見出し画像

隠れ貧血・鉄欠乏にご注意を①

今まで、睡眠の問題を抱えた方3000人以上、18歳以下のお子さんも150人以上診察してきました。子供さんとそのご家族のお悩みも様々です。

今回は”貧血・鉄欠乏”についてです。
貧血というと頭がくらくらする起立性調節性障害のことを指すと思う方もいますが、医学的用語としては酸素を供給する血液中のヘモグロビンが少なくなることを指します。

またその中でもヘモグロビンを合成する”鉄分”の不足で起きる、鉄欠乏性貧血が8割を占めます。

貧血と睡眠のかかわりとしては、むずむず脚症候群になりやすさが一番には考えられます。 むずむず脚症候群はドーパミン神経経路のA11が関与していて、ドパミンを作り出すのに鉄がかかわります。なんとも言えない脚の違和感のために寝付けません。また周期性四肢運動障害と合併も多く、
寝つきの悪さ中途覚醒を起こします。

睡眠とその障害のクリニカルクエッション200

よって、睡眠医療で注目しているのはヘモグロビンの濃度というより、中枢神経(特に中脳)の中の鉄の量、貯蔵鉄のフェリチンというのを参考にします。
このフェリチンは健康診断などでは通常は検査項目に入っていません。小児科でも貧血が疑われないと測定しないことが多いです。

患者さんのデータを見ていると、ヘモグロビン濃度や赤血球数は基準値以内でも、フェリチンや血清鉄が著しく低下している方がいます。
貧血ではないけれど、鉄欠乏の状態といえます。
もちろん身体の中の鉄が多ければ、それはそれでの問題(ヘモクロマトーシス)を起こしますが、日本人では極めてまれです。

鉄欠乏性貧血になりやすいのは、女性のイメージがありますが、子供さんでも危険性が高まる群があります。
どんな場合に鉄欠乏になりやすいのか、次回にまとめます。



いいなと思ったら応援しよう!

さくらねる
よろしければ応援お願いします。いただいたチップは勉強、資料集めに使わせていただきます。