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Zガンダム全話鑑賞log(クソ長閲覧注意)

二徹してZガンダムを見ました。気の利いた評論は書けませんが、
そもそも50話あるアニメを数千字でまとめてたまるかという気持ちもある。
もっとこう、いろんなテーマや描写が混線しているイメージなんですよね。
そのカオスさ、難解さ含めてZガンダムのカルト的な魅力だと思うので。

35000字あります。ほんとすみません。感想と考察と論評とツッコミが入り乱れた、まさに怪文書・・・・

これはあくまで鑑賞中に別ウインドウで書いたものが時系列順に陳列されているだけで、
論評やレビューとして読むには読みやすさのかけらもないです。


1話「黒いガンダム」

なんとZの最初のセリフは「んん・・・」というクワトロバジーナの唸り声だったんですね。これは発見でした。演出の拘りを感じます。

初っ端から登場するリックディアスや、コンピュータの自動アナウンスがついている交通機関の描写が、初代ガンダムからよりSF的に拡張された新しい時代を感じさせる。
リックディアスのデザインってそれ単体が「ゼータ」のデザインを象徴していますよね。
ガンダムのメカっぽさと、ぽくなさが共存しているという意味。大好きなデザインです。
劇伴「カミーユ・ビダン」が相変わらず美しい。

そして「黒いガンダム」の登場。主人公陣営の人間がコロニーに侵入し、ガンダムにバルカンを浴びせられる。初代1話との対照なんですかね。

Zの1話って初めて見た時は釈然としない印象が強かったですが、
閉じ込められているところにガンダムが降ってきて非日常に連れ去られる、という展開は改めて見るとかなり王道。

まあカミーユがアグレッシブな主人公すぎてあまり「等身大の少年」には見えないのが難点ですが。

2話「旅立ち」

1話の段階ではクワトロがシャアであることは視聴者に対して明示的ではありませんでしたが、今回は初っ端から「アムロレイ?ララァスン?」とかほざくのでもうバレバレですね。

1話は富野節控えめでしたが、2話はかなり富野を感じるセリフが増えてきます。

「エゥーゴなら、戦わなければならんのがティターンズだ!」

「連邦軍は、いつになったらここが地球と地続きでないってことがわかるんだ!」

そこまで過激な言い回しでも無いのに、脳みそが富野構文を認識して喜んでいます。

市街地にもがっつり戦闘の被害が出始めてだいぶガンダムっぽくなってきました。その意味で1話は全然ガンダムっぽくないんですよね。

当たり前のようにしれっとmk2に乗り込むカミーユ。ガトーかよ。
そして曲がりなりにも主人公がようやくガンダムに乗ったかと思うと・・・

一方的に殴られる、痛さと怖さを教えてやろうか!!!!つって生身の人間相手をバルカン砲で脅しにかかる。永遠に語り継がれる超展開ですね。もはや語る必要もないレベル。
乗るまでの経緯も変だし、乗った後も結構変。さっき王道と言いましたがやっぱりZの序盤はエキセントリック。

そしてカミーユは生家を失う。神話のテンプレ的展開

神話のごとく、英雄への試練は続く。明確な通過儀礼の描写があるんですね。

例えばクワトロはコロニーの穴にわざとトリモチを張り、その隙間を通り抜けるようカミーユに求める。まさにイニシエーション。

その後もアーガマのメガ粒子砲の弾幕の中をわざわざ通り抜けたりする。
そんなわざわざ死の淵を攻めなくていいとも思うけれど、これも「旅立ち」に伴う試練なので物語的な必然性がある。

まだ黒いはずのカミーユのmk2が太陽に照らされて白く見える。

「ああ、とても懐かしい感じがする」

帰る場所=家を喪失したカミーユは宇宙の中に帰る場所、安らぎを得る場所を見出しているように思える。

3話「カプセルの中」

ここに来てゼータ劇中初のナレーション。ここまで一回も無しでした。

そしてライラが登場。ガルバルディのパイロット。この回の見せ場はない。

いよいよニュータイプ概念への言及も始まります。

「ニュータイプはエスパーではありません・・・」

ここでカミーユの父親だけでなく母親もガンダムの技術者であることが示されます。母親までズブズブなのは初代とは違いますね。

アーガマの描写が記憶より細かいです。マクロスとかも記憶に新しい頃でしょうし、1985年当時の視聴者はこれ変形して超巨大モビルアーマーになると予想してたんじゃないでしょうか。

カミーユがティターンズのmsに詳しい。この事がアーガマの中でのカミーユの居場所を作っていくのでしょう。

でも彼の出自こそが災いして、両親を人質に取られ、母親はこの話数で見せしめの如く惨殺される。これも初代と全然違う。

初代において、母親との離別のドラマは正直シャアとの交戦なんかどうでもよくなるくらい大きなインパクトを持っていますからね。その次の作品で母親が序盤でいきなり惨殺されるわけです。

残虐なことをするティターンズ側の人間達が自分たちの作戦内容を知らないままやらされていた、というのはありがちだけど面白い。

あと多分カミーユが3号機ではなく1号機に乗り込んでいれば、ジェリドはエマと誤認して母親のカプセルを撃てなかったはず。(ジェリドのセリフがこれを暗示している)そういう分岐点が用意されていながら最悪の方向に向かっていってしまったんだな・・・と思ってしまう。

4話「エマの脱走」

ジェリドのハイザックを殴りつけるカミーユ。サーベル使えば絶対殺せるのに母親の死んだショックで頭が回ってないんでしょうね。

エマが割って入ってからやっとサーベルを抜く。でももう遅い。

エマは味方側に寝返った途端、なんの気遣いもせず自分が知りたいことだけを問い正した挙句、カミーユに一方的にビンタを食らわせる

カミーユが父親に母親が死んだ旨を伝えた時も、父親も彼に(まあ彼の皮肉に反応してですが)一方的にビンタする。

1話から描かれる一方通行のコミュニケーションのリフレイン。

そしてジェリドとカミーユの会話!面白すぎてブレンパワードかと思いましたわ

「母さん、母さん、かい。俺は知らなかったんだ。あのカプセルん中に、君のお袋さんがいたなんて。まだおっぱいが恋しい年頃だったんだもんな」

と煽るジェリドですが、彼も作戦内容を知らされぬまま顔見知りであるカミーユの母親を自分の手で殺したのだから、それに対する動揺や罪悪感を自分から追い出そうとしているわけで。

でもカミーユの返しが上手い!

「そうだよな。軍人の宿命だものな。軍人は、事態の善悪などわからずに、上官の命令に従うんだものな。許してやるよ!」

単なるレスバではない、感情のやり取りが素晴らしい。
ジェリドの無知やティターンズへの従属、罪悪意識を全て見抜いた上で「許してやる」ことにより彼のプライドを傷つける。喧嘩が上手すぎるぞ、カミーユ。

カミーユの父親ことフランクリンはテムレイっぽい描写が多い。
カミーユに対してビンタの謝罪もなく「エゥーゴの新型msには乗ったのか?」とか技術者脳のバカ丸出しで話しかけるところとか。他の場面でも空気読めてないし。
これはゼータにもテムレイが続投したと見てもいいでしょう。おおむね同一の父親描写がされているということです。

でもテムレイ浮気しないし。まじかよフランクリン最低だな。

5話「父と子と」

1stガンダムのナレーションを踏襲しつつそれを一歩進めたようなナレーションから始まります。なんかこれが1話なんじゃないかと思ってしまいますね。
初代よりもかなりハードSFになっているのもゼータ感。

この中にあった魂が、神の国に辿り着くことはないだろう。その向こうには、知的生命体が住む惑星があり、人々は、ここで子を産み、育てることを当たり前のこととし過ぎていた。

フランクリンはテムレイよりだいぶ頭おかしい技術屋として描かれていますね・・・アーガマの整備士を当たり前のように恫喝してまでリックディアスに近づく。

やっぱテムレイよりも「倫理的な欠落」が強調されている。いや、テムレイも1話で避難民の命よりもガンダムの輸送を優先したり倫理観の欠如は描かれているのですが。自分の興味関心で初対面の人を恫喝するガッツはテムにはないはず。

そしてリックディアスを持ち逃げするフランクリンを追跡するクワトロ達と遅れて無理やり出るカミーユのシーン。
周囲が止めようとしますが、ブレックスは「構わん、彼の適性をテストするチャンスだ」と。またしても儀式かよ。

アーガマに受け入れられるまでの過程の中に通過儀礼が設定されていて、登場人物もそれに自覚的。カミーユに進んで試練を与えている印象。
1stにおいては自己確立における父殺しのイニシエーションなどが登場しますが、Zは集団に受け入れられるための・・・といった感触。

引っかかるのはやはりここでカミーユが父親を自らの手で殺さない、というところ。ここまで父殺しの状況設定があれば自分の手でフランクリンを殺しても良かったはず。

でもZにおいては「自分の父親が私欲のために周囲に迷惑をかけ倒すみっともない姿を散々見せられた挙句、父親を自分で殺すこともできず、目の前で情けなく死ぬのを眺めるだけ」。

父殺しできてない。この後どうやってそれを消化していくのでしょうか。

エマ「でも、カミーユだってご両親は…。」
カミーユ「あんなの親じゃありません!あんなの…。」
「でもね、僕は両親に親をやって欲しかったんですよ。(中略)
父は前から愛人を作っていたし、母は父が愛人を作っていたって仕事で満足しちゃって、そんな父を見向きもしなかったんです。」

不倫や別居といった家族の機能不全が主人公を精神的に孤児にする、というのは1stから一貫する要素。5話の見どころはまだまだ続きます。濃いですね・・・

クワトロはシャア本人であることがまだ一応バレていないので
「シャア・アズナブルという人を知っているかな?」と大胆にも吹っかけます。

カミーユ「尊敬してますよ。あの人は、両親の苦労を一身に背負って、ザビ家を倒そうとした人ですから。」
「でも、組織に一人で対抗しようとして敗れた、馬鹿な人です。」

クワトロ「その人は、カミーユ君の立場とよく似ている。彼は個人的な感情を吐き出すことが、事態を突破する上で一番重要なことではないのかと感じたのだ。」
カミーユ「聞けませんね、僕にとってはエゥーゴもティターンズも関係ないって言ったでしょう?大人同士の都合の中で死んでいった馬鹿な両親です。でもね、僕にとっては親だったんですよ!?

さっきはあんなの親じゃない、といっておきながら「あれでも親だ」に変わりました。このアンビバレントは富野アニメの心臓

クワトロはカミーユに過去の自分をみているのか彼に擦り寄りますが断られてて草。断られてなかったらカミーユ抱いてそうでなんか嫌ですね。

まあノースリーブじゃ無理か

6話「地球圏へ」

ジェリド君がティターンズ内で意外と肩身が狭いことが判明。実はジェリド君って物語カルマまだまだ軽いというか、カミーユの父親殺したのも成り行きでしかないのに本人は罪悪感感じてたりして結構推せますよね。

エマ「どなた? なんでしょう、カミーユ?」
カミーユ「用がないと、来ちゃいけないんですか?
(中略)
エマ「慰めてもらいたいだけならば無駄よ。あなたと私は恋人でも何でもないんだから。」
カミーユ「もういいです!」(半ギレ)

この感じなんか既視感ある。ガールズバ⚪︎ドクライの主人公?

