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こどもホスピス ~限りある小さな命が輝く場所~

お手伝いさせていただいた大切な大切な本が、出版されました。
 
『こどもホスピス 限りある小さな命が輝く場所』
(NPO法人横浜こどもホスピスプロジェクト代表理事 田川尚登著/新泉社

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今から1年以上前、新泉社の編集者さんから一通のメールが届きました。

「横浜にこどもホスピスを設立しようと、NPO法人を立ち上げて、活動されている方がいます。もしご興味があれば、この方の本づくりをお手伝いいただけませんか。本のテーマは‟限りある子どもの命とどう向き合うか”です。社会的意義のある本にしたいと思っています」

‟こどもホスピスって何だろう?”
‟子どもなのにホスピスが必要なの?”
‟限りある子どもの命と向き合うって……?”
 
私は胸がざわざわして、急いでパソコンをひらき、「こどもホスピス」と検索してみました。
  
すると、そこに出てきたのは、木のぬくもりいっぱいのあたたかな施設の写真でした。一見すると幼稚園や保育園と変わらないように見えます。あとから知ったことですが、こどもホスピスは日本に2つしかなく(いずれも大阪)、私が見たのは、そのうちの1つのHPでした。
  
私にも小さな子どもがおり、昔から子どものことになると過剰気味になってしまう自身の傾向を知っていただけに、「私は目をそらさずに、自分の心を保って、この本づくりに取り組むことができるだろうか」という思いが胸にうずまきました。でも同時に、この仕事を受けなかったら、きっと私はずっと気になって、後悔するだろうということもわかっていました。
  
本ができあがった今、心から思うこと。
それは、この本づくりに関わらせてもらって本当に良かったということです。
著者の田川さん、編集者さん、小児科の先生方、取材させていただいた遺族の方々の思いがつまった、大切な大切な1冊ができあがりました。
 
「限りある小さな命が輝く場所」と副題にあるように、‟どう生きるのか”を見つめなおす本です。
子どもを持つ人も、持たない人も、すべての大人に読んでほしいです。
 
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日本で1歳までに亡くなる乳児の死亡率は0.19%。
日本は世界で最も「赤ちゃんの命を救う国」になりました。
 
ただ、助けられる命が増える一方で、治療や医療的ケアを必要とする子どもたちが増えているという現実には、意外にも目を向けられていません。
 
難病や重い障がいを持つ子どもは、全国で約20万人。
なかでも生命が脅かされる病気や重度の障がいがある子どもは、約2万人。
人工呼吸器の装着など医療的ケアを必要とする子どもは、約1.8万人。
 
さまざまな不安や苦しみ、葛藤を抱えながら暮らしている子どもや家族が日本にはたくさんいます。
 
田川さんの娘さんは、6歳という若さで、この世を去りました。
娘さんの病と死をきっかけに知ったのは、医療現場はあくまで治療を目的とする場所であり、子どもの気持ちや立場に寄り添えているとは言い難いということです。そして命を脅かされる病を持つ子どもと家族への支援は乏しく、医療や介護・福祉サービスが十分に行き届いているように見える日本で、彼らだけがその狭間で取り残されているという現実でした。
 
田川さんは、今、生命を脅かされた子どもと家族を支える「こどもホスピス」を横浜につくるべく奮闘されています。
この本を通じて、病気や障がいを持つ子どもと家族にあたたかい関心が寄せられる社会になることを祈っています。
 
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▼『こどもホスピス 限りある小さな命が輝く場所』※印税は、NPO法人横浜こどもホスピスプロジェクトへの寄付となります


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猪俣 奈央子(インタビューライター/ブックライター)
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