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柴犬ゲンキ姫の闘病日記

7月28日(日)
いつも朝から外(敷地内)に出ていて、いつもは夕方になっても家の中になかなか入ってこないゲンキちゃんが、今日は珍しく夕方にはちゃんと帰ってきて大人しくしてる。
夜、夕飯食べ終わって(ゲンキちゃんはあまり食欲無し)涼しくなったので、お散歩に行こうと誘ったけれど、元気がなくて行く気なし。お散歩大好きゲンキちゃんなのにちょっとおかしいと思ったけど、私も疲れてたので、これ幸いにお散歩はお休みにした。

7月29日(月)
朝からぐったりして元気ない。近所の動物医院のかかりつけ医は夏休み。どうしよう? 11時頃、いつの間にか外に出ていたゲンキちゃんの様子がおかしいと、いつも庭仕事に来てくれてる人が抱きかかえて家の中に運んできてくれた。ポツダムの動物病院の緊急患者受付が午後16時から開くので、連れて行こうと準備。15時半着。待ち時間長いけど、その間ゲンキちゃんは病院の周りを少し歩く。
16時半診察。体温測定、血液採血。熱があるそう。血液検査結果待ち1時間。赤血球の値が異常に少ない。ダニの感染を疑われる。様子を見るために入院。
夜、病院から電話。レントゲンの結果が良くないので、エコーもしたいから、お腹の毛を剃っていいかとか聞かれる。またまた毛を剃られる可哀想なゲンキちゃん。

7月30日(火)
朝、病院から電話。2回目の血液検査の値が更に悪くなってるので、続けて入院させるようにとの事。思っていたより深刻みたいで、病院に入れられたまま、もう会えなくなるのではと、私はパニック。夫が病院に電話して、特別に面会の許可をもらう。私達はすぐに病院に駆けつけて、ゲンキちゃんに会う。以外とゲンキそう。病院のお世話係の人達にも愛嬌を振りまいていて、大変な人気者だそう。私達は安心して家に帰る。

7月31日(水)
朝、病院から電話。レントゲン検査で疑いのある脾臓から細胞を採って生検に出すそう。生検の結果が出るまでは1週間位かかるので、その間ゲンキちゃんを家に連れて帰ってもいいとの事。この日の午前中は私の血液検査の結果を聞く為の医者の予約があったので、その後にゲンキちゃんを迎えに行く。お昼ごろ家に到着。ちょっと疲れてるみたいなので、この日は1階のボックスの中で休ませる。大量のお薬を処方されて、飲んでくれるか心配だったけど、意外にもあっさり全部飲んでくれた。食欲もかなりある。ステロイドの影響みたいで、異常に水も飲む。ゲンキちゃんが心配なので、なるべく一緒に時間を過ごしたくコーラスの練習はお休みにした。夜はいつも通りのお散歩。オシッコの量、すごい。

8月1日(木)
朝、ゲンキちゃんはグッタリしてる。昨夜(今朝?)は排泄場所を探して家中走り回ったみたい。私は2階のゲンキちゃんの子供達と寝てたので、気がつかなかった。今まで絶対に外でしか排泄しなかったゲンキちゃんが、浴室で下痢していて、下の階の廊下と猫ちゃん用排泄シートにもオシッコしてた。お外に出たかったんだろうね。ゲンキちゃん、ごめんね。
1時間位ゲンキちゃんの身体をナデナデするとようやく眠ってくれた。お昼頃起きたので、ゲンキちゃんに5 mの長いリードをつけてお外に出す。ゲンキちゃんはいつものお気に入りの大きなブナの木の下でのんびり。私も久しぶりに日本の友人と長電話したり、その後はゲンキちゃんの側でのんびり。夕方いつも通りお散歩をしたけど、夜遅くに落ち着きが無くなってソワソワしていて昨夜の事もあるので、夜中の真っ暗闇の中、懐中電灯持ってお散歩。私はちょっと怖かったけど、ゲンキちゃんは平気でよく歩いてくれ、満足してくれたみたい。

