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【 ノスタルジア 】 Part2 ❦GL恋愛小説❦
誕生日のあの日から私と優希さんの距離はグッと近づいた。
今まで少し離れた所にいた私を、優希さんは自分のそばに呼び寄せるようになり、物理的な距離も心の距離もずっと近くなった。
ちなみに優希さんの彼氏の武田綾人さんが軽音サークルの部長、優希さんは副部長をしている。
後輩たちからは憧れの存在だ。
そんな優希さんが私をいつもそばに置くようになったものだから、私は優希さんのお気に入りとして、皆に認知さ
【 ノスタルジア 】 Part1 ❦GL恋愛小説❦
「ふぅー、やっと終わった。」
私は解放感から大きく伸びをした。
大学を卒業しWeb企画&制作会社に就職した私は、一通りの仕事を覚え、与えられた業務を必死にこなす日々。クライアントの求めに応じ、美しいデザインと機能的な構成を提案し、あらゆるニーズに応える。Webデザイナーとして活躍する事を夢見ているが、勿論またまだ駆け出し。残業の概念がないようなこの業界で、食事もままならない日々をこなしながら、
【世界を色に例えたら】❦愛の物語❦ 最終回
体が鉛のように重い。
昨日沙羅のラジオを聞いた後、泣き疲れていつ眠ったのかも思い出せない。私は冷たい水で何度も顔を洗い頭を振った。
葵ちゃん…。
沙羅と葵ちゃんが姉妹だったなんて、どうして今まで気づかなかったんだろう。しかも事故で入院してるだなんて…。
私は意を決して沙羅に電話をかけた。
沙羅は私から電話が来る事が分かっているかのようだった。
「沙羅、私、昨日のラジオ聞いて…」
「わか
【世界を色に例えたら】❦愛の物語❦ vol.3
タクシーに飛び乗った沙羅は病院へ向かった。着くなり玄関を入っていく直人が見え、沙羅は大声で呼んだ。
「直人くーん。」
「あっ、沙羅、丁度よかった。一緒に行こう。」
急いで病室へ入ると、丁度担当医が診察をしているところだった。直人は焦るあまり上擦った声を出した。
「さっき、意識が戻ったって連絡もらったんですけど。」
「はい、一旦意識は戻りましたが、今はまた意識レベルが下がりました。事故から半年
【世界を色に例えたら】❦愛の物語❦ vol.2
渦巻く世界
学園祭の翌日、沙羅は学校に来ていなかった。もしかすると来れなかったと言う方が正しいのかもしれない。
沙羅のステージパフォーマンスは、生徒達によってXやTikTokに多数あがっていたし、Yahooの記事にもなっていた。圧倒的なパフォーマンスに素晴らしい歌声。沙羅をたたえるコメントが大半だったが、中には私と見つめあったり、涙を拭うシーンにフォーカスした切り抜きも沢山あった。
一夜にして
【世界を色に例えたら】❦愛の物語❦ vol.1
プロローグ
「必ず迎えに来るから。離れててもずっと一緒だよ。」
ねぇ、葵ちゃん?
この言葉、覚えてる?
施設で育つ私のたった一つの希望。
絶望と言うほど真っ黒でもない。ただただモノクロで色の無い世界を生きている私。その世界に彩りを与えてくれるかもしれない唯一の人。
あなたは、今どうしていますか?
高3の春、人気モデルの藤堂沙羅が転校してきた。その時から私の周りのモノクロの世界が少しずつ色
【 パンドラの箱が開く時 】最終回 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦
エピローグ
莉子、元気ですか?
あれから12年•••
私達27歳になったんだね。
SNSでも何でも繋がる方法はあるのに、別れてから1度も試した事はなかった。何度か莉子を見かけた事もあったけど、声をかける勇気もなかったよ。
女性同士の恋愛ドラマを見た時、心の中に封印していた箱の蓋がいきなり開いた。ずっとずっと心の奥底深くにしまいこんできた箱なのに。
中3での莉子との恋は私には刺激的すぎたし、
【 パンドラの箱が開く時 】vol.6 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦
莉子へ
心に焼き付けてる写真は
沢山あるのに
スマホにはたった1枚
あなたの後ろ姿
写真に写し出せない愛が
痛みに似た痺れとなり
今も疼く
あなたが望んでくれたように
今の私は輝けていますか?
お互い子供だったねと
あなたは笑いますか?
エレン
莉子と一夜を共にした私は幸せでいっぱいだった。朝目冷めたら私の横に莉子がいる。あったかい体温が伝わってくる。まだ寝てる莉子を優しく包むようにし
【 パンドラの箱が開く時 】vol.5 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦
莉子へ
私の初めては全てあなたでした。
あの頃の私達をあなたは後悔していませんか?
あなたにとっては記憶の1ページに過ぎませんか?
あなたは今、幸せですか?
私の胸の中はあなたへ聞きたいことと、あなたへの愛で溢れています。
エレンより
夏休み最後のイベントは花火大会。
最近少しギクシャクしてたし、夏の終わりに素敵な思い出が作りたかった。
「莉子、花火大会一緒に行かない?それとも、もう先
【 パンドラの箱が開く時 】vol.4 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦
エレンへ
エレンは眩しく輝く太陽のような人。
太陽が輝けば輝くほど陰が濃くなる。
あなたのその輝きを、私が曇らせることがありませんように。
莉子より
❦この手紙を27歳になった今でも大切に持っている。
季節は夏を迎えていた。
2人の想いが通じあったあの日から、学校に行くのが今まで以上に楽しいものになった。
部活は惜しくも県予選で負けてしまって引退が決まった。
あとは夏を楽しみ、その後の受
【 パンドラの箱が開く時 】vol.3 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦
桐島エレン 27歳
私は今でもバレンタインのチョコに添えられた、あのメッセージカードを大切に持っている。
【あなたが私を見つけてくれますように 】
誰がくれたのか分からないチョコに添えられていたメッセージ。
私はその言葉に強く惹かれた。
あの頃の私はあなたに伝えただろうか?
私もあなたをずっと探していました…と。
映画に行った次の日、私は莉子にどんな顔をして会えばいいのかよく分から
【 パンドラの箱が開く時 】vol.2 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦
若葉の季節に
エレンは現在27歳。
これから語る恋の後、その想いをかき消すように幾度も恋を重ねてきた。
なのに新緑が芽吹き若葉の季節になる頃、いつも彼女との出会いが胸の奥から顔を覗かせる。
若き日のあまりにも幼い恋。
これからどれだけ新しい恋を重ねても、彼女を忘れる事は無いのだろうか?
「ねぇ、私と一緒にやらない?」
「あ。うん。」
私の名は桐島絵恋(エレン)
若草中学3年6組。身長16