Message 00 ~Prologue~
こんにちは!!
ならまちワンネス歯科の西塔です。
歯科医院を訪れる子どものお母さん方の心配事のほとんどは虫歯がないかどうかと、将来の歯並びについてです。虫歯はともかく、歯(永久歯)がきれいに並ぶかどうかってどうやって決まるのでしょう?
歯の大きさは決まっているし、顎の大きさだって決まってる。
果たしてそうなのでしょうか?
そこにはヒトの進化から始まるふか~い物語があります。
話は歯並びだけにとどまらず、子どもの発達全般から今は社会問題ともなりつつある発達障害にまで。
さらに子育ての意味とか、人が生きる意味、幸せって何だろう?といったところまで及びます。
目からウロコなこと必至の歯並びと生きる力の話。
子どもって大人の縮図なので、本当はこれって大人の話だったりします。
まだ人類史上だ~れも見たことのない、聞いたことのない世界へ歯医者である私がご案内します←ちょっと言い過ぎたかも(^^;)
さあ、子どもの育ちを通して一緒に人間という摩訶不思議な生命体の謎解きの旅に出かけましょう!!
まずはじめにトップページの動画の最後にご紹介している
「子どもの体からのサインチェックシート」と
「健康な体と良い歯並びのための子育てチェックシート」をご覧ください。
【体からのサイン読み解きチェックシート】
(1) 食べる( 授乳や離乳食、食事のことで気になることがある)
(2) 寝る(睡眠に関して気になることがある)
(3) 遊ぶ(体の動きで気になることがある)
(4) 暮らす(日常生活のことで気になることがある)
(5) 学ぶ(勉強や集中力のことで気になることがある)
(6) 関わる(コミュニケーションや精神面で気になることがある)
(7) 歯並びや口のことで気になることがある
【健康な体と良い歯並びのための子育て秘訣シート】
きれいで良い歯並び、そして生きる力を育てるために子育てで心掛けることを抜粋したのが次の7項目です。
(1)夫婦仲が子どもの人間力を決定する
(2)子どもは大人時間では生きられない
(3)首を守り育てることが子どもの一生を決める
(4)時短便利は誰のため?
(5)硬いもので顎は育たない
(6)五感が体を育て、体が脳を育てる
(7)良質の睡眠こそが成長の決め手
体からのサイン、どれくらい当てはまったでしょうか? お子さんがいらっしゃらなくても、自分が子どもの時どうだったかと考えても面白いかもしれません。ではサインについて具体的に見ていきましょう。
子どもの体からのサインの具体例
(1) 食べる(授乳や離乳食、食事のことで気になることがある)
・ 食欲がない
・ 食べるのが遅い
・ よく噛まずに丸飲みする
・ 飲み物と一緒でないと飲み込めない
・ 好き嫌いが激しい
・ クチャクチャ食べをする
・ お箸がうまく使えない
(2) 寝る(睡眠に関して気になることがある)
・ なかなか寝付かない
・ 夜中に目を覚ます
・ 寝相が悪い
・ 歯ぎしりをする
・ イビキをかく
・ オネショをする
・ 寝起きが悪い
・ 朝、食欲がない
(3) 遊ぶ(体の動きで気になることがある)
・ すぐにこける、つまづく
・ こけた時に手をつかずに顔をぶつけてしまう
・ 歩き方や走り方がおかしい
・ 外遊びが好きでない
・ 一人遊びを好む
(4) 暮らす(日常生活のことで気になることがある)
・ すぐ疲れたという
・ 風邪をひきやすい
・ 熱が出やすい
・ いつも鼻が詰まっている
(5)学ぶ(勉強のことで気になることがある)
・ 集中力がない
・ 話についていけない
・ 字がうまく書けない
・ 鉛筆の持ち方が変
(6)関わる(コミュニケーションや精神面で気になることがある)
・ 視線が合わない
・ 理解力に乏しい
・ 言葉の発達が遅い
・ 極端に人見知りをする
・ 抱こうとすると嫌がる
・ キレやすい
(7) 歯並びや口のことで気になることがある
・ 歯がぴったり隙間なく並んでいる(乳歯の場合)
・ 歯並びがガタついている
・ 出っ歯あるいは受け口
・ かみ合わせると下の前歯が見えない
・ 自分のつばがうまく飲み込めない
・ いつも口を開いている
・ 言葉がはっきりしない
・ 舌をよく突き出している
これだけあると、自分の子どもに何も当てはまらないということはないのではないでしょうか。なんとなく気にはなっていたけれど、あまり深く考えたことはなかったということもあるかもしれません。でもね、それぞれにきちんとそうなる理由があって、中には様子をみていても解決しないこともあります。ここではあくまでもザックリとですが、なんでそのサインが出るのかをみていきましょう。
体からのサインの読み解き例
(1) 食に関すること
・ そもそも本当にお腹がすいているのでしょうか
・ 食べないのではなく食べられないのでは?