8月2日(金)
今日は血液検査の予定。出かけようとゲンキちゃんを車に乗せた途端、病院から電話。生検の結果が出て、リンパ腫の疑い。Dr. Sörensenに回付したので、早急に電話して予約を取るようにとの事。私は突然の診断と訳の分かららないドクターの名前に混乱。
私>  Dr. Sörensenって一体誰?しかも私達は血液検査の予約があってこれから病院に向かう途中なんだけど、電話じゃなくてちゃんと病院で説明してくれないの?それとも血液検査はもう必要ないの?
病院> 血液検査に来ても良いけど、とにかく一刻も早くDr. Sörensenに連絡するように。
私> でもさあ、私はDr. Sörensenって何者かも、連絡先も知らないんだけど?
病院> じゃあ、今から電話番号言うから、書くものある?
私> 車の中だし、もう運転始めてるから無理。
病院> じゃあ、病院に着いたら聞いて。
病院ではまた違う先生。(毎回毎回担当に先生が変わるので、いつも一から説明しないとわかってくれないんだから… もう。血をとるのも下手。血液採取した後も血がダラダラ流れて止まらないじゃないの。可哀想なゲンキちゃん!)
先程の電話の事を聞くと、この医者もただDr. Sörensenに連絡せよとだけ。
医者> 病院はがん専門科がないので、抗がん剤治療もやれないから、Dr. Sörensenに回すだけよ。質問はそこで全部して。がんの治療は出来ないし、私は何も分からない。
ガーン、ここはポツダム唯一の大動物病院ではなかったの? 
家に帰り、早速LichterfeldeにあるDr. Sörensenに電話。1番早い予約日は8月20日の17時。それ以前はない。とにかく専用のアプリに登録しないとドクターは動物病院から送られてきた書類を読めないので、なるべく早くしてとの事。
えっ、そんな、こんな時、スマホもネットもアプリもろくに使えない飼い主はどうするんだろう?
夕方、Dr. Sörensenの動物医院から電話。動物病院から送られて来た書類を読んだ結果、ゲンキちゃんは緊急を要するので、20日の予約日では治療は間に合わない。それ以前の予約はもう空いてないので、自分の所ではお断りすると。ベルリンにはあと2ヶ所、動物の抗がん剤治療をやる所があるので、そちらに連絡して来週中の予約日を取るように。
えっ、首都大都市ベルリンで動物のがん治療をやれる所がたったの2ヶ所だけなんて? しかもTegelとKaulsdorfって、ベルリンのはずれの遠い所ばかりじゃないの。とにかく近い方のTegelの動物病院に電話。1番早いTerminは8月12日。う〜ん、再来週だ。Kaulsdorfの方はもう19時過ぎだったので、電話には出てくれなかった。
その間、夫が家からそれ程遠くないZehlendorfに新しく出来たValera Tierklinikに電話してくれていた。私が、前にポツダムの動物病院の対応に不満で、Zehlendorfの新しいクリニックの方に行っておけば良かったと愚痴をこぼしたら、Valera Tierklnikに今からでもクリニックを変える事ができるか問い合わせしてくれた事があったのだ。その時の対応がすごく良かったらしく、いつでも何でも相談に応じると言ってくれてたので、今回の事で電話してみたら、公には出してないけど、がんの対応も出来るし、抗がん剤治療もやってくれるという。
早速8月6日(火)の予約が出来た。

8月3日(土)
午前中はゲンキちゃんを夫に任せてValera Tierklinikに事前登録に出かける。サイトの写真からは富裕層向け贅沢クリニックだと思っていたけど、意外と質素だった。受付を済ませ、買い物して帰る。午後はゲンキちゃんとお外でまったり。お散歩は休み休みのゆっくりペース。途中で動け無くなって抱いて帰る。抱っこしたまま、途中あちこちのベンチで休みながら、敷地内をぐるりとお散歩。ステロイドのせいで、食欲はある。拒食症気味のゲンキちゃんがこんなに食べるなんて珍しい。

