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【3/29】目標達成に向けて慎重に、イエレン議長の講演
米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は29日にエコノミック・クラブ・オブ・ニューヨークで講演を行いました。
■当初の想定より鈍化
「雇用とインフレの目標を達成するには、フェデラルファンド(FF)金利の軌道が昨年12月に想定していたよりもいく分低い水準であるべき公算が大きいことを海外の動向は示唆している」と指摘しています。
つまり、現在の海外情勢を加味すると昨年12月から予定していた利上げ回数を減らすことが最適であると明言しました。
年4回予定であった利上げを減ることが決定したわけです。
■外部環境は回復の兆し
議長は、海外経済の弱さ、原油安、中国をめぐる不確実性による逆風は後退し、回復が継続するとの予想を維持していると指摘しています。
年初から苦しめられた懸念材料が回復していくとの見方が示されました。
確かに原油価格につきましては今年1月に底打ちし、徐々に価格が上昇しています。
中国経済については未だに回復の兆しはありませんが過度な景気後退懸念は解消されています。
■物価上昇に期待
海外要因の向かい風が吹く中で、米経済は「極めて底堅い」としています。
また足元の物価上昇ペースの加速を「持続するか判断するのは時期尚早」として、今後のインフレ動向をめぐり慎重な姿勢を崩しませんでした。
3月の連邦公開市場委員会(FOMC)で金利政策の据え置きは失業率やインフレの見通しが下方修正する形となって表れる前に先手を打ったとし、インフレに慎重であるが、注力していることを示しました。
インフレ率の目標(2%)突破も許容するとの観測が再浮上し、債券市場は急上昇しました。
■世界景気鈍化に先手
年初からの国際金融市場の混乱が米経済に与える影響は限定的な可能性が高く、こうした動向は経済活動やインフレ見通しに関する委員会の基本シナリオを大きく変えていないとしました。
「FRBの対応が変化したかのように見えたかもしれないが、実際はそうではなかった」とし、「世界的な成長は重要な要素で、われわれはこれに対し先手を打ちたかった。決定に対する市場の反応は好意的だった」
と述べました。
つまり、利上げの基本シナリオは変わっていないが、世界情勢があまりよろしくないので、そういった場合の対応を前倒しで実施した、ということです。
確かに今回のFOMCの声明は好感的に捉える声が多く、また市場の安定に寄与しています。
■4月利上げはない
海外情勢やインフレ動向に慎重な姿勢を示していることから、4月の利上げはないという見方が強まりました。
とすると次回の利上げは6月のFOMCである可能性が高くなりました。
6月まで現在のように穏やかな海外情勢であれば利上げするでしょう。
引き続き海外情勢に注目です。