カミーユ君はレコア中尉になんだかご熱心なようですが、これまでレコアとカミーユが喋ったシーンって一回もなかったはずです。(確認したら一回だけありましたが業務会話です)

なんとなくアムロがマチルダさんに母親像を見出すような感じだとは思いますが、書き込みがマジでされていない。ちょっと強引ですねこれは・・・

まあわかりやすくレコアさんもカミーユの母親が入っていたようなカプセルに入って大気圏突入をしますしね。書き込みがないとはいえ大意は読み取れる。
カミーユにとってはレコアさんを守ることが母親のやり直しになっているんでしょう。ちょっと強引。

7話「サイド1の脱出」

ジェリドとライラがなんか距離近くなってる。なかなか純愛の香りがするカップリング。ジェリドが照れながら攻めるのが見える見える・・・・・

とか言ってたらライラに露骨な死亡フラグが立ち、死にました。記憶より短命。

この話数ではティターンズがジェノサイドを行ったコロニー「30バンチ」が登場。なんでティターンズとエゥーゴが戦っているのかやっとわかる感じですね。初代ガンダムであればこの辺冒頭20秒で済ませますし。

ライラはそれを受け入れることが出来ない。バスクのやろうとしている事を受け入れられない。
ライラは厳密にはティターンズではありませんが、敵陣営の人間も倫理観が普通にあって、自分たちの加担していることの全容を知らないのがリアルでもある。個人のやることの積み重ねが組織のやることであるのに、乖離するということですね。

そういう個人と組織の二項対立はその後逆シャアやf91でも言及されるイメージですが、Zにもしっかりその血が流れている。

ライラが死ぬ前もジェリドは彼女が追い込まれているのを見て助けに行こうとしますが、

ジェリド「少佐、なぜ援軍を出さないのです?」
ジャマイカン「アーガマの消耗を待つのだ。(中略)軍人は個人的な感情を抑えるすべも知らねばならん。」

ジェリドのライラを助けたいという意思は、組織の理屈に押しつぶされるわけです。こうしてみるとジェリドのキャラクターアークが丁寧に形成されているのがわかりますね・・・・

8話「月の裏側」

5話と同じナレーションで始まりました。

ジェリドはライラの意思を継ぐようにガルバルディに乗るっぽい。あまり覚えていなかったですけど普通に重いカップリングだったんですね。

カミーユ「すごい想像力ですね。
僕がニュータイプのように、モビルスーツの装甲越しに、敵の気分とか心情を感じることができるって言うんですか?
ライラ大尉って強い人だから、必死で戦って勝っただけです。何の痛みも感じていません。」

こいつはツンデレヒロインみたいな喋り方しか出来ないんですかね。

ライラの死によって、ジェリドとカミーユの因縁がいい感じに出来上がってところに間髪入れずに2人が戦ってくれます。テンポ良し。

ここで初めて「バーニア」という言葉が出てきました!!!!!
今ではガンダムオタクだけが数十年にわたってガラパゴス的に誤用をし続けている言葉こと、「バーニア」ですが・・・元凶は「バインダー」などの固有迷詞も作った永野護だと思うのでZのこの話数が多分初出でしょう。トリビアですね。

ジェリド「ニュータイプだってスーパーマンじゃないんだ!」

グラナダ・ホテル従業員「クワトロ大尉、(中略)イースタン通りのマクダニエルまでお越しください。」
クワトロ「マクダニエル?」
キグナン「ハンバーガーショップですよ。」

ちょっとクスッとくるセリフもあり。
この後マックの厨房に会議室が隠されているシーンが当たり前のように出てくるのでさらに笑ってしまった。

マクダニエルって関西人はマクダって言うんですかね。

閑話休題 ジェリド視点のZガンダム

久々にみるとジェリドが記憶より熱いキャラクターだったので、「ジェリド視点のZガンダム」を考えてみる。

1話からざっと整理してみれば、

  1. 軽口を叩きながら歩いていたらカミーユとかいうやつに急にぶん殴られたのでやり返した

  2. ガンダムmk2の試験飛行をしていたらミスって落としてしまった

  3. よりにもよってカミーユが勾留されているところに落としてしまった

  4. 挙げ句の果てにそいつがガンダムを盗んで行った

  5. 上官の命令通りにカプセルを撃っただけなのにカミーユの母親を自分の手で殺してしまった

  6. ライラといい感じになったと思ったらライラをカミーユに殺された

という感じで・・・・かなり貰い事故的にカミーユと絡み続けているのがわかりますね。
カミーユはアグレッシブ主人公すぎて感情移入しにくいですが、ジェリド視点は常に巻き込まれ感があってかなり見やすい。第二の主人公では?

ちょくちょくジェリド視点のゼータを振り返る形で挟んでいけたらなと。

9話「新しい絆」

エマ「集合の号令が聞こえなかったの?」
カミーユ「まさか。」
エマ「あなたパイロットなのよ。」
カミーユ「僕はまだ軍属じゃありませんよ。うっ!」
エマ「悪いけどここは軍なのよ。一緒に来なさい。」

エマがまたカミーユをビンタしてました。ビンタ数はしっかりカウントしていきます。カミーユは軍属ではないはずなので正論は彼なんですけどね。

とか言ってたらそんなの比じゃないくらい初対面で暴力を振るうキチガイおじさんが登場。

カミーユ「何の権利があって、あなた…。 ただのオモチャじゃない、こっちの事情も知らずに暴力はいけませんよ。」
ウォン「甘ったれるな!
カミーユ「でぃ!せぃ!そっちこそ!ぐっ!」
ウォン「貴様が准将が言っていたニュータイプのパイロットらしいな。」
カミーユ「そんなんじゃない!」
ウォン「嘘だな。口ではそうは言っても増長がある。油断があるからミーティングにも遅刻をする。

しかも説教のロジックが体育教師っぽくてかなり生理的嫌悪感を催します。
「だから遅刻する!」につなげてくる感じとか。うわ、なんか記憶が蘇る。
周りも全く助けず、口を揃えてカミーユが悪いと言う。マジで気分悪くなってきた。

エマ「ウォンさんはね、地球にしがみついて地球を滅ぼすような人は何とかしたいと思っているのよ。その上であなたのような見込みのある人に生き残って欲しいと考えて…。」
カミーユ「僕は見込みありません。自閉症の子供なんだ。
エマ「自分の都合で大人と子供を使い分けないで!」

ビンタカウントは3。
カミーユはここまでイニシエーションをかなり積み重ねてきたと思うのですが、エゥーゴの人たちはまだまだご不満なようです。

後何人殺したらカミーユは受け入れられるのでしょうか。

思えばこれかなり「父親」ですよね。子供の言ってることに割と理があっても、殴って黙らせて、めちゃくちゃなロジックを押し付けてきたりする。

自分が痛みを経験してきたから、子供にはそれを経験させまい、という思考パターンには至らない。それは母性的で、
父性は同じ痛みを経験させようとする。根本的に理不尽なんですよね。
でも、母性の中に閉じ込められていては人は成長できない。母親は状況の中で子供を守れるほど強くないので。

カミーユのことを理不尽に殴ったり叱ったりするエゥーゴの大人たちの姿からは身勝手さも含めた「父性」が見えるように感じます。まあ肯定したいとは思えませんけど・・・

10話「再会」

また例のナレーションですね。話の区切りとなる部分に挟んでいるのでしょうか。

「修正」という単語がついに登場。

カミーユ「修正?」
エマ「殴って気合を入れることよ。アーガマは正規軍でないから甘いけどね。」

恐ろしいフィジカルコミュニケーションですね・・・なんのために口がついているのか。まあガンダムって口じゃ足りないからテレパシーするぞ!!みたいな話なので野暮か。

プチモビが出てきました。ゼータってプチモビ出てくるんですね。

ジェリドとカクリコンがタッグでカミーユ達と戦うけどあまり上手くいかなかった模様。
かなりいい線行っていたように見えますが・・・主人公補正のかかっているカミーユには勝てない不憫さもまた推せますね。

シロッコのメッサーラも出てきた。こんな早く出てきますっけ。だいぶ記憶が飛んでいる・・・と思ったら
この回から登場のメガ・バズーカ・ランチャーを早速撃たれかけた挙句、民間船の影に隠れる卑怯さ。登場から10秒でキャラを立ててきましたね。

そして2話ぶり?にファが登場。そういえば前知ったのですがファって名字らしいですね。名前はユイリィらしい。名字呼びということなんですかね。

11話「大気圏突入」

前回の最後に登場したばかりのブライトがあっさり艦長になってしまいました。凄まじいネームバリュー
流石に1日にしてここまで上り詰められると何も言えない。

タイトル通り大気圏突入回
もっと気の利いたタイトルはないのか??と思い歴代の大気圏突入回の話数名をリストアップ。

  • 初代5話「大気圏突入」

  • zz23話「燃える地球」

  • V49話「天使の輪の上で」

  • SEED13話「宇宙(そら)に降る星」

もうめんどくさいので割愛しますが、初代とZだけが被っているようです。SEEDなんかそのまま「大気圏突入」って言ってそうだけどちゃんとイカしたタイトルになっていますね。

こんな感じでトリビアを挟んでいきます。せっかくの徹夜視聴ですので。

というか大気圏回は敵味方入り乱れながら突入するだけなので喋ることがない。マジでない。名台詞はありますが、別に改めて語ることでもない。

あるとすればmk2のフライングアーマーは面白いですよねという話。
サブフライトシステムっぽいメカは例外なく好きです。なぜならモビルスーツをどうやって輸送する?→モビルスーツを載せる空飛ぶ板を作ればいいじゃないか!というアホっぽさが好きだから。

揶揄ではなく本当に好きなんですよ。

12話「ジャブローの風」

前回大気圏突入してどこ行くんだって話で。ジャブローでした。初代でもお馴染みの地名ですね。

なんかこの辺まで進むと「淡々と戦うだけ」のゼータになってくる感じがあって実況が進まない。ドラマの進展について詳しく書きたいので。

zのジャブロー戦といえばmsvだらけの戦場。

msvというのは初代ブームでガンプラが飛ぶように売れた頃、全機体のガンプラを作ってしまって新商品を出せなくなったバンダイが
「こういう機体バリエーションもあったことにして商品を出そう」
捏造二次創作された玩具の事情から生まれたデザイン達のこと。ここまで読んでる人は知ってるかもしれないですけど。

msvブームってリアルロボットのミリタリー/スケールモデル的価値観との接続をそのまま表しているので、それが更に推し進められたZ本編にそれらが逆輸入されるのはマイルストーン的でもある。Z制作時点でもはやガンダムの作品世界の拡張はコントロール出来なくなっているんですよね。

で、ジャブローは爆発するので(当たり前のように言うな)また敵味方入り乱れてみんなで脱出するわけですが。

ジェリドは「力のないものは死あるのみ!!」とラスボスみたいなセリフを吐きながら他の群衆をかき分けて脱出艇にありついてたのが印象的。
さっきまでは傷ついた仲間達を庇って車を走らせ、

