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可愛さ余って憎さ百倍

好きだから許せなかった。

流せなかった。
あの時流していられたら。

好きになる覚悟が無かった。
あの人が私を好いていてくれるから私もあの人が好きだなんて天狗になっていた。

あの人からの好きを愛で包めばよかった。

無い物ねだり。
隣の芝生。

欲しい欲しい。
止まらない愛の欲求。

忘れていたのか、自惚れていたのか。

こんなことで落ち込んで、私はちゃんと大人になれるの?

面接で聞かれる、挫折経験はありますかって、おじさん、大々的な挫折経験は無くとも苦しんでいる人はいるんじゃないですかね。

あの人以外に良い人なんていない、なんてことはない。
それは正論。

かけがえのないものなんて私と、私の肉親しかいない。

分かってる。
だけど女の「分かってる」は分かってないんだろうね。

「好き」に怯えていた。
「依存」に逃げていた。

あの人はとても強い人。

そうか、ああいう風になればいいのか。

恋のお手本だね。

あの時は気づけなかったこと、沢山ある。

あの時、
雨が降っていなければ
説明会に行っていなければ
夜にすぐ寝ていれば

すべて自分の弱さだった。
意思の弱さだ。
柔軟さって、人の話をよく聞くって、それだけ自分の意思がないことなのかも。

意思は強い方だと思っていた。
自分の制御が効かないだけだった。
自分の余裕が無かっただけだった。

そうだ、私を傷つけてきたあいつらへの復讐は、わたしが幸せになることだ。

幸せを手に入れたのに、
その幸せに逃げていた。

いつか終わるかもと思って、怯えて、自分から突き放そうとしていた。

どれだけ多くの人が失恋で心を痛めてきたんだろう。
筋肉注射みたい。
痛さの種類が時間を経過するごとに変化する。

チクチク、ズキズキ、ピキピキ、グサグサ。

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