ハリネズミ

脆く儚くも美しい愛の形を模索中❦ あなたの胸の奥底に潜んだ感情を揺さぶりたい❦小説❦

ハリネズミ

脆く儚くも美しい愛の形を模索中❦ あなたの胸の奥底に潜んだ感情を揺さぶりたい❦小説❦

最近の記事

【ノスタルジア】最終回 ❦GL恋愛小説❦

〈 卒業式 〉 私は優希さんの姿を最後にひと目だけても見ようと、キャンパスに来ていた。優希さんが卒業してしまえばもう偶然に会える事もなくなる。そう思うと、居てもたってもいられず学校に来てしまった。 どうしようかウロウロしてると、一通のLINEが来た。それはあの日以来、1年以上連絡を取っていない優希さんからのものだった。私は突然のLINEに驚いてしばしスマホを見つめていた。 すると、不意に背後から声をかけてくる人がいた。振り向くとそこにいたのは慶太さんだった。 「美桜ち

    • 【ノスタルジア】Part5 ❦ GL恋愛小説❦

      「私は優希さんのことが好きです。」 私は綾斗と美桜の関係を疑ってここに来た。それなら綾人との関係を問いただせばいいだけなのに、どうして美桜の私に対する気持ちを試してるんだろう。 時に愛は予測不能な行動をとるようで、その証拠に私は今、美桜を抱きしめている。 ゆっくり体を離すと潤んだ瞳の美桜が私を見つめる。美桜の髪を掻きあげ頬をなぞりキスをした。そのままベッドに倒れ込み上から瞳を覗くと、美桜の瞳に私が映っている。私はそのもう1人の自分に問いかけた。 あなたは美桜をどうした

      • 【ノスタルジア】Part4 ❦ GL恋愛小説❦

        「美桜、いつからこうしてるの?風邪ひくから帰ろう。」 「どうして私のとこに来たんですか?今日はイブなのに綾人さんを放っておいていいんですか?」 「美桜を送ったら綾人のところに行くから。とにかく雪も降ってきたし帰ろう。」 「ここにいたいだけなんで、私の事はほっといて下さい。」 「ねぇ、急にどうしちゃったの?様子が変だから心配してるんだよ。今までわがままなんか言った事なかったのに。」 「わがまま言っちゃいけませんか?妹じゃなきゃいけませんか?」 「美桜⋯。」 「今、

        • 【 ノスタルジア 】Part3 ❦ GL恋愛小説❦

          優希さんと一緒にいることが多くなってから、必然的に優希さんの彼氏の綾人さんとも一緒にいるようになった。優希さんが私のことを妹扱いするものだから、綾人さんも 「優希の妹なら俺の妹でもあるよなぁ。」 そう言って、私を可愛がってくれた。 そんな綾人さんには親友の慶太さんがいる。陽気な綾人さんとはタイプが異なり、ゆったりとした文学的な雰囲気を感じさせる人。どちらかと言えば正反対の2人なのに気が合うんだから不思議だった。 そんな訳で、私たち4人は自然と一緒にいるようになっていた

          【 ノスタルジア 】 Part2 ❦GL恋愛小説❦

          誕生日のあの日から私と優希さんの距離はグッと近づいた。 今まで少し離れた所にいた私を、優希さんは自分のそばに呼び寄せるようになり、物理的な距離も心の距離もずっと近くなった。 ちなみに優希さんの彼氏の武田綾人さんが軽音サークルの部長、優希さんは副部長をしている。 後輩たちからは憧れの存在だ。 そんな優希さんが私をいつもそばに置くようになったものだから、私は優希さんのお気に入りとして、皆に認知されるようになった。 優希さんのそばにいるようになって気付いたことがある。 それ

          【 ノスタルジア 】 Part2 ❦GL恋愛小説❦

          【 ノスタルジア 】 Part1 ❦GL恋愛小説❦

          「ふぅー、やっと終わった。」 私は解放感から大きく伸びをした。 大学を卒業しWeb企画&制作会社に就職した私は、一通りの仕事を覚え、与えられた業務を必死にこなす日々。クライアントの求めに応じ、美しいデザインと機能的な構成を提案し、あらゆるニーズに応える。Webデザイナーとして活躍する事を夢見ているが、勿論またまだ駆け出し。残業の概念がないようなこの業界で、食事もままならない日々をこなしながら、3ヶ月近く昼夜を問わず働いた。一区切りついた頃には、ダイエットしても減らなかった

