「HSC」を守りたい
新刊『HSCを守りたい』(斎藤暁子さん著/風鳴舎)の編集・一部執筆に協力しましたので、ご紹介させてください。
「HSC」ってご存知ですか?
HSC(Highly Sensitive Child)は、直訳すると「ひといちばい敏感な子」。
米国の心理学者、エレイン・N・アーロン氏が提唱した概念で、感受性が豊かで他人の気持ちによく気がつく一方、周囲の刺激に敏感で傷つきやすい気質の子どもを指します。
たとえば、チクチクする服やいつもと違う味を極端に嫌がる。
人の気持ちや場の空気を察しすぎて疲れてしまう。
嬉しい、楽しい、怖い、悲しいという感情反応がひといちばい大きい。
怒られている子どもを見て、まるで自分が怒られたかのように感じる。
まわりをよく観察し、深く考察する……etc.
HSCは病気や障害ではありません。その子ども自身が持って生まれた、ひとつの気質です。ただ、それゆえに「そんな小さなことで騒いで大袈裟」「甘えているだけ」と捉えられ、HSCが抱えている困惑や悲嘆、ストレスが理解されにくい側面があると言われています。
本のテーマは「HSC×不登校」
今回、私が編集・一部執筆に協力したのは、斎藤暁子さん著『HSCを守りたい』(風鳴舎)です。
▼『HSCを守りたい』(斎藤暁子さん著/風鳴舎)
日本でも、HSCの概念が注目されつつあるなか、いくつかのHSC関連本が出版されていますが、今回の書籍のテーマは、HSCの気質を持つ子どもに「学校に行きたくない」と言われたら、親としてどうするか、です。
HSCにとって学校はどんな場所なの? 気質を理解した接し方とは? 学校以外にどんな居場所や教育の選択肢があるの? といった疑問に応える内容になっています。
HSCは集団生活、特に学校生活との相性がわるく、いじめや学校の授業についていけないなどの明確な理由がなくても、大人が想像する以上の生きづらさを抱えている場合があります。学校関係者をはじめ、より多くの方にHSCについて知ってもらいたい。敏感で繊細な子どもたちが幸せな未来を築けるように力を尽くしたい。その想いから本書が生まれました。
18人の母たちと一緒につくった本です
今回の書籍がとてもユニークなのは、18人の母親たちが集まり、著者の斎藤さんと一緒につくったという点です。クラウドファンディングで資金を募り、当初は自費出版する予定でしたから、本づくりは、本当に驚くほど手づくりでした。
まず全体の構成をみんなで話し合い、1章~6章まで各章にわかれて、章ごとにプロジェクトマネージャーを立て、メンバーで調査・取材・執筆・校正を担当。書籍づくりの現場を知っている方には、破天荒すぎて、ちょっと信じられない話だと思います(笑)。
プロジェクトは、まさに仕事さながら。全国にいるメンバーをSlackとZoomで結び、ある章では、毎回朝5時からZoomミーティングを行いました(多くの母親が子育てと仕事から解放される時間が朝5時だったのですね・・・)。みなさん、深い優しさと気遣いを持ちながら、自身の意見をしっかりと伝える、そして常に「読者視点」に立った、すばらしいチームだったと思います。
年齢も、家族構成も、住まいもバラバラな18人の母たちが、こんなにも時間と労力を使って、それぞれが主体的に行動できた原動力は、「HSCを知られていないがゆえに苦しんでいる子どもたちを守りたい」という想いでした。(会社や仕事でも、ビジョンに共感する仲間が集まることがやはり大事なのだと痛感…)。「本の作り手が想定読者である」という強みを活かして、これまでにない本に仕上がったと思います。
最終的には、風鳴舎さんにお声がけいただき、商業出版となり、全国の書店に置いていただけることになりました。HSCに興味のある方は、ぜひお手にとってみてください!
▼『HSCを守りたい』(斎藤暁子さん著/風鳴舎)
なお、私は第三章の「専門家とお母さんたちの座談会企画」の編集協力、第四章のインタビュー事例集「HSCを育てる母たちの決断と選択」のプロジェクトマネージャー・編集・執筆を担当しました! ぜひ、ご注目ください^^
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ひといちばい敏感な子(エレイン・N・アーロン著)