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メッシュワークの2022年をふりかえる

今年も残すところわずかとなりましたが、年の瀬をいかがお過ごしでしょうか。
去年9月にチームとして活動を開始したメッシュワークは、今年の4月に正式に合同会社となって以降、さらに幅広い活動を行ってきました。そんなメッシュワークの2022年を振り返ります。

人類学をひらく

メッシュワークでは4月から6月にかけて、一般向けセミナー「日常と出会いなおすレッスン①観る」および「日常と出会いなおすレッスン②聴く」を開催しました。参加してくださったのは、UXリサーチで人類学やエスノグラフィーという言葉を耳にするけれど、学び始める取っ掛かりがわからないという方から、組織開発や人材開発を経営者として考えるなかで質的調査に興味を持った方まで。さまざまなきっかけで全国から集まった皆さまに、人類学的アプローチを経験いただきました。参加者の声やセミナーの内容については、詳しくは以下の記事をご覧ください。
「もしもスクラムマスターが人類学者になったら」
「もしも会議が参与観察になったら」

9月には、新たに第1期メッシュワークゼミナールを開講しました。「日常と出会いなおすレッスン」よりさらに深く人類学的アプローチを体得したい方を対象に、人類学的なフィールドワークで問いをアップデートする半年間のトレーニングを提供しています。古典や入門書に触れるインプットと、比嘉と水上が伴走するフィールドワークを含んだ個人プロジェクトでのアウトプットの機会を、用意しています。2月下旬にはImpact HUB Tokyoにて、第1期ゼミ生の成果を展示するほか、ゼミ生とメッシュワークメンバーを交えた対面イベントも実施予定です!展示の最新情報はTwitterとメルマガで随時、ご確認ください。

企業と協働する

合同会社として走り出した4月以降、「人類学をひらく」そして「人類学者として参与する」という二つのアプローチで、企業との協働を行ってきました。

「人類学をひらく」協働の例としては、コンサルティング会社など複数の企業の組織改革の一環として、人類学的アプローチに触れるワークショッププログラムを提供したことが挙げられます。こうしたプログラムは、一般向けに開講している「日常と出会いなおすレッスン」を土台に据えつつ、それぞれの企業の要望や課題に合わせた内容となっています。

そして企業に「人類学者として参与する」例としては、人類学的アプローチによる顧客理解をプロダクトに反映するプロジェクトや、来年春に本格的にスタートする街づくり関連のプロジェクトが挙げられます。これらのプロジェクトでは、人類学の根幹であるフィールドワーク・参与観察に基礎づけられたリサーチの設計、実施、分析までを、一貫して担います。

メッシュワークを発信する

「エスノグラフィー」や「フィールドワーク」を掲げるアプローチはデザイン思考を始めとして、他にもたくさんあります。それでも、人類学という専門性を持つ人類学者としてビジネスの現場に関わることにはそれらと違う部分があり、だからこそ新たな可能性もあることを発信してきました。例えば4月に行われたゲンロンカフェでの対談「小川さやか×比嘉夏子 人類学はビジネスに役に立つ!?――『エスノグラフィ・プロトタイピング』の可能性を探る」では人類学の原点とも言える、仮説の斜め上にフィールドで出会う瞬間の面白さ、そこから見えることを語りました。またデザインファームのKESHIKI主催の対談では、多摩美術大学の中村寛教授と「人類学とデザインの交差点」をテーマに組織の「かかりつけ医」としての人類学者というあり方を提示しました。このほかXデザイン学校といったデザインスクールの公開講座や、学校教育の現場で人類学の外側の領域との対話も続けてきました。

6月にはpodcast「メッシュワークラジオ」の配信を開始しました。ゲストとの会話が「メッシュワーク的」に蛇行するのを楽しんでいただけるメッシュワークラジオでは、創業の経緯をゆるく語ったり、メッシュワークと親和性の高い活動をされている方をお招きしたりしています。ゲストには、UCI Lab.合同会社で2018年に行われた、ジャカルタでの食と健康に関する自主調査で比嘉と協働した経験がある大石瑶子さんや、人類学のバックグラウンドを教育プログラムの設計に生かしている高校教員の山手浩輝さんがいらっしゃいます。メッシュワークラジオApple PodcastSpotifyなど各種プラットフォームからお聞きいただけます。

セミナーやゼミの参加者が増えるにつれ、カジュアルな座談会や飲み会を開催したり、自発的に参加者同士で読書会が行われたりするなど、メッシュワークがコミュニティとしても活発になった年でもありました。「大学院に今すぐ通う余裕はないけれど、人類学のことをもっと知りたい」という方のための学びの場が日本にはほとんどないなか、そういった志を持つ方々を支え、繋げていく場としてメッシュワークは来年以降も活動していきます。

メッシュワークで学ぶこと、メッシュワークと協働することに興味をお持ちの方は、こちらの問い合わせフォームからご連絡ください。ちょっとした相談からカジュアルな意見交換、お仕事のご依頼まで、なんでも受け付けております!

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