には、自社の出張の頻度や工場の不慮のダウンタイムの長さと頻度、それによる機会損失などを考慮することはもちろんのこと、遠隔作業支援の運営会社と打ち合わせを重ねて利用イメージを固めることも重要です。その上で費用対効果を考えてみましょう。
次に遠隔作業支援の操作感というのも重要です。遠隔作業支援の中でもAR機能を搭載したものは最新技術を利用しているため使用感が会社によってバラバラです。電波がどのくらい必要か、操作は直感的か、作業者の邪魔になるような作りになっていないかなど、あらかじめ確認しましょう。
特にテクニカルサポートなどB2Cの場面で遠隔支援を導入しようと考えている企業にとっては操作方法などの使用感が最重要でしょう。この操作が複雑で遠隔支援自体が使いにくいものだった場合、かえって顧客満足度を低下させてしまうこととなります。
また両手を開けて遠隔支援を利用したい現場においては、スマートグラスを導入することになると思いますが、スマートグラスは未経験の方が多いような先進デバイスです。現場にスムーズに導入できるかなどの検討をしっかりと行わないと、せっかくの遠隔支援やスマートグラスが無駄になってしまいます。使用感の検討は非常に重要です。
ただ、ほとんどの遠隔支援の運営会社は2週間から1ヶ月の無料トライアル期間を設けています。トライアルでの現場からのフィードバックを勘案しながら、使用感の検討するのが良いのではないでしょうか?
導入事例紹介
ユースケース:ロボットメーカーA
A社における課題の一つは、定期的にある海外サービス拠点に対する指導のコストが高いことでした。指導の際には毎回現地職員を日本に召集していたため、彼らの旅費やホテル代を負担しなければならないことは、経営を圧迫していました。
そこで導入したのがAR機能を搭載した遠隔作業支援『MetaAssist』です。AR書き込み機能により、複雑な機械部品にもARで適格指導ができるようになった他、ハンドツールにより細かい手の動きを伝えられるようになり、遠隔でありながら側についているのと変わらない精度での指導ができるようになりました。これは従来のビデオ通話機能のみの遠隔支援では成し得なかったことです。
加えて『MetaAssist』に搭載された多言語同時翻訳機能も重宝されました。日本の技術者が通訳を解することなく直接指導できるようになったほか、会話内容が文字起こしされ自動保存された議事録が新人教育用の教材作成に大いに役に立ちました。
以上の機能が備わった『MetaAssist』により、A社は海外サポート拠点からの出張費を大幅に削減することが可能になり、さらには同時翻訳機能のおかげでより広い担当者が指導にあたれるようになり、一部の人材への負担集中を回避できるようになったのです。
まとめ
今回は遠隔支援・遠隔作業支援、その中でも最新のARを活用した遠隔作業支援についてお話しされていただきました。何はともあれ、ARを用いた遠隔作業支援はその使用感が大事なので、少しでも興味を持っていただけた方は、ぜひトライアルを申し込んでみてください。以下のURLよりトライアルの相談や遠隔作業支援『MetaAssist』の詳しい話を聞くことができます。ぜひお気軽にお問い合わせください。
問い合わせはこちら:https://metaassist.jp/#contact
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