透明ニンゲンになりたいよ|宇宙人日記
金曜の夕方
職場を出て駅へ向かう。
街を歩くのが好きだ。
ニンゲンたちは
だれもわたしを見ない。
だれもわたしの正体を知らない。
でも、わたしはひとりじゃない。
無数の意思がいま、わたしと
繋がらず交差してる。交わらずすれ違ってる。
それが、ちょっと怖いけど、心地いい。
ニンゲン社会で生きていると、
自分のことを誰かに見つけてほしいって
切望する時もあるけど
誰にも見つけられないとき
わたしは自分の輪郭から解放されて
ほんとうの姿に戻れる気がする。
いまのわたしは透明だから
どんな姿だって大丈夫。
そう思うと、心と体が軽くなる。
夕暮れの風も、すれ違うヒトも
わたしの体を通り抜けてく。
きょうはこのまま
ゆらいで、とけて、透き通っていきたいな。
透明ニンゲンになりたい気分だよ。