「の、乗せていってくれ!」「当たり前だろ!!!」と激アツやり取りをしていたのに。ジェリドの心は秋の空ですね。

13話「シャトル発進」

ちょろーっっとですが、ジャミトフが登場。俺が高校時代Zガンダムをリビングで見ていたら「ジャミトフ出てきた???ジャミトフ出てきた????」と尋ねてきたのを覚えているので個人的には印象的なキャラ。
こう書くと俺と父親がにこやかにガンダムの話をしていたみたいな感じですけどね。それ以外の会話は例外なくギスギスでした。

今の時系列におけるアムロの境遇が語られていきます。カツも出てくる。カツも出てくる。カツも出てくる。

ここから地球編。正直一番よく覚えているところかもしれない。

言わずと知れた修正回ですね。自分がシャアであることを認めないクワトロ。それを卑怯だとカミーユは詰める。が、クワトロは頑なに認めない。

んで、「修正してやる!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」とカミーユが顔パンするやつ。超展開すぎる。

都合が悪くなったら名前を変えて逃げ続けるシャアの生き方(シャアという名前も2つ目の名前ですよね)を叱ったのか。シャアとクワトロを都合で使い分けるようなスタンスに怒ったのか。

よくわかりませんが、なんか前より絆ができたっぽくてまあよかったですね。殴ったら絆が深まる理論。

リックディアスがバインダーを初めて投げる回でもある。なんかリックディアスの代表的な技みたいになってますけど。これが初。

14話「アムロ再び」

アムロが再び戦場に現れる回ですね。そもそも初代ガンダムのあの完璧な終わり方の後にZという新たな戦乱の歴史を付け足すのはそもそも論としてかなりタブーだったと思う。俺が当時のファンだったら絶対批判してた

ガンダムの続編は作りたくなかった富野由悠季の気持ちもわかる。僕には帰る場所がある、って言わせた後にアムロを戦場にまた立たせるのは最悪の気分だったと思う。スポンサーの要請とかでしょうか。

まあつってもこの回はまだ本格参戦ではないですけどね。

この辺になるとカミーユもだいぶイキイキするというか、周囲と馴染めずにどうのこうのみたいな話はなくなりましたね。もう独断での単独出撃もお手のもの。まあハヤトとちょっと揉めましたが、結果的に殴られていないのでうまくやれてる判定で大丈夫かと。感覚麻痺ってきたかも。

ギャプランが登場。パイロットはロザミア。かわいい。この時のロザミアはお姉さんキャラだったのですね。(遠い目)何気に初の強化人間キャラ。

で、アムロが貨物機でアッシマーに突っ込んで「シャア!!!下がってろ!!!」ですね。有名すぎるので割愛。

この頃のアムロとシャアの関係性が、コナンのアムロとシャアの関係性に一番近いと思う。実際、純黒の悪夢の「堕ちろ」もこの回のセリフが元ネタですからね。

15話「カツの出撃」

キタキタキタキタキタキターーーーーーー!!!!!!!!!!!!!

この辺から割と魔境みたいな回が増えていく。これは最たる例ですね。タイトルだけで笑っちまう。

ロザミィが可愛い。

強化人間は認知が歪んでいるのか妄想癖があるのか、極端な洗脳をされているのか。よくわからないことを言い始めて同陣営の人すら困惑させる。それが可愛いですね。

「電波」とも少し違いますが、
脳みそがちょっと壊れてるくらいが可愛い、というのは後のクェスやギギにも通じる要素。ガンダムの電波美少女は人を狂わせますね。
俺もこんな感じの子に言い寄られて破滅したいです。

さて、この回はタイトル通りカツが勝手に出撃してクソ迷惑かける回なのですが・・・ロザミィが一旦退場する回でもありますね。早い。

まあカツが暴れるだけと書くと結構くだらねえ回なのですが、自分の中ではゼータの特に印象的なエピソードの一つだったりします。
クワトロ、アムロ、カミーユ、カツ、ハヤトで回している時期、普通にZで一番明るいところですらありますからね。

最後カツがハヤトに身勝手な行動を諌められるビンタシーンがありますが、前回カミーユも同じようなことしてるのにビンタされませんでしたよね。
ちょっとその辺は序盤に述べたよう父性の理不尽さも感じます。

16話「白い闇を抜けて」

ベルトーチカが魔性の女すぎる。前回初登場した時はあざとすぎるのもあってそこそこエロいがロザミィに比べたらという感じでしたが、今回はバチエロです。

喋り方がギギアンダルシアに似てませんか?ロザミアとは別ベクトルの電波が感じられます。

クワトロが宇宙へ上がるエピソード。カツの勇敢な行動にクワトロが心動かされ・・・というくだりは少年漫画みたいな熱さです。クワトロは騙されたふりをしていた、というのもかっこいい。

この辺のシナリオは単話として綺麗に収まっている感じが好みです。ガンダム見たことない人、特にコナンファンにはこの回を見せたいとも思う。

先ほども述べましたが、この辺のアムロやシャアの言動はコナン映画を彷彿としてしまうんですよね・・・とにかくイケメンに描かれますから。
やはりZがあれの源流だと確信しました。

コナン映画が何らかの都合で無くなったら難民オタクが大量に出るでしょうし、その時には是非ともZガンダムに誘導したいところ。

17話「ホンコン・シティ」

ベルトーチカ「アムロさんは一年戦争の英雄なのよ?!英雄には、英雄に相応しいマシンがあるはずよ?」
カミーユ「僕には相応しくありませんか!mkⅡは?」
(中略)
ベルトーチカ「これはアムロの為になることなのよ。もっと自信を付けてもらう為には。カミーユ!?」
カミーユ「それはあなたの同情ですね!そんな哀れみは、いつかアムロさんを殺すんじゃないんですか?」

アムロにmk2を譲るよう、カミーユに迫るベルトーチカ。順調に悪女ムーブしてますね。

カミーユの発言の大意は「アムロを甘やかすな」というもので、完全にカミーユ本人も父性的な(同じ傷を負うことで繋がる)組織に染まった感じがあります。

サイコガンダム登場しましたね・・・なんか俺の世代はシャンブロとかで見慣れているのでそんなに特異な感じしないですが、市街地に現れて街を破壊する巨大MAってもしかしてガンダムでは初出ですか?元を辿れば怪獣とかのイメージなんでしょうか。

フォウ「これは戦争だ!はっはっはっは!何がモビルスーツか!何がmkⅡだ!所詮人形じゃないか、あんなもの。うっ!・・・人形の癖にっ!」

モビルスーツのことを人形呼ばわり。サイコガンダムのデザインはバンダイから提案された主人公ガンダムのデザインが流用されていることを考えると人形という表現はちょっとメタいかも。

そういうのを抜きにしても(狂気に呑まれつつも)より大きなスケールでものを見ている、モビルスーツのことを人形呼ばわりするパイロットというのはこう、示唆的ですね 寝不足過ぎて語彙力が無さすぎる。

示唆的というのは、この作品で描かれることっていうのは所詮人形遊びなのかもしれない、みたいなこと。こんなにも悲しくて痛いのに、お人形さんの喧嘩。

まあまだフォウの描写は全然出揃ってないので喋りすぎるのはやめておきます。

18話「とらわれたミライ」

ハサウェイ拉致回ですね。初めて見た時は閃ハサ鑑賞が近かったこともあって爆笑した記憶。
mk2の推進器の威力で桟橋が吹き飛ばされるシーンは今でも心に焼き付いています。

本筋よりそういう描写が心に残って、憧憬として残ることってありますよね・・・話が逸れました。

フォウ「カミーユか、優しい名前ね。うふふふふふ、自分の名前、嫌いなのね?」
カミーユ「どうしてさ?」
フォウ「顔に書いてあるわ。」
カミーユ「そうかい。」

カミーユの名前に関するくだりは1話ぶりですね。これも有名すぎるがゆえレビューでは割愛しましたが。ジェリドはカミーユの名前を「女の名前だな」と評してカミーユのプライドを傷つけましたから、言うまでもなく対照的。

フォウはロザミア同様ちょっとおかしい女の子っぽく描写されていますね。ただこっちは幼児退行してるというか。

大の大人が、幼児の落としたグライダーのおもちゃで遊ぶ。

でもカミーユの目にはそれが美しく映る。

なんかcabsっぽくないですか。skórっぽい。話がまた逸れました。

さて、ハサウェイが溺死しかけます。これも当時は切迫したシーンだったのかもしれませんが、ガンダムの入り口に近い場所で閃光のハサウェイを見た世代としては爆笑もの。

「ハサウェイが海に落ちた」の文字だけで30分笑えますね。俺含めて最近の若いファンは閃光のハサウェイを見た後に逆シャアを見てZ見たりしてるので・・・・お馴染みの人物の幼少期が急に出てきて急に海に落ちると笑わざるを得ない。若い世代のファンほどギャグ回として消費するかもしれないですね。

フォウ「楽なときがあると、その後でいつもこれだ」

フォウは軍から逃げ出してきて、カミーユの前に現れていましたね。軍に作られた強化人間ですからね、もう帰ったらめちゃくちゃでしょう。

で、バカンスタイムだったのに追ってはくるわ、ドンパチが近くで始まるわ、でフォウの気分は最悪

マイナスの感情に支配されていくフォウ。Zの世界に心休まる場所はないのでしょうか。

19話「シンデレラ・フォウ」

時間切れ。

フォウ「私の名前、好き?」
カミーユ「いい名前だ。好きだよ。」
フォウ「私は嫌いよ。」
カミーユ「なぜさ、響きのいい…。」
フォウ「今の施設で4番目だったからフォウなの。ナンバー4。」
カミーユ「本当の名前は?」
フォウ「わからないわ。私には昔の記憶がないのよ。知りたいんだ、昔のこと。それを探していたの。」

フォウという名前は文字通り4番目という意味で、囚人番号的な感じと明かされる。カミーユの名前を褒めたのは完全な本音。

いやほんとフォウ可愛いですね・・・・紫色のリップが似合う。強化人間という天然の人間ならざる感じが強調されて最高。

アムロはフォウに近づくなと警告しますが、カミーユは安らぎのひと時を得ようとフォウに会いに行き・・・

その時に爆風。

時間切れが来てしまい。フォウは香港の街に再び現れたサイコガンダムに向かって走っていき乗り込む。

フォウ「(カミーユの方を向いて)お前は、私を苦しめるために作られたのか?」
カミーユ「フォウ…なのか?」
フォウ「嫌いだっ!」
カミーユ「君は戦っちゃいけない、フォウ、君は!」
カミーユ「うぅ、やめろ! フォウ、しっかりして!フォウ、戦っちゃいけない!」
フォウ「こんな物があるから、私はずっと苦しまなくてはならないのよ!」

お前は私を苦しめるために作られたのか。
カミーユに対して言ったのか、カミーユの乗るガンダムmk2に対して言ったのか、それとも自身の乗るサイコガンダムに対して言ったのか。それとも世界でしょうか。色々解釈できますね。

