らいおんハート
SMAPの「らいおんハート」を聴くと思い出す記憶。
♪いつか もし子供が生まれたら
世界で二番目にスキだと話そう
君もやがてきっと巡り合う
君のママに出会った 僕のようにね♪
小学生だった頃のこと。
家族で夕食の団欒のひと時。
「乗っていた船が沈没しました。
一人しか助けられないとしたら誰を助けますか?」
その時見ていたテレビ番組が、この問題で盛り上がっていた。
「難しいよな。一人しか、って。誰を助ける?」
そう言ったものの私も自分の中で答えを出せなかった。
弟も母も考え込んでしまった。
しかし父は、はっきりと答えた。
「船が沈没とかね、そういう場合なら俺は自分の命を張って、
全員を助けるよ、お前らも、お母さんもね。
でも、そうじゃなかったら、
俺はお母さんが一番大事や。お母さんを助ける。」
12才だった私には、この言葉は衝撃だった。
え?私はお父さんにとって一番じゃないの?!
私は助けてもらえないの?
父は私の表情を見、言葉を続けた。
「だって、こいつには俺しか助けてやれる人間がおらんねんで?」
母は郷里も遠く、両親もその時既になく天涯孤独だった。
「俺がお母さんを助けんと誰が助けんねん?
それにな、お前らは大きくなったら結婚するやろ?
その時の相手が一番大事な相手や。
その人がお前をどんなときでも助けてくれるんや。
だから心配ない。」
小学生の頭では、この言葉を理解するのはギリギリだった。
だからこそ、今でも鮮明に記憶に残っているのだが…。
今ならわかる。
愛の意味、大きな優しさを教えてくれた。
こういうことをスパッと家族の前で言えるって、
ちょっとカッコイイぞ!お父さん。
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