ホチキスの芯
ホチキスの芯が好きだ
規則的に並ぶそれを眺めていると
心が落ち着く
あの色、艶、かたち、すべてが快い
ひとかたまりになっているそれらを
手でばらばらにするときの感触も
心地よい
ぱ き
鳴るか鳴らないか
そのはざまを行き交う音が
手に伝わる
耳を
澄ませながら
肌触りを愉しむ
照明に翳してみる
まるで水面に
陽の光が揺らめいているように
それもまた
光を反射させ
きらめいていた
どんなにその良さを伝えても
夫は冷ややかな目でわたしを見る
それでも
好きなもの
子どもの頃から
ずっと変わらない
色
艶
かたち
それは
ずっと変わらない
わたしを敬虔な気持ちにさせる
けれど
時代の波は
おしよせてきて
いずれ煙のように
消えてなくなってしまうかもしれない
それはちょっぴりさみしい
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