カミーユは君は戦っちゃいけない。と言っていますがフォウが壊しているのは街です。フォウがジャブロー基地のような前線に立つ描写はここまでありません。フォウが戦っている相手って世界だったのかもしれない。と思う。
サイコガンダムは怪獣のようだと前に述べましたが繋がった感。最後は海に向かって歩いていくのもゴジラ的ですね。まあそのあと飛び去りますが。

20話「灼熱の脱出」

フォウがとうとう前線に立たされます。これまでは何だったんだって感じですけど。

フォウは戦えば消された記憶を返してやると言われて戦うわけですが。普通に考えて死ぬまで使われるだけで返されるわけなんてないんですよね。

ナミカー・コーネル「記憶は欲しくないの?フォウ!?私が上申しさえすれば、あなたの記憶はすぐにでも戻るのよ。あなたはチャンスを握っているのよ!戦いなさい!フォウ!」

戦いたくないとごねるフォウに対してビンタカウント+1。

ベルトーチカ「約束して!アムロを返すって!」
カミーユ「それは女の我がままですよ!そんなことで、男を殺すこともあるって、覚えておいてください!」

こちらはアムロをカミーユに取られているような気がしてきてやたらうるさくなったベルトーチカとカミーユの会話。

女のエゴが男を殺す。これはベルトーチカというキャラクターの物語上の存在意義を言い表しているはず。この後どう効いてくるのか楽しみ。

フォウ「カミーユが出てきたの?!まるでアタシが出るのを待っていたようなタイミングで!?」
カミーユ「フォウ!」
フォウ「逃げたってアタシは探すっ!カミーユっ、何故撃たない?!えぇいっ!」

フォウは完全に戦うことをコミュニケーションと捉えてしまっています。戯れるノリ。
ビンタとか殴り合いとかは比にならないほど、これまでのストーリーで一番危険なコミュニケーション。

カミーユ「フォウ、僕は君に言い残したことがある。僕の両親のことだ。僕の両親は、エゥーゴとティターンズの戦いに巻き込まれて死んだんだ・・・僕の目の前で。僕は、サイド7のグリーンノアに住んでいた。

(以下ずっと身の上話)
だってさ、『カミーユ』ってのは女の子の名前だ!大っ嫌いだったよ!ずーっと!
(中略)
・・・俺・・・俺は、何を喋ってるんだ?
ふ、フォウ、お、俺・・・何でこんなことを?・・・」

フォウにベラベラと身の上話をしてしまうカミーユ。傷つけあったことによってこれまでになく心の距離が縮まる。ガンダム的コミュニケーション論ですね。

フォウは「今でも、あなたのカミーユって名前、嫌い?」と問い、カミーユは「好きさ、自分の名前だもの」と答えます。

綺麗に1話と対になる。もう最終回でいいんじゃないかって思うくらい綺麗な場面でした。

その直後フォウはカミーユに銃を向け、コミュニケーションを強制終了させました。カミーユは言われた通りフォウから離れ、そのまま本来の作戦の通り重力圏を抜け。フォウはその時一人で死ぬことを選ぶわけですが・・・・

挿入歌の「銀色ドレス」が場面の切なさとやるせなさと裏腹にサビが明るくて・・・・残酷すぎて美しい。こんなにも痛いのに、真っ直ぐ空に向かって昇るカミーユのシャトルの軌道が、重力を振り払う力強さが、美しい・・・・

こんど出会えれば 間違わない

良い日だったと 抱き合うだろう

心は熱く 踊るだろう

今日という日は良かったと・・・

ドレス着て 明日に向かう心を

いつまでも 暖めておくわ

小さい僕にこだわらないで

新世紀 ひらき

宇宙に求めたりするのは

やめよう 銀色のドレスを纏って

森口博子「銀色ドレス」

20話「灼熱の脱出」・・・・・・・・・1000000000000000000000000点!!!!!!!!!!!!!!

閑話休題 富野アニメと重力

富野アニメにおいては重力が悲しみや嘆きと紐づけられている感触があって、だからここぞというときにそれを振り払って真っ直ぐに上昇する場面が、本当に泣けてしまう。ブレンパワードで一番好きな話数は12話です。

これには富野由悠季のコンテ論も大きく絡んでいて、御大自ら書いた「映像の原則」という本で詳しく解説されているのですが、
少なくとも富野の世界ではものは基本的に右から左に向かって動くのがより力強い動きだし、上から下に動くのが直感的な動きなんですよね。普段から私たちは重力に縛られて生きているわけで、その実感が反映されているわけです。

それに対して下から上に、重力に抗う形で動くというのは、縛るもの全てに抗うようなそんなパワーを持っているわけです。コンテの段階で、本当に特別な動きとしてデザインされている

まあそんなわけで富野アニメの印象的な場面で、ここぞというところで「上昇」のモチーフは見られるんですよね。これ以上語っても「映像の原則」の内容をなぞるだけなので控えます。

21話「ゼータの鼓動」

ビリービンアサインオブゼーターーー!!!!!!!!!

ということで今回はタイトル詐欺回としても名高い・・・・え、Zのどのタイトル詐欺回だよって?????????

アーガマに戻ると早速カミーユがボコボコに殴られていてすごい。地球圏の悲しみを振り払ってさっき帰ってきたばっかりなのに。安息の地は何処。

なんか宇宙に戻った途端フィジカルコミュニケーションしかできない人たちばかりになってて辛気臭い。ああ、Zガンダムだ。(ネガティブ)

まあ90年代以降は殴り合いすら機能不全に陥っていく作品が増えるイメージなので健康の一つの形なんですかね。それでもちょっと過激ですよね。

なんやかんやあってカミーユとジェリドが久々に接敵

ジェリド「何?この声…カミーユか!?(喜)

お前喜びすぎだろ。こいつらどうにかなんないんすかね。

ジェリドの搭乗msはバリエーション豊かでいいですね。ジェリド搭乗msを全部ガンプラで集めるのは大変でしょう。この時点でmk2、ハイザック、ガルバルディ、マラサイ、ガブスレイ。ここからも乗り換えるので・・・

ジェリドはもう着替え感覚でmsを乗り換えている可能性すらある。なんならカミーユの気を引こうとしてるんじゃないか。カミーユ、このms見てくれよ。すごいだろこれ変形するんだぜ。おい、見ろよカミーユ。なんで見てくれないんだよ。くそッ、女みたいな名前だな。

ジェリドの話楽しすぎますね。Zガンダムはウェイブライダー形態しか出てこないクソ渋回でした。

22話「シロッコの眼」

ファとカミーユが喧嘩。こんなエロい乳しててスカートの短い幼馴染と喧嘩できるなんて俺は羨ましいです。

ブライト「パイロット同士での口論は戦闘に差し支える。これ以上続けると自習室入りだ。」
(中略)
エマ「いいじゃありませんか、あれはレクリエーションですよ、レクリエーション。

エマはそれをレクリエーションだと呼ぶわけです。これまで何度も登場したガンダム的価値観ですね。傷つけあうことはコミュニケーション。

その後カミーユはファのことを追いかけますがファは拒絶気味。ここでカミーユはフォウが自分を最後には拒絶したことを思い出して手を離す。

エマのセリフ。

カミーユは本能的にあたしを好きですから。」
「自惚れで言っているのではないのです。つまり、カミーユのマザーコンプレックスに、手を貸すのが怖いんです。」
「あたし、カミーユの母親代わりにはなれませんよ。」

カミーユが自分のことを母親のように感じていると。これ、カミーユの内面を透かし見ているようですけど、エマの自意識も入っているので微妙・・・エマはカミーユの母親が殺害される現場にいたわけですし、その命令をエゥーゴ陣に伝えにいったのも彼女です。負い目があるんでしょう。

カミーユが母親代わりに飢えている、ということを示すと同時に、エマがカミーユに対して母親のように感じてしまっている、というのも示しているセリフのように見える。

カミーユの母親を殺したのはティターンズという組織ですが、実際に深く関わったのはエマとジェリド。ジェリドはカミーユファンに堕ちましたが・・・エマはその意味ではカミーユの母親を殺しその座を奪い取ったとも言える。本人にその意図があったかは別として。
直近だとマッドマックス:フュリオサがそんな感じの話でしたよね。

サラが登場。またゼータに毒された女が出てきた・・・・
つまらない回と認識していましたが結構重要回ですねこれ。

サラ「戦争は、人をより良く生かすための必要悪ですから。そのために戦うだけです。」

サラ「このままでは私はやられる。敵の意思が固まって、私を襲う!」

サラの話はもう少し描写が出揃ってから。。。

Zガンダムのms形態、変形のお披露目とGディフェンサー、メタスの初登場。新展開なのに全く盛り上がらなかった前回とは打って変わって比較的神回。

ブライト「出撃許可を出したのは私だ。しかし、ファ、今回の事は良くない。それだけはわかってくれ。」
ファ「わかっております。しかし、人間は感情の動物です。」

ファのレスバは妙に味わい深いですね。ブライトは黙って殴りましたが、自分だったら「感w情wのw動w物w」ってリプしてたと思う。

23話「ムーン・アタック」

カミーユの部屋の掃除に、頼んでもいないのにエマが付き纏い手伝い始めます。挙げ句の果てにカミーユがトーレスに渡そうとしていたものを奪い取って「私が渡すわ!」。さっきエマの方が母親意識を持っていると言いましたが、マジでそうでしたね・・・

シロッコの口ぶりが教育系の本を読み漁った先生みたいになっている。胡散臭さがいい。

この回のシロッコはティターンズの作戦を無視して独断でフォンブラウン市を人質に取る。
これまでティターンズの描写においては組織が残虐なことをする、個人は組織がどこに向かっているのか認識することはない、というのが一貫されていましたが、
シロッコは明らかに組織の意向とは違うことを個人で行なって今回の戦いを完全に狙い通りに終わらせてしまった。ここまでの「個人」と「組織」の二項対立の外側にいるというか。個人が組織を食ってるというか。

ファ「何で殴らないの?あたしは引き上げ命令を聞かなかったのよ。お世辞のような優しさはいらないわよ!」

お世辞のような優しさよりも、本気で殴ってほしいという切実さ。シロッコがお世辞しか言わないのとは対照的ですね。

24話「反撃」

OPが水の星に変わりました。個人的に前半のオープニングがとても好きですが、水の星の哀しさも好きです。

最近マウアーが健気にジェリドにくっついてるなって思ったら今日は彼と一緒にショッピングらしい。よかったですね。

マウアー、ジェリドが利用されていると思ったら単独で出撃して守ろうとするし、結構理想の女の子ですよね。ジェリドの暴走を抑える役割もある。良妻すぎでは?