8月4日(日)
午前中はゲンキちゃんを夫に任せて、ジムに行く。
帰って来てお昼ご飯を済ませたら、ゲンキちゃんとお散歩。今日のお散歩はかなり調子が良い。お休みもしないで、以前のようにクンクンしながら、あっち行きこっち行き。途中激しい雨と雷に会ったけど、平気で歩いてる。家の中では雷が鳴るとブルブル震えてパニックになるのに、外では平気なんだ!
夫が傘持って迎えに来てくれたので、3人で帰宅。

8月5日(月)
今朝ゲンキちゃんのステロイド薬が切れてなくなったので、近所のかかりつけ獣医の所に薬をもらいに行く。ゲンキちゃんも調子良さそうだったので、連れて行く。車に乗るといつもは助手席に立ってお外を眺めるゲンキちゃん、今日は伏せをしてじっとしている。やはり、体がきついんだ。お薬もらって帰りにちょっとだけお散歩。午後からはまたお外でまったり。夕方1時間だけジムに行って帰って来ると、ゲンキちゃんがいつもの「今日のお散歩は?」という顔で待っていた。お散歩に出かけようとしたけど、門の手前のゴミ箱置き場で、お尻フリフリしながらネズミ探しを始めた。「いい加減にしてお散歩行こうよ」と無理矢理、門の外に連れ出してお散歩始めたら、今日はお休みなしで普通に歩いてくれる。帰って来て門の中に入った途端、またゴミ箱置き場に釘付け、もう思いっきり遊ばせてあげようと20分くらいはネズミ探しの遊びを眺めていた。尻尾フリフリで本当に楽しそう。まるで以前のゲンキちゃんに戻って、見違えるほど元気。なんだ病気は嘘だったんだ、一時的なものだったかも、もしかして誤診だったんじゃないと、思ってしまう。最後は大きなゴミ箱を3つとも動かして、「ゴミ箱の下にはネズミちゃん居ないよ」って、ゲンキちゃんを諦めさせてようやく家の中に連れ込んだ。夜、鳥レバーの煮たのを子供たちと一緒に食べるけど、2切れ食べて、もういらないという仕草をした。やはり疲れたのかな?

8月6日(火)
ゲンキちゃんはこの一週間程、時々グッタリと元気がなくなった事はあったけど、でもしばらく横になると回復して、また普通にしてた(そう見えた)から、辛かった期間はそんなになかったと思う(思いたい)。
ただ昨日の夜中は白い液を吐いたり、ずっとハアハアしてたり、落ち着きがなく苦しそうだった。けれど、私は次の日に抗がん剤を始める為の動物病院へ行く予約があったので、早く寝たくてあまりゲンキちゃんの事を構ってあげなかった。
そして朝、ゲンキちゃんが2階のバルコニーで寝ていて、お腹が上下していて息をしてるのを確認。ゲンキちゃんのお薬の用意をしに下のキッチンに行き、また2階に戻って来たら、ゲンキちゃんが変な唸り声あげて痙攣してた。でもそんなにひどくはなかった(何故かひどくはないと思ってしまった)ので、私はなんとお薬まであげようとしてしまった。お薬をあげるのが毎回大変なので、義務を果たす事だけに必死で、ゲンキちゃんが断末魔の苦しみにあるなんて思いもよらなかった。
朝は他の2匹のワンちゃんと猫ちゃん達のご飯や世話で忙しいので、お薬は諦めてまた下の階に行き、夫にゲンキちゃんの様子がおかしいから見に行ってと言い、私はそのまま猫ちゃんのお世話にかかった。そして15分くらいして2階のバルコニーに戻ったら、夫がゲンキちゃんを抱きかかえていた。悪い予感がした。(死んだ?) 夫は自分が行った時にはもう息してなかったと言った。8時10分頃だ。おそらく私が1階に降りて行って、夫が2階に駆けつけるまでの、ほんの1、2分の間。結局最後は誰にも看取られず孤独に息を引き取ってしまったと思うと、悲しくて、悔しくて、本当に申し訳なくて。
今日もまだ涙が止まらない。

ゲンキ姫、7歳10ヵ月永眠。
午後お墓を掘ってもらう。
ゲンキちゃんがいつも座って居たブナの木の下に。
ゲンキちゃん、ごめんね。
そしてありがとう。



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