未来はつくるもの
日本経営を救う——とても分かりやすい未来学です。
◆つくるしかない未来
未来は、その成否にかかわらず私たちがつくっています。
未来は、私たちを試しているのでしょうか。
奴さん、未来をどうしてくれるつもり? と。
自分の未来は、自分でつくるしかないですよね。
いわば
自業自得、善因善果にある因果律で決まるとしか言えません。
未来のカンバスは、宇宙のような無地・無色。
暗くもなく、明るくもなく、暗くもなれば、明るくもなる——わけです。
他の影響もうける。あるいは途中で事故に遭遇するかもしれない、自然災害に遭うかもしれません。ぶつかり合いにも…。
いずれにせよ、未来は分からない。分からないから未来と言いますよ。
未だ、実感出来ないもの、と。
でも、実感するための未来学があったら
しかも、だれにも分かりやすいそれがあったら、頑張りますよね。
それがあるのだ、と言えそうです。
◆本当のマネジメントをすれば
たとえば、この国の「失われた30年」もそうです。
解決できないまま、未だに延長のさなかという状態です。
なぜか。
この際、未来のない経営から脱していないからだ——としましょう。
それにたいしては、抜本的なアクティブ思考が必要です。
順調な企業は、そのままでいいのです。
でもそれを模倣しようとか、競争しようとか。そんな競争原理の呪縛に囚われないでいきましょう。
そんな惰性を解消しましょう。
経営は、もはや勝ち負けなんかではないのです。
勝ち負けの構図なら、経営は収縮したまま、回復できませんよ。
原因は明らかだと思います。
それは、回復できない原因に気づいていないのです。
あのとき、あの判断が…、そういう分析はもういいのです。それで自分を責めたところで、それは的を射た原因ではないでしょう。
じつは、とても不可思議な原因があるのです。
宇宙空間にはブラックホールという、極論すれば、無への可逆変化を起こす時空があります。
それは、物質や光、さらには時間までも吸収してしまう世界です。
いまのところ、だれにも、どうにもできない世界です。
いわば、宇宙が誕生するしくみの逆の現象が、そこで起きているのです。
あるいはダークマターという、これも極論するなら、宇宙空間に充満する不可思議な支配的時空。銀河や惑星などの位置関係を固定化しているといいます。
たとえば金縛りのような状態、というのでしょうかね。
でも、呪縛は解くものです。
勘違いもあれば、偏向した観念に陥っていることだってあります。その状態を解消するサクセス-ストーリーが未だにできていないだけです。
その鍵は「アクティブ」です。ただそれだけです。
そのアクティブ-モデルが、マネジメント-サイクル(以下、Mサイクル)なのです。
アクティブとは、解決策の伴った行動なのです。
ポジティブだけでは弱いのです。
厳しく見れば、積極的、前向き、肯定的な気持ちだけ、宣言だけ、それだけで物事が解決するわけではないのです。
気持ちの見かけは合格です。口先はOKです。
でもそれだけでは、未来像は危ういですね。
アクティブ性の高い行動(deed)、本当のマネジメントが必要なのです。
Mサイクルの本質には、それがあるのです。
そして、その行動様式を一般的には「改善」というのです。
Mサイクルが訴えているのは、成功・成長のためには「やり方を変えなさい」ということなのです。
◆経営者は改善の権威であれ
私は、運がよかった、と思っています。
大手総合化学メーカーに、高卒で入社しました。
当初、合成繊維の製造事業部に赴任します。所属は増設・改造の設計業務課でした。
生産ラインの工程は長く、装置も大型で複雑で、毎日の業務は、大手の設備メーカーとの打ち合わせが頻繁でした。
化学工学と機械工学をベースに、改善、設計、改善、設計で大変な時間外労働の毎日でした。
それがよかった、といまは思っています。
じつはその5年後、思うことあってべつの支社への転勤を願い出ます。
生産技術研究室(全事業部の共有課題である生産性向上が基本課題)で頑張ることにしました。
当該研究室の課題の一つであった【経営工学(IE)講習会2週間コース】受講の機会に恵まれ、その内の「改善」の章にて、目から鱗の講義を堪能することになります。
その章を担当した講師(某大学教授、コスト工学の権威)は、じつは、その後の私の転職先となるコンサル-ファームの代表取締役でした。
その組織は、私の資性が生かせた団体(当時コンサル120名)でした。
楽しいのは、経営指導のコンセプトが素晴らしい。
「我が社は、他にないコンサル集団。既成の学問的体系の指導ではなく、生産性向上に関わる成果創造のノウハウ体系を集結させ普及/拡大・指導/支援する」とするのがポリシーでした。
私にとって、そんな風土との相性は言うことなしでした。
あえて他団体とは競争しない。自分たちは、改善指導のプロだ、と。
たとえば、生産におけるコスト管理体系も、唯一無二のエンジニアリング体系をもっており、したがって、人件費や受発注の契約基準は容易に設定できました。
適正価格も、客観的で公正な見積りのできる強力なツールでした。
よってそこには、企業の優越的地位の濫用など起こり得ない理念があります。
指導体系も、むろん独特な分野で構成され、コンサルタントの本部長体制も、様々なクライアント(海外も含む)に柔軟に深く対応できるものでした。
そんな独自路線であれば他とぶつかり合う障壁もなく、よって右肩上がりで成長した団体なのです。
社内における年一回の技術発表大会は、一年間で個人の開発した指導技術を発表し合うのです。
それは毎年盛会で、最優秀の賞金はけっして小さくはありませんでした。私は、10年間で最優秀2回、優秀5回でした。
技術を社内に蓄積し企業に提供できる私たちは、誇らしく東奔西走したものです。
浅学菲才の身の私も、創造性開発手法の体系拡大によって、幅広く活動をつづけることができました。
幼少期から「職人さんの魅力に関心を寄せていた」ことが、プロのあり方を追求しつづけることにつながったのだと思います。
それが経営工学であり産業工学であり、生産工学だろうと考えています。
そこから「改善」の奥義を追求しはじめたのです。
まさに10年間、コンサル活動の全盛期、想像していなかった未来を実現・実感できたのです。
ちなみに、その後は独立し、べつのステージにて、さらなる独自路線を突っ走る私でした。
◆サクセス-ストーリーとは
サクセス-ストーリーとは、繰り返しますが、Mサイクルしかないですね。
それで経営すれば、企業はかならず成長することになります。
ただし、「そんな経営者」がいてくれないことには、成長経営のハードルは高すぎるということになります。
未来づくりと経営は、よく似たものがありますね。
社会にたいする影響が大きすぎますから。
だから、経営者は「改善の権威」であってほしいのです。