そしてジェリドとカミーユが接触!!!!!!こいつ運良すぎますね。

身分証の偽造がバレたカミーユを庇ったと思えばすかさずハグ。これは純愛
違いました。なんか取られちゃいけない系のブツを掠め取ったっぽい。まあでも純愛ですね。

この後、カミーユが銃を向けられて案の定勝手についてきたカツが助けるくだりがありましたがカツだけに割愛します。
この後カツはジェリドの銃も手に入れて所持銃カウントが2になりますがそれも割愛。全部言ってるじゃねえか。

レコア「カミーユ、カツは?」
カミーユ「大丈夫です!」

愛すべきギャグ枠、カツ

オフ会回とでも言えばでいいでしょうか。もう少し小休止回としてふわふわしてもよかったかも。

25話「コロニーが落ちる日」

サラが白旗上げたザクでのこのこ登場。

サラは「ティターンズのやり方が嫌になった。亡命させてくれ」みたいなことを言ってる。喋り方が演技っぽいのであまり信用されてなくてウケる。
序盤に裏切ったエマの方が百倍怪しかっただろ。

ヘンケン「そ、そうだ。君には危険な任務になる。ティターンズはコースを変えるときに核パルスを使うだろう。放射能汚染が気になる。」
エマ「ガンダムのコクピットにいれば大丈夫ですよ。」
ヘンケン「しかしな、君が赤ちゃんを産めんようにでもなったら…。」
エマ「あ、あたし、結婚…考えてませんから。」
ヘンケン「エマ中尉…。」

ヘンケンに性欲が芽生えています。赤ちゃんがどうとか切り出すのが絶妙にキモい

カミーユがサラに興味津々なのにファが嫉妬してるようなそぶりを見せたり、ブライトとレコアのカップリングが強調されたり。

こういうのを見るとなんか生々しくテレビアニメって感じがします。放映当時のカップリング論争はどうなっていたのでしょうね。

まあ案の定サラは逃げようとするのですが、逃げたいと素直に言って逃がしてもらうのではなく、カツがバカすぎてmsをおいおい渡してしまうという顛末。悪行カウントするのも面倒になるレベルで毎回問題しか起こさない。

で、逃す前の会話が伏線になってヤザンを撃退して終わり。15話などの単話完結回の作風を彷彿とさせますね。今回はかなりオチが弱いですが。

Zで一番つまらんと評されるこの辺の単話回群ですが意外とほーんって見れますね。まあ面白くはないのですが。

最後は罰として正座させられるカツで終わり。やっぱりギャグキャラ扱いですね。

26話「ジオンの亡霊」

高校時代にZを見た時、一旦ここで辞めたのを覚えている。つまらなさすぎるから。タイトル詐欺回ですね。

ヘンケンがキモい。まあ今更言ってもどうしようもないですね。

またカツが暴走した。話作りに便利すぎるんだよこのガキ。誰も何も言わなくても勝手な行動に出るから。動機も単純だし。

話はもちろん虚無なので話すことがないですが、
プリキュアの虚無単話って割とこんな感じですよね。カツは「カツ(一人称)だけ何もできないのは嫌だーーーーー!!!!!!」で変身するマスコット妖精っぽくて意外と愛せるのが実感。

27話「シャアの帰還」

開始30秒、ファがハロの頭をコツンと叩く。ハロになりたい。こんなかわいい子に頭コツンってされたら一体どうなるんだろうか。どうなると思う?ほんとどうなってしまうんでしょうね。

ブライト「私には、とてもカミーユの父親役はできそうもないな。」

最近エマはカミーユの母親役をするモチベーションに満ち溢れているようですが、ブライトさんはならば俺は父親か・・・?と思ったのか。
さっきの母親奪い取り説が父親にも適用できるなら、フランクリンを殺したのはティターンズなのかエゥーゴなのか、どっちなのかが気になります。

ヤザンも勝手に出撃するようになりましたね。ネームドキャラは無断出撃が基本なんでしょうか。

ハイザックのメガランチャーは見た目がいいですね。Zは支援メカがたくさんあっていい。

ブライト「い、いや…。カミーユ達の父親役は私では務まらないようです」
クワトロ「カミーユにはもう父親役はいらないでしょう。」

そうなんでしょうか。このセリフはもっと検証したいですね。

確かに理不尽な父性を感じる描写はほぼ消滅し、暴力は「コミュニケーション」の比喩としての描かれ方が多くなりました。でも単純に周りがカミーユのことを殴らなくなっただけであって、別に父親から離れる決定的なイニシエーションを突破したわけではないですよね。

ハサウェイ「今度は僕だよ、パパ、聞こえる?毎日走ってんだよ、僕。チェーミンとママは僕が守るから、パパは安心して悪いヤツやっつけてよ。ママ、寝る前にお話してくれるよ。パパが大きなお船に乗って、ガンダムを動かしてるってさ!帰って来る時さ…。」

お前も将来ガンダム動かして悪いやつやっつけるから安心して寝ろ。

28話「ジュピトリス潜入」

レコアさんがジュピトリス(敵艦)に潜入するらしい。序盤もレコアがスパイさせられてましたよね。なんか弱みでも握られてるんだろうか。

序盤にレコアが送り出された時はカミーユが超執着してましたね。今回も例に漏れずめっちゃ反対する。

ファ「そうやって突っかかるから子供なんでしょ?レコアさんにはレコアさんの覚悟がおありになるのよ。わからないの?」

ファが割って入る。その後カミーユはレコアの護衛をしたがり、周りもそれを許す。が、ファはこれにも反対。

ファ「ブライトキャプテン、なぜカミーユを出したんです?レコア少尉一人にすべきでした。」
クワトロ「作戦上から言えば、Zの後方支援は無駄かもしれん。だがレコア少尉の安全を考えれば、ブライトキャプテンの措置は正しい。」
ファ「違います。男の都合で考えないでください。」
クワトロ「ここは軍隊だぞ。男も女もない。」
ファ「でも、軍人である前に、レコア少尉は一人の女性です。」

クワトロはZの後方支援は無駄と漏らしつつも、護衛案自体には賛成の模様。ファはレコアの女のプライドを守ってほしいらしい。

で、結局ブライトはファにも行かせることにする。
なんかこの辺のZって出撃の動機付けを各陣営で描いてバトルして終わりですよね。単話を量産している感じ。

んで、レコアはあっさり見つかり、けどなんか見逃されて、Z、ファ対サラになるのですが。なんかサラは一人でやり抜きたいらしい。こちら側も女のプライド的な・・・・

素直にタイトルを「女の戦い」とかにした方がわかりやすいのになんで「ジュピトリス潜入」とか見る気失せるタイトルつけるんすかね。まあいいか。

29話「サイド2の危機」

カツが雑用を進んでやるようになりました。こいつも小さくなったもんですね。元々やらかすことがデカいだけで図体は小さいか。

内容はティターンズが唐突にコロニーに毒ガスジェノサイドをかまそうとするというもの。

これが毒ガスが入っているやつ。

D A N G A R

D A N G A R・・・・・これは危険すぎる。サイド2終わったな

おーん、、って感じですがメカ描写は結構楽しいです。Zガンダムの変形時にフライングアーマーがくるって回るところがしっかり書かれてたり。

この辺の単話回、結構イジりましたが、ぶっちゃけ話にそこまで求めずメカを見るなら全然普通に見れます。
今回の話も組織の中での葛藤があったり、面白いです。

他の回が濃厚すぎてちょっと物足りないだけなんですよね。

ファ「あ~?もう…知らない部屋には入っちゃいけないって言ったでしょ?言い付け守らないと、お風呂二回にするから。わかった?」
シンタ/クム「は~い。」

ファが順調にママになってきています。
対してエマは急に出番激減。前回も1つもセリフなし。

なんか全体的に一貫した描写が散りばめられている感じではなく波がある感じですね・・・・

30話「ジェリド特攻」

ついに死ぬのか!!!!!!?????ジェリド
死ぬのならカミーユの腕の中で死んでほしいところですが。

ブライトの声掛けってマジで仲間を責める形でしかやらないですよね。
初代ガンダムで有名な「弾幕薄いぞ!何やってんの!」とか。

何やってんの?がつくんですよね。何やってんの!はお前だよ。
切迫感の演出なんでしょうが、他の人はここまで嫌な言い方しないので怖い。

それにしてもこの回は作画が力入ってますね。アニメーター的にはできるだけ変形msなんて書きたくないんじゃないんすかね。しかも不必要に画面の中で変形する。富野ってコンテの段階で作画の省エネ化を図ってるイメージなのですが・・・

マウアーがジェリドを庇って死にました。これでジェリドの愛する人が目の前で死んだのは2回目ですね。

そのあとジェリドは特攻するような動きを見せますが、結局突っ込まず死にません。直前に、死んだマウアーの手の幻影に手を伸ばすとそこに操縦桿がある、という描写があるのですが。ああ、死の世界に向かって手を伸ばすんだなって思わせて死なない。

マウアー「守ってみせるって言ったろ…ジェリド?」

このセリフが効いてくるこの展開はベタですがジェリド好きなので素直にいいと思いました。

31話「ハーフムーン・ラブ」

ハンブラビが登場。ハンブラビ。ハンブラビ。

カミーユ「嫌なら辞めちゃえば良いだろ!」
サラ「何を?」
カミーユ「今の自分をさ!普通の女の子になれば良いじゃないか!アイスクリームを食べて、おしゃべりして!」
サラ「できないっ!そんなことっ!」

アイスクリームを食べて、おしゃべりしたいね。でも出来ないのは誰のせいなんだ。

サラ「アタシ・・・こんな風にして食べるの初めて!」
カミーユ「へぇ~、貧しい青春なんだ。みんなやってるぜ。」

なんかすごくありふれた光景に見えてきた。青春を出遅れて、友達とアイス食ったこともなくて、それで時間が過ぎて、やっと初めて食った時ってあったじゃないですか。まあ未だにしたことのないこともたくさんありますが。

そのあとサラがしたことの後始末にカミーユが向かうのですが、サラは逃げれるのに逃げない。

カミーユ(この子、いつでも逃げられたはずなのに、逃げなかった!この子は、強化人間なんかじゃない!どこか普通なんだ!)

サラは普通の女の子の一面もある。強化人間であり、シロッコの手下であるのも彼女の一面ですが。彼女はどうなるんでしょうね。正直、もう少し肉付け欲しいところです。さっきありふれた光景だと書きましたが、それがサラというキャラクターでもある。普通すぎるんですよね。

32話「謎のモビルスーツ」

ハマーンが出てくる・・・?