・ 噛まないのではなく噛めないのかも
・ 唾液がちゃんと出ているでしょうか
・ 食材は今のその子にとって適切でしょうか
・ 過敏(好き嫌い)には理由があり、脳が体の防御反応として命令していることもあります。
・ 口を閉じないのではなく閉じられないのかも。口を閉じると息が出来なくて苦しいからかもしれません。
(2) 睡眠に関すること
・ 睡眠の問題の多くが呼吸と関係しています。呼吸がきちんとできていない、つまり酸素不足の状態ですと十分な睡眠がとれません。睡眠中に成長ホルモンが出たり、脳や体の疲れを取る、免疫力を高めたりする、そういったことがうまく行われないのです。オネショですら呼吸の問題のことがあります。
動画であったように酸素不足は、上顎の成長不足が原因のこともありますが、ではその上顎の成長不足がなぜ起こったかという理由があるわけです。ここでは詳しく述べませんが、その理由こそが呼吸が正常に行われるかどうかを決定しています。言い換えると体の中に鍵となる構造があって、その構造が正常で機能も正常に働いた場合に、呼吸もスムーズにできるし、その機能が上顎を成長させるようにも働くということです。
(3)遊びに関すること
・ 体のバランスが取れないということは生まれてから自分でしっかり歩けるようになる3歳までの基礎的な発達・発育に何か問題、不足があった可能性が高いです。その中でも体幹の発育が不十分なことと、「子育て秘訣シート」の中でも説明していますが、首の発育には特に注意する必要があります。
(4)暮らしに関すること
・ 呼吸に問題があり酸素がうまく取り込めていないと、体の中でエネルギーを十分作ることができないので、様々な組織や器官の働きが鈍ります。その際に、どこの部分の働きが鈍るかで出てくる症状が違ってきます。また、上顎の発育が不十分だと鼻疾患だけでなく、免疫力の低下による症状も出ることがあるでしょう。
(5)勉強に関すること
・ 首の上で頭が安定していない場合、子どもは常に船酔いしているような状態です。おまけに呼吸の問題があり酸素不足なら、勉強どころではないでしょう。また非常に気づきにくいのですが、頭の不安定さにより、子どもが実はしっかり見えていなかったり、聞こえていなかったりすることがあるので注意が必要です。
・ 手先の動かし方の問題を辿っていくと、体幹の発育の問題に行きつきま す。生まれてからつかまり立ちするまでの基礎的な発達段階での不足が あるとそのようになりがちです。それに対して、お箸や鉛筆の持ち方、動かし方の練習という表面上の対応はいかがなものでしょうか。
(6)人との関わりに関すること
・これに関しては、いわゆる発達障害と呼ばれるるものと絡んでいることがあり非常に難しい部分です。ここでは詳しく触れずに発達障害についてまとめた形でお伝えしたいと思います。ただし、早めに問題に気づいて早めに適切な対処をすることで、その後の経過が大きく変わることも多いようです。
また、これは他の項目でも言えることですが、食物の消化吸収、栄養の 代謝の問題から体内での様々なシステムがうまく機能しないことが大きく影響している可能性も考える必要があります。
(7)口に関すること
・ 繰り返しになりますが、顎の発育も含めて口の構造・機能は全身のそれ と絡み合いながら作られていきます。ですので、口だけ見ていてもダメですし、いつも口を開いているからといって「口を閉じなさい」と注意しても口を閉じられない理由があるわけで子どもにとってつらいだけです。なぜそうなるのかを考え対処することで口だけでなく体全体の発育に寄与します。口に起こることは比較的親が気づきやすい。これは子どもの発達・発育をみていく上で大きなメリットと言えるでしょう。
