漫画『米蔵夫婦のレシピ帳』の、圧巻の泣き描写
死という概念をはじめて知った小学3年生ごろ、家族や友だち、自分も、いつかみんな死んでいなくなってしまうというかなしさとこわさを想って、毎晩ベッドの上で目をつぶって泣いていた。
だからか、喪失、死に向き合う人をていねいに描いた漫画を読むと、今でもグシャグシャに泣いてしまう。
『米蔵夫婦のレシピ帳』の、主人公が長尺で泣く描写で、同じ規模でもらい泣きしてしまった。同情ではなく、ほぼ同調した。ひさしぶりに泣けてすっきりできた漫画。
初見の感想は「おじさんを描くのがうますぎる」だが、一巻を読み終わるころには「マンガがうますぎる」になっていた。こんな漫画を描きたい。
できない約束はしたくない。けれど、果たされない約束をいつまでも為そうとするから、生きていけるということもあるんだ。