クワトロ「人の心の中に踏み込むには、それ相応の資格がいる。」
カミーユ「わかってますよ、そんな事。大尉には、資格があります。」
クワトロ「そうかな?いくつになっても、そういう事に気付かずに、人を傷付けるものさ。」

久々のコミュニケーション論ですね。ATフィールドの話。クワトロは不意にポエム吟じるので面白い。

レコア「えぇ。自分の事、そんなに正確にわかる人って、いるのかしら。」
クワトロ「いないだろう。」
レコア「だから、わかる事は、何もかも捨てて、どこかへ行ってしまいたい、って事だけ。」
クワトロ「それはできないな。人は誰も、引き摺っているものは死ぬまで捨てられんよ。」

面白いですね。特にクワトロは今で言うところの「リセット癖」の人間ですもんね。キャスバルという名前を捨て、シャアという名前を捨て、クワトロという名前もこの後捨てるわけだから。

何もかも捨てたいのに死ぬまで足を引っ張られる。逆襲のシャアまで続く彼の命題ですね。
レコアもリセット癖くさいですが、どれくらい思ってるのだろうか。

ここで「シャアを引き摺っている、死ぬまで捨てられないもの」の象徴であるハマーンが大量のガザ(msの名前)を引き連れて登場。

シャアはハマーンという重力を振り払えるんでしょうかね。

33話「アクシズからの使者」

ハマーン様登場。そしてミネバも出てくる。

ミネバはこの時7歳とかですね。uc0080生まれなので。uc0080生まれってめちゃくちゃ大事ですよね・・・ハサウェイもバナージも「戦後の子供」として年齢がデザインされている。

7歳の子供を王座に立たせる大人たち。でもこうなったのってシャアが初代でザビ家壊滅させたからですよね。全部シャアのやったことの結果。
ミネバが洗脳教育的に偏見まみれに育てられていることにクワトロが怒るシーンがあって。
ファンの間ではシャアの良識のありようを示すシーンだと言われていますが、どちらかというとこれは自分のしたことが最悪の結果を呼んだことに対する焦りでしょう。

そのあとクワトロがジオンのスーツを着て戦うシーンがある。ひどい。彼は初代からゼータに至るまでに明らかに色々なことをやり直しているのに、
なお過去から離れられないことを視覚的にも伝えてくる。

山場はティターンズとアーガマとアクシズとシロッコ一派の四つ巴。まあアクシズとシロッコは見ているだけですが。だいぶ陣営が増えてGレコみたいになってきましたね・・・

この回の終わりにはシロッコがアクシズと結託。仕事の早い男ですね。

34話「宇宙が呼ぶ声」

レコアさんの掘り下げが入ります。

レコア「危険な事ばかりするのよね、あたし。癖になってしまったのよ。」

最近のレコアさんは結構怖い。レビューで書くのがめんどくさくて書いてないだけで、結構描写が入っています。
最近はシロッコのことを思い出すと子宮が疼くっぽい。

レコア「戦争が終わって、そのまま連邦軍に入ったけど、何かが違っていたのよ。そして気が付いてみたら、エゥーゴに入っていた…。思想とか信念とかじゃないのよ。自分がギリギリのところにいないと、生きている気がしない。

エゥーゴに入る人ってみんな思想がそっち寄りとか、信念があるとか・・・そういう感じだと思うのですがレコアは単純に限界状態に自分を置かないと気が済まないっぽい。極端に言えばアドレナリン中毒なんでしょうね。そう表現しない場合は生き方の癖がついてしまったから普通の生き方では満足できなくなった人。

レコアがスパイやり過ぎだという話を前に書きましたが、スパイ任務によく送り出されるというよりはスパイ任務が好きな節すらあるんでしょう。

サラも「戦争は人をよりよく生きさせるための必要悪だ」と言っていましたね。考え方が近い。極限状態がその人をより生き生きとさせる。確かに徹夜明け朝5時半の山手線のホームはひどい気分であると同時にどこか3mm体が浮いているようだ。エマやサラは30cmくらい浮いてるんでしょう。

でもこの回のレコアの行動は死に魅入られているのか?と思えるほどおかしい。
明らかに危なすぎる突撃をしたから「下がろう」って言われたら、「行き遅れか」と呟く。

この人の中毒はどうすれば治るのだろう。

レコア「ふふ、あたしは、死ぬのに怖くない。そう、だから死にたかったんだ…。でも、誰かが呼んでいるのならば、私は…。誰?あなた、あなたなの?」
ヤザン「なぜ来る?何?」
レコア「教えて、呼んだのはあなたなの?」

カミーユ「あなたが、もう少しレコアさんに優しくしていたら…あんな事にはならなかったんです。わかりますか!レコアさんは、今頃、暗い宇宙を漂って…。」
クワトロ「サボテンが、花を点けている…。」

35話「キリマンジャロの嵐」

シンタ「だけどさー。ハロが壊れちゃったんだ、カミーユ。」
クム「直して!」
カミーユ「疲れてるし、忙しいんだよ。」
シンタ「嘘だぁ!ラビアンローズのドッグに入ってからは、大して働いてないじゃないか!」
カミーユ「お前、ブライト艦長の手先か?」

未だかつてなくカミーユが普通のにいちゃんっぽい。滅多に冗談を飛ばす場面はありませんでしたが、「お前、ブライト艦長の手先か?」とキャラに合わない返しまでする。
でもレコアが死んでめちゃくちゃきつい人物の一人のはずで、前回の最後ではクワトロに殴りかかっていたわけで。心に蓋をしようとしている状態なんですかね。

明らかにメンバーがギスギスし始めました。その線を越えていない人(=シンタ、クム)と話しているときは蓋をして冗談まで飛ばせるけれど、線を越えた人達(=クワトロ、ファなど死線を共に越えた人)と接していると蓋が決壊する瞬間がある。
この対比はZガンダムの「傷つけあうと心の距離が近くなる」論をわかりやすく表しているように思う。

Zと百式は重力に引かれて10話代以来に地球へ降り立つ。百式はウェイブライダーの上に乗って突入。さっきはギスギスしてたけどいざ生き死の境目に入ると仲良し。

キリマンジャロのティターンズの基地に乗り込むとなんと死んだはずのフォウが。20話ラスト、あの状況であの爆発に巻き込まれたのに死ぬことも叶わなかったんですね。

フォウはサイコガンダムに乗り、再び光線を撒き散らす。

フォウ「うぅぅっ!やっぱりお前か!お前のせいであたしは苦しむんじゃないか!」「殺してやる!」

36話「永遠のフォウ」

クワトロ「いや、フォウの意識はもっと強制されて、人為的に造られている。薬物と催眠療法でな。」

カミーユはフォウとの間に絆を見出していたのにこの冷や水の掛け方。ゼータのコミュニケーション論全否定みたいな発言ですよこれ。

カミーユ(妙だな、監視カメラがない。しかも昼間と全く違うフォウ…。全く別人に見える。しかし、僕には同じフォウにしか見えない。)

でもフォウの様子は確かに正常な人間のそれではない。いや、元々イカれてましたけどベクトルが違う。分裂に近い。

しかもいつの間にかOD女になってます。サイコガンダムに乗ると別の意識が流れ込むような感じがするらしい。まあ香港でもそんな感じでしたよね。

クスリという要素が唐突に出てきたことによって、こう、コミュニケーションの根本的なところをゆすってくるというか。それも錯覚なんじゃない?心って薬飲めば変わっちゃうものなんだから。みたいな。
これまで散々「確かなコミュニケーション」としての傷つけ合いを描いた末に、フォウはヤク中でした。って残酷すぎるな・・・・

20話をあそこまで盛り上げておいておいて酷い事しますよね。

その後フォウはどさくさに紛れてジェリドに刺され、死ぬ。

フォウ(カミーユ、悲しまないで。これであたしは、いつでもあなたに会えるわ。本当に、あなたの中へ入ることができるんだから。)

この世界に存在する限り、フォウとカミーユは本当の意味でコミュニケーションをとることすら難しい。薬なしには意識を汚濁させずに済む方法すらない。じゃあ薬を飲めばいいとして、薬を飲んで得た意識は本当にその人なのでしょうか?どれだけ真摯にコミュニケーションを試みても、傷つけ合おうとしても、愛し合おうとしても、結局は上べだけで空虚である事実が残るのだけではないか?

フォウは薬漬けであった、という事実がここまで積み重ねられたコミュニケーション論に鋭く、なお痛いメスを入れる回でした。
その空虚さから逃れるためには、フォウが死んで、カミーユの記憶の中に存在する形が選ばれるしかなかった。

閑話休題 サイコガンダムって結局なんだったんだ

サイコガンダムに対する表現はこのレビューの中でも全然定まっていない。

言及したものを列挙してみると

  • 怪獣

  • バンダイから提案された主人公ガンダム

  • msのことが人形に見えてくる乗り物

  • 別の意識が流れ込んでくる乗り物

みたいな感じですかね。まあどれもそこまで外してはいないと思います。

2番目がどうしても引っかかってしまいますね。富野由悠季のスポンサー嫌いは定評あるものですし。

統合してなんなら「作り手の目線に近いところに立ってしまう」、という見方すらできると思います。今思いついたので書いてみたのですが、読み方としてはマジで危険すぎますね。

でも実際フォウは達観しているようにも見えるし、それゆえに攻撃的になるのかもしれないですよね。
そういう視点を与えられることで(実際サイコガンダムの目線というのは単純にめちゃくちゃ高いはずです)フォウは乗ってる間に狂ったのかもしれない。俯瞰したくないのに見渡せてしまうから、みたいな。

設定はよく知らないですが、実際には別にサイコミュの逆流的なことは一切起こっていない、とかだったら面白いですね。

37話「ダカールの日」

久々のベルトーチカ。

前回とは打って変わって、実質的占拠による議会への乱入と演説をすることを目的としたポリティカルアクションものみたいになっている。毛色が全く違う。

演説をしている間も妨害しようとする勢力とどうにか継続させようとする勢力の戦いが起きる。なんかハリウッド映画っぽい。イメージ的にはそういう感じで話作っていきますもんねあれ。

個人的にはシャアが演説で何を喋ってるかとかにはあんまり興味がないので割愛します。逆シャアや閃光のハサウェイでもあったくだりだというのはわかるのですが、個人的に面白さとは別だと思うんですよねこういうの。

そもそも武力で議会を制圧してプロバガンダを流すという話ですよこれ。正直個人の信条的にはそんなに乗れる話ではないです。なんかダカール演説ってめちゃくちゃ持ち上げられてますけど・・・・別に普通の文章ですよねこれ・・・

その辺の主人公陣営にも擁護ができない感じというか、迷走している感じもZですよね。内ゲバの話ですし。

まあそこそこ面白い回ですが、構想があったからいずれやらないといけなくて適当なタイミングに挟んだ単話回感が否めない。前回のトーンとは合わないかな・・・。

言及すべきは最後のシャアの

「これで私は自由を失った」でしょう。逆シャアの「これでは道化だよ」にあたるセリフですね。ここから35話のカミーユのように歯に衣着せぬならぬ歯に衣着せた言動が増えていくんでしょうか。ディスコミュニケーションの材料が揃ってきている。

38話「レコアの気配」

タイトルが既に不穏ですね。

カミーユもクワトロも宇宙に戻りました。

宇宙に戻ったということは、これまで忘れることのできたハマーン、シロッコ、レコア、サラなどのもう顔を見るのも億劫になる程めんどくさいキャラ達がバンバン出てくる。

今発見したのですが、ファを呼ぶときにみんな「ファー」に近い言い方をしているのでなんでだろうと思っていたら、中国語の四声のイントネーションに似てる!
と思ったのですが、花(hua)は一声でした。もう全部撤回だよ。アホくさ。

クワトロ「地球の重力を振り切った時、人は新たなセンスを身に付けた。それが、ニュータイプの開花へと繋がった。そういう意味では、確かに宇宙に希望はあったのだ。」
カミーユ「よくわかる話です。僕もその希望を見つけます。それが今、僕がやらなくちゃいけない事なんです。」
カミーユ(そうしなければ、フォウはオレの中に生き残ってはくれない。)