子育ての秘訣を少しだけ解説
赤ちゃんの成長を動物に例えてみるとわかりやすいかもしれません。
胎内で羊水に浮かんでいる状態が魚、ハイハイをしているのが両生類から爬虫類、高這いが哺乳類、お座りが出来てサル、ヨチヨチ歩きでようやく人間としてのスタートライン。赤ちゃんは生まれてたった一年で約40億年といわれる生命の進化をたどってみせるのです。
このように考えると大人にとって一日は24時間ですが、小さな子どもにとっての一日というのは数千~数十万年に相当すると言えるでしょう。大人の用事や都合に合わせて子どもをベビーカーや自転車に乗せて連れ回してしまうと、子どもは歩行に関わる発達が未熟なまま成長しかねません。サルから人間への進化を遂げるのに要した数百万年ともいわれる時間を子どもは経験できないまま大きくなってしまうのです。このことの重要性はあまり認識されていないようで非常に危惧しています。
また、赤ちゃんは体に対して頭が大きいのが特徴です。その大きくて重い頭を最初は支えられません。首がすわるにつれて徐々に頭を持ち上げることができるようになります。最終的に胴体の上で頭を安定させるのはどれだけ首がしっかりすわったのかによるのです。
首がしっかり発育せずに頭が安定しないと、まるで船酔いしているようなものですから脳はうまく働かないし、体も思い通りには動かせません。首は頭と体を繋ぐ大動脈。そこが不安定だと体からの情報がうまく脳に伝わらないし、脳から体への命令も十分には届きません。最初はフニャフニャな首をどれだけ大切に守り育てていくのかが、子育てで一番の肝だと言えるかもしれません。
いかがでしたでしょうか?
”子どもってこんなもの”と思っていたことが案外そうではなく、子どもの体からの大切なサインだったり、今まで常識と思っていた子育てに関することが実は最新の知見からは非常識だったり。
多くのお父さん、お母さんがネットから情報を仕入れられますが、それらの情報は案外間違っていたり不正確、あるいは偏っていたりして、良かれと思ってやっていることが子どもの発育にとってはマイナスになることもあるようです。
わたしたち歯科医は一人の患者さんを定期健診も含めて長年見続けています。たとえ同じ人でなくても赤ちゃんからお年寄りまで見ますので、こういうことをしているとこうなりやすい、といったことがよくわかるのです。
もちろん何でそうなるのか、例えば「歯並びがどうして悪くなるのか?」といった疑問や問題があれば、それについて何時間も、場合によっては何年も考えますし、調べますし、お金を払って研修を受けたりもします。
また、一人の決して良い父親とは言えなかった私自身の経験から、たくさんの子育て上の失敗やどうしたらよかったのかなど、お伝えできることが山のようにあります。
ひとつ大切だと思うことは、「こういう場合はこのようにすればよい」といったハウツーというのは、問題の数だけ答えを知っていなければどうしようもありません。でも、「子育てとは何か」「子育ての意義とは」といった核心を腹に落としておけば、あとは自分で考えることができます。
これから展開していくお話の中で、さまざまな事柄が出てきますが、すべて核心を腹に落とすための例え話だと思って読み進めて頂ければありがたいです。