そうですね。重力を振り払うことを目標にすべき。ただ38話になってもこんなにふんわりとした会話しかしてないとちょっと心配になってくる。

割と本気で話数稼ぎ回で見るのきつい。これまでで一番虚無です。
マジで適当なポエムと尺稼ぎのシナリオしかない。しかも20話ではあんなに強い意味合いを大気圏離脱に持たせることに成功していたのに、これは何もなくてびっくりする。
2日に分けてこの記事を書いていますが今日もう7時間Zガンダム見てるんですよ。それでこの虚無展開はちょっと堪える・・・

39話「湖畔」

ロザミアが再登場。もうフォウが再登場したのであまり驚きませんね。

この回はみんな私服がオシャレです。女性陣がみんな肩がボワっとなった服を着ていて可愛い。個人的にはまた流行って欲しいんですよねこの肩。以前見かけてとても好きだったファンアートを置いておきます。

ロザミアは自分がカミーユの妹だと言い張り「お兄ちゃん」と呼んでついてくる。というか思い込んでるんですよね。病気の女が増えました。

ロザミア、カミーユ、ファが一緒に馬車に乗るシーンがあるんですが、複数の登場人物が、うち誰かの操縦する同じ乗り物に乗るシチュエーションってZでは初出です。いや、戦艦とかはもちろん除外しますよ。

ただmsなどに同乗するシチュエーションって全くなかったです。このシーンの馬車は手綱の扱い方なども紹介され、「操縦」のニュアンスが高められている気がする。

この回のロザミアはマジで目がイってる。意図的なんですかね。マジで精神がおかしいことが示されていますね・・・

気づいたので構図の話もするか。ロザミアが同乗してから馬車の動きは一貫して左から右、つまり下手から上手です。これは富野アニメにおいては明らかに不自然な動きです。いや、マジで。

しれっとミネバも出てきます。いつから出てきたのかマジでわからん。

そのミネバをハマーンがうちの子だから返せ的なことを言って取り返しにくる。しかも誘拐だったのだと勘違いしてしまう。
ミネバが出てくるもっと自然な流れが欲しいですが、ロザミアも出てくる回なので厳しいか。もう尺が足りなくなってきた感じが伝わってくる。

40話「グリプス始動」

コロニーレーザーが出てきた。ガンダム知らない人が読んでいるとは思えませんが、
一応説明すればガンダムの終盤では決まって出てくる、一発で数千万人は殺せる大量殺戮兵器のことですね。
殺戮をヒートアップさせ末期感を出す役割もありますが、大体の場合「出てきたら盛り上がるから」くらいの理由でポン出しされる印象。水星の魔女とか、ほんと酷かったですよね。あれ許せるような脚本の雑さには入らないです。

シロッコ「君は、君の魂の安らぎが欲しいためにここへ来たのだろう?」
レコア「魂の安らぎ…?」
シロッコ「君の心が傷付いているのに、アーガマの男達にはそれに気付くナイーブさがなかった。」
シロッコ「だから君は強い女を演じるしかなかった…。が、君は疲れ果てた。疲れを癒す場所が欲しかった。」
レコア「まるで、見たような事をおっしゃる…。あっ…。あぁ、うぅっ。はぁ。」
シロッコ「このぬくもりこそ、君が求めていたものだ。」
シロッコ「もし、仮にこれが偽りのものなら、君は私の胸を刺すがいい。

シロッコの口から「魂の安らぎ」というワードが出てきました。
明らかにZのストーリーにはそれが概念として存在しているのにそれが名前として登場したことがなかったのでついにきたか、という感じですね。

レコアは強い女を演じるしかなかった、と。
確かにアーガマのクルーはみんな精神的に追い込まれているのでみんな演じるフェーズに入っています。カミーユの蓋のくだりだとか、シャアの「自由を失った」「道化」のくだりだとか。
それが決壊して寝返ったのがレコアなんですね。考えればカミーユも一歩手前でしたよね。

しかしシロッコは生来の詐欺師すぎて「仮にこれが偽りのものなら、君は私の胸を刺すがいい」とかほざきます。刺されてえのかお前。
いや、本当に刺されたいのかもしれませんね。

さて、実は生きてた展開のレコアとカミーユが遭遇しますが・・・

カミーユ「何で、生きてる間にこんな出会い方をしなくちゃならないんです?敵になるっていうのは、殺し合う事でしょう!」

もうレコアが死んでいればよかったのに、とでも言わんばかりですね。

フォウが死んだことでやっとコミュニケーションの空虚さから逃げ切ることが出来たカミーユからすればレコアもそうであればよかったのに、と感じるのは自然ですね。
もう関わり合い傷つけあう営みの、空を掻くような哀しさに疲れ切っているように見える。
もはや殴り合って確かな心の通わせ合いを志向するこれまでの段階から、それすら嫌になったからみんな死んでしまえばいい、という段階に入る。

エマ「カミーユ。レコア少尉に会ったのね?」
カミーユ「知りません。」
(中略)
エマ「殺して仕舞うべきだったのよ
(中略)
カミーユ「あなただって、ティターンズを裏切った人でしょう?」

カミーユ「主義で行動することが、そんなに正しいんですか?ぐっ!」
エマ「生意気言わないで。感情に任せて生きることなら、誰にだってできます!」
カミーユ「パンパン人を引っぱたく人の言う事ですか?」

もうZガンダム極まれりですね。
エマはレコアに対する憎しみなのか、それともカミーユ同様の死んでしまった方がマシだった論なのか、殺してしまうべきだったという。
それが鼻についたカミーユはエマだって元を正せば裏切り者じゃないかと。レコアを糾弾する権利はないと。それに対してエマは特大ブーメランを飛ばす。

エマも今ここにいる理由が一時的な感情の結果である人間には変わりはないのに。浅ましいのは同じ。
しかもカミーユに対して攻撃的。ここ10話くらいは描写が消えていましたが、母親ヅラしていましたよね。

6話や28話でカミーユがレコアに対して慕い、大事にするような感情を持っていることが強調されていたのはこの話数の痛々しさを担保するための伏線だったとも言えますが、Zガンダムにおける母親が見えてくる気がする。

割り込み Zガンダムにおける3人の母親と3つの父親

Zガンダムにはカミーユの母親が3人出てくると言える。実の母、それを(間接的に)殺して母親の座を奪ったエマ、そしてレコア。

実の母に対する描写はめちゃくちゃ薄かったしカミーユと彼女が話すシーンってほぼなかった。確か1話で迎えにくるんだけどガン無視しちゃうんですよ。
今思えばあれが分岐点でしたね。あそこで素直に母親に引き渡されておけばガンダムに乗ることもそもそもなかったはず。

名前を失念するレベルで描写が少なかったですが、カミーユの母親は「カミーユにもともと与えられていたのに、自ら拒絶し、死に追い込んでしまった」母親であると言える。
父の死はフランクリンが露悪的に描かれていることによって彼の責任であるかはかなり曖昧ですが、母は明らかにカミーユの1話の行動の結果死んでいます。

次にエマ。エマは前述の通りカミーユの母親の死に関わっています。彼女が今アーガマにいる理由がそもそもカミーユの母親の殺害に関わったことがきっかけなわけで。彼女の自認としては自分が彼の母を殺した、であるというのは描写からも察せる。もう何回も書きましたね。

そしてレコア。レコアはカミーユには興味のない、カミーユにとって「この人が母親だったら、よかったな」枠。これに似た、理想の母親を想像したしたり、何かに見出すような体験をした人は結構いるんじゃないでしょうか。個人的にはすごくよくわかる感情です。

こんな母親3人説を唱えて何が言いたいかというと、今この状況って

  • 母親3がシロッコに奪われた

  • 母親2は3なんて殺して仕舞えばよかったと言っている

状況です。これエディプスコンプレックスとかを考えればここでシロッコに「父親」のロールが与えられたと言えませんか。

これで父親も3つになったわけです。

カミーユの父親も3つあると言えます。なぜ3人ではなく3つというかというと個人に限定できないからです。

まずフランクリン。これはカミーユがレコアに対して持っている感情とは完全に逆で、「望まなかった父親」です。あんなの親じゃない、というセリフがありましたよね。フランクリンを5話で迷わず殺せていたら、これ以降の父親は必要なかったはずです。父殺しのイニシエーションを保留にしてしまったことが重要なポイント。

次にアーガマに乗っている大人たちです。具体的に言えばクワトロでありウォンでありブライトであり・・・・挙げたらキリないですね。Zガンダム序盤の暴力描写(ビンタ、修正)に対して「理不尽な父性」という言葉を使いましたが、まさにこれの話。もう「ビンタ」が第二の父親だと書いてもいいかもしれないですね。

しかし、Zガンダムの序盤が過ぎるとこれらの理不尽な父性は物語から消失します。なぜなら暴力に対する描き方が「理不尽なもの」から「コミュニケーション」に変化するからです。フォウのエピソードの時点でもう変質しています。

そしてしばらくZガンダムは明確な父性不在のまま進んでいくのですが、ここでやっと出てくる第3の父親がシロッコです。

カミーユにとって理想の母親たるレコアを奪うことでシロッコはカミーユにとって「倒すべき父親」として君臨する。
彼以外に倒すべき父親ってZガンダムに出てこないです。フランクリンの描写はテムレイ的で、捨てるべき親として描かれる。アーガマクルーは仲良くやっていくべき父親として描かれる。

最終回でカミーユがシロッコを殺すのは変、みたいに言われているのをSNSやネット上の言論で見かけたことがあります。確かにカミーユとはそこまで因縁深くないシロッコを殺すんじゃなくてもっとこうティターンズの親玉とかをZガンダムでかっこよく倒した方がなんかこう、スパロボですよね。

でもこうしてZガンダムにおける「父親と母親」を整理すると、
父殺しのイニシエーションを果たすためにカミーユがシロッコを殺すのは物語的な必然性があると言える。

Zガンダムは父親と母親が早々に退場するからそういう話は薄い、というのは間違っていると思う。むしろ父親と母親という命題に最後まで縛り付けられている作品だと思う。

41話「目覚め」

ロザミア、めちゃくちゃ退行してますね。
序盤に出てきた時は可愛いくらいで済まされる頭の壊れ方でしたが、今のロザミアは再登場フォウよりも酷い。フォウは薬漬けだったという事実はすでに示されていますが、ロザミアを通じてさらに追い討ちをかけようということだろうか。

レコアはティターンズで毒ガス作戦の指揮を取らされる模様。

レコア(しかし、これでアーガマが来れば、嫌な作戦をしないで済むかも…。)

作業中にこんなこと思い始める始末。こんなんなら裏切らなければよかったのにね。でももう遅い。

レコア(来ないのか、アーガマのモビルスーツ隊は?こんな事では、作業は終わってしまうし、これではエゥーゴの中核にはなれない!)

もう意味わからないこと言ってる。妄想癖でしょうか。今からさらに転身してエゥーゴの中核になるルートが見えてしまったんですかね。薬キメてなくても普通に病気の女だ。

カミーユ「なぜ、そうも簡単に人を殺すんだよ!死んでしまえ、死んで!

なぜ、そうも簡単に人を殺すんだよ。死んでしまえ。

素晴らしいセリフですね・・・いやほんといいセリフ・・・

しかも同時にロザミィが記憶を取り戻したのかなんなのか、ゼータは宇宙を落とす!!!!!!!とか叫んでカミーユと戦い始める。

病気の女が多過ぎる!これ来期の覇権アニメのタイトルらしいです。
まあ実際には40年前のアニメの話なんですけどね。

ちょっと濃すぎて書くのも難しいです。本筋が3つくらい同時に進行してるんですよ。カオスアニメすぎる。

42話「さよならロザミィ」

もう頭おかしくなりそうですが、見進めます。

ロザミア「お兄ちゃん? お兄ちゃん、敵のZガンダムに捕まってるのね?」

もう何言ってるのかわからないです。Zガンダムは敵、と洗脳されているから味方と認識しているカミーユが中に入っているのが理解できないのでしょうか。

ロザミア「そう…Zは宇宙を落として、私の弟も、母も父も潰した…。宇宙が…宇宙が落ちる…。」
カミーユ「カミーユは、君のお兄ちゃんだったんだぞ。戦いをするためにお兄ちゃんはZに乗って来たんじゃない。ロザミィ、白い船に帰るんだ。新しい弟や妹が待っている船に!」

ロザミアは序盤に出てきた時も「宇宙が落ちる」と繰り返している。敵は彼女曰く「宇宙を落とす」ものだと。

ロザミアは家族がZガンダムに皆殺しにされたみたいな言い草ですが、そんなわけないですよね。妄想。
でもカミーユもその妄想に付き合ってやってしまっている。もう嘘でも虚言でもなんでもいいと言わんばかり。

コミュニケーションの空虚さがフォウのエピソードで提示された時、カミーユは真摯なやりとりを求め、フォウもそれに応えようとしていたけれど、彼女は薬漬けで・・・ということだったはずです。

でもこれはもうロザミアとコミュニケーションを取ろうとするあまり「自分はロザミアの兄である」彼女の妄想に乗っかってしまっている。カミーユの繰り出している言葉ももう完全に実態を持たない空虚なものになってしまっている。

カミーユ「こうやって、抱きしめていたかった。そういう女の子がいたんだ。」
ロザミア「ファの事?」
カミーユ「違う。戦いの中で、僕をかばって…。」
ロザミア「死んじゃったんだ…。」
カミーユ「あぁ。」
ロザミア「恋人?」
カミーユ「違うな。僕とロザミィみたいな関係さ。わかるかな?」
ロザミア「カミーユのお姉さん?
カミーユ「え? …そうだよ。よくわかるな。」
ロザミア「わかるよ、お兄ちゃんの事だもん。うふふ。あははははは。」

すごすぎますね。ため息も出ない。こんな会話を容認していたら、もはや確かなコミュニケーションを取ろうとすることに意義を感じられなくなっていくでしょう。

Zガンダムにおいて妄想に呑まれることは確かなコミュニケーションへの諦めなのだろうか。でも、本気のやり取りの中で傷つき続けるよりも、病気になることの方が幸せなのだとしたら?

43話「ハマーンの嘲笑」

ついにキュベレイ登場。

コロニーレーザーを潰さないといけないけれど、エゥーゴだけでは厳しいと判断し、ハマーン達すなわちアクシズに媚を売ってやってもらうことにするらしい。

まあこれといったドラマはぶっちゃけない。ハマーンは協力する気はなかったけど誤射でグリプスに当たったらしい。ちょっとこの辺はわからん。ティターンズと組むかエゥーゴと組むかどっちでもいいと本気で思ってたのか???

44話「ゼダンの門」

ゼダンの門というのはアバオアクーのことらしい。初代の最終決戦があった場所ですね。

サラが久々に登場。もうなんか病気女多すぎて全然捌けてないですねこのアニメ。尺が足りてねえし変な使い方してる。前回のハマーンの回は他のギチギチの回と比べればスカスカでしたし。

文句を垂れても仕方ない。ボリノークサマーンが登場。

カミーユ「サラを大事にしてるんなら、こんな危険な事させる訳がないだろう!」
サラ「違う!あたしはレコアよりも期待を掛けられているのよ!」
(中略)
カミーユ「やめろ!サラ、目を覚ませ!ヤツに正義なんかないんだ。サラはそれに気が付いてないんだ。」
サラ「パプティマス様は、人類の新しい世界を切り開く方だわ。」
カミーユ「利用され、殺されてもか!
サラ「あの方の理想のためだったら死んでもいい。」
カミーユ「バカ!死んだら…死んだらお終いじゃないか!死んだら…。」

久々のジェリド対カミーユ。でも決着つかなかったですね。サラのせいでカミーユが死にかけましたけど。思わせぶりで引っ張る展開が多くてイラつきます。

45話「天から来るもの」

割と本気で虚無みたいな回が増えてきました・・・

パラスアテネが出てきました。レコアが乗ってますね。とうとうこの女アーガマを直接撃った・・・・と思えば自分の軍のmsも殺す。

レコア「私は元々主義者ではないわ。私は戦争で無くしてしまった私の感情の行き所を探して、生きていたの。」
「今のあたしは女として、とても充足しているの。安定しているのよ。でも時々昔の事も思い出すから。」

女として充足したいだけなら別に軍に入って殺人兵器乗り回さなくてもいいと思いますが、まあ頭イカれた女なので・・・・

カミーユは今の状況正直どう思ってるんでしょうね。

サラとカツの恋愛的なあれが細々と続いていましたが、なんかイマイチオチに至らないので割愛します。

46話「シロッコ立つ」

サラが死んだことによって、カツとシロッコ両方を守る選択肢を取ったのがウケる。じゃあ板挟みにされている人って死んだ方が早いんでしょうか。なんかサラが死ぬのは救いがないですね。

でもサラがエゥーゴ陣営に属せば良かったとは言えないですよね。どっちにしろ不幸になっていたように感じる。

47話「宇宙の渦」

カミーユ対ハマーンだけが見どころですね。こんなに退屈なんですねZの終盤って・・・

カミーユはハマーンと戦って、あの有名なニュータイプの交感シーンが起こるんすけど・・・お互いの中身を覗き見合ったあと、

カミーユ「はっ、夢だったのか、今のは。やめろ、ハマーン!」
ハマーン「よくもずけずけと人の中に入る!恥を知れ、俗物!」
カミーユ「やめろ!僕達はわかり合えるかもしれないだろ!ここに来るまで!」

20話と同じですね。敵同士なのに、なぜか身の上話をしてしまって、で、何やってんだ自分、ってなって拒絶。

48話「ロザミアの中で」

まだロザミアもレコアもジェリドもハマーンもシロッコも話にカタがついてない。本格的に不安です。

ゲーツ「ロザミア、聞こえてるか?」
ロザミア「えぇ、お兄ちゃん。」
ゲーツ「よーし、いい子だ。息を2回吸って一度で吐く。そうだ、ゆっくりだ。落ち着いてるな、ロザミア。」
ロザミア「えぇ、お兄ちゃん。」

満点ドカ笑いですね。ロザミィ、もう何も見えてないです。

でもカミーユにはロザミィがフォウに見えたり、なんか別のもの見えている模様。んで、最後はロザミィを自分の手で殺害。

真面目に考えるならあれですかね。フォウを自分の手で殺すことを2回回避した(1回目は殺さなかった、2回目はジェリドが殺してくれた)のでフォウを殺すイベントのツケが回ってきた感じですかね。本来自分で起こすべきイベントだというのはなんとなくわかります。

なんかこういう物語上のやることリストを保留にしてしまったが故に遠回りする展開が多いですね。

49話「生命散って」

もう大詰め。もう終わりです。本当に物語が終わる。

ジェリドもここで死ぬでしょう。レコアも死ぬでしょう。最終回はなんとなく覚えてるので。

カツが死んだ。前半はギャグ枠として、そして後半にはサラとのシリアス展開もありましたね。ヘンケンも死んだ。

カミーユ「貴様のようなのがいるから、戦いは終わらないんだ!消えろ!」
ジェリド「俺を戦いに駆り立てたのは貴様だ!そんなこと言えるのかよ! オレは貴様ほど、人を殺しちゃいない!」
カミーユ「俺は、人殺しじゃない!」

ジェリドを戦いに駆り立てたのはカミーユでもある。カミーユみたいなのがいるから、戦いは終わらない、というのも正しい。そしてカミーユもジェリドも人殺しだし。そしてジェリドは「カミーユ、貴様は俺の・・・」と言い残して死ぬ。散々傷つけ合って生まれた絆。でも最後はこうやってどちらかが死ぬだけなんですよね。

カミーユ「こんな死に方、嬉しいのかよ。満足なのかよ。誰が、誰が喜ぶんだよ!」

エマがレコアを刺し殺しました。カミーユの母親同士の戦いですね。凄まじい気迫・・・・・でもレコアが生き残らなくて良かったです。エマは罪悪感からカミーユの母親をやろうとするような女性ですし。

カミーユがヤザンを倒しましたが、脱出ポットがしっかり描かれていますね。これはZZに続投させるために生き残ったのか、それとも物語の意図として死ななかったのか・・・後者なら、救いがない・・・戦いを楽しみ戦いを生み出す意思は生き続けるわけですから。

50話「宇宙を駆ける」

もう伝説の最終回ですね。

エマが命絶えました。代理の母親とはいえ、母親を看取ることができたんですね。これでカミーユの母親は全て死にました。

シャアも死にました。そのあと逆襲のシャアとかが作られたからここで死んでないと思うだけでこの描写は明らかに死んでいます。Zガンダムという物語の中では死んだと思うのが順当だと思うんですよね。

そしてカミーユ。

カミーユ「俺の身体を、みんなに貸すぞ!」

フォウの声が聞こえる。レコアの声が聞こえる。エマの声が聞こえる。ロザミアの声が聞こえる。カツの声が聞こえる。サラの声が聞こえる。

カミーユは死人に体を明け渡し、彼らの痛みが「わからない」シロッコを殺す。が、シロッコはカミーユを道連れにする。

めちゃくちゃ確信犯的にありえない展開にしてますよね。んで、この後「fin」ですからね。ニチャニチャしてるのが見える見える。


完走の・・・感想

最後の方はマジでヤケクソでしたがZをどうにかこうにか完走しました。
常にnoteとアニメの二窓体制で見たのでめちゃくちゃ疲れました。常にセリフの意味を考えたり、物語を追うだけでなくその構造とか意味とか考えたり・・・・

でもこれでZを完走したと胸を張って言えるので良かったです。高校時代に見た気がするのですが、面白さがわからなかった上記憶がかなりあやふやだったので。

今後これに書いた内容を叩き台にZガンダムの話をnoteにあげるかもしれないです。でも今はそんな力は残されていないので・・・とりあえずこれを上げます。

ここまで読んだ人がいるとは思えないですが、読んでくれた方はありがとうございました・・・・・

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