          【 ノスタルジア 】 Part1 ❦GL恋愛小説❦

          【世界を色に例えたら】❦愛の物語❦ 最終回

          体が鉛のように重い。 昨日沙羅のラジオを聞いた後、泣き疲れていつ眠ったのかも思い出せない。私は冷たい水で何度も顔を洗い頭を振った。 葵ちゃん…。 沙羅と葵ちゃんが姉妹だったなんて、どうして今まで気づかなかったんだろう。しかも事故で入院してるだなんて…。 私は意を決して沙羅に電話をかけた。 沙羅は私から電話が来る事が分かっているかのようだった。 「沙羅、私、昨日のラジオ聞いて…」 「わかってる。連絡が来ると思ってたから⋯。これから会える?」 「うん。」 私達は、

          【世界を色に例えたら】❦愛の物語❦ 最終回

          【世界を色に例えたら】❦愛の物語❦ vol.3

          タクシーに飛び乗った沙羅は病院へ向かった。着くなり玄関を入っていく直人が見え、沙羅は大声で呼んだ。 「直人くーん。」 「あっ、沙羅、丁度よかった。一緒に行こう。」 急いで病室へ入ると、丁度担当医が診察をしているところだった。直人は焦るあまり上擦った声を出した。 「さっき、意識が戻ったって連絡もらったんですけど。」 「はい、一旦意識は戻りましたが、今はまた意識レベルが下がりました。事故から半年近く経って意識が戻ったのは奇跡に近いと言えます。焦らず様子を見ていきましょう。」

          【世界を色に例えたら】❦愛の物語❦ vol.3

          【世界を色に例えたら】❦愛の物語❦ vol.2

          渦巻く世界 学園祭の翌日、沙羅は学校に来ていなかった。もしかすると来れなかったと言う方が正しいのかもしれない。 沙羅のステージパフォーマンスは、生徒達によってXやTikTokに多数あがっていたし、Yahooの記事にもなっていた。圧倒的なパフォーマンスに素晴らしい歌声。沙羅をたたえるコメントが大半だったが、中には私と見つめあったり、涙を拭うシーンにフォーカスした切り抜きも沢山あった。 一夜にして私の立場も一変した。学校の廊下を歩くだけで注目を浴び、沙羅目当てに近づいて来る者

          【世界を色に例えたら】❦愛の物語❦ vol.2

          【世界を色に例えたら】❦愛の物語❦ vol.1

          プロローグ 「必ず迎えに来るから。離れててもずっと一緒だよ。」 ねぇ、葵ちゃん? この言葉、覚えてる? 施設で育つ私のたった一つの希望。 絶望と言うほど真っ黒でもない。ただただモノクロで色の無い世界を生きている私。その世界に彩りを与えてくれるかもしれない唯一の人。 あなたは、今どうしていますか? 高3の春、人気モデルの藤堂沙羅が転校してきた。その時から私の周りのモノクロの世界が少しずつ色付き始める。 葵ちゃんと沙羅…、どこか似てる。 沙羅が私に向ける感情に戸惑い

          【世界を色に例えたら】❦愛の物語❦ vol.1

          【 パンドラの箱が開く時 】最終回 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦

          エピローグ 莉子、元気ですか? あれから12年••• 私達27歳になったんだね。 SNSでも何でも繋がる方法はあるのに、別れてから1度も試した事はなかった。何度か莉子を見かけた事もあったけど、声をかける勇気もなかったよ。 女性同士の恋愛ドラマを見た時、心の中に封印していた箱の蓋がいきなり開いた。ずっとずっと心の奥底深くにしまいこんできた箱なのに。 中3での莉子との恋は私には刺激的すぎたし、今思えば未熟で子供だった。だからこそのめり込んだしそれ故に忘れられない。 あれ

          【 パンドラの箱が開く時 】最終回 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦

          【 パンドラの箱が開く時 】vol.6 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦

          莉子へ 心に焼き付けてる写真は 沢山あるのに スマホにはたった1枚 あなたの後ろ姿 写真に写し出せない愛が 痛みに似た痺れとなり 今も疼く あなたが望んでくれたように 今の私は輝けていますか? お互い子供だったねと あなたは笑いますか? エレン 莉子と一夜を共にした私は幸せでいっぱいだった。朝目冷めたら私の横に莉子がいる。あったかい体温が伝わってくる。まだ寝てる莉子を優しく包むようにしながら柔らかなマシュマロのような口付けをした。 「莉子、おはよぉ。」 「うぅ

          【 パンドラの箱が開く時 】vol.6 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦

          【 パンドラの箱が開く時 】vol.5 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦

          莉子へ 私の初めては全てあなたでした。 あの頃の私達をあなたは後悔していませんか? あなたにとっては記憶の1ページに過ぎませんか? あなたは今、幸せですか? 私の胸の中はあなたへ聞きたいことと、あなたへの愛で溢れています。 エレンより 夏休み最後のイベントは花火大会。 最近少しギクシャクしてたし、夏の終わりに素敵な思い出が作りたかった。 「莉子、花火大会一緒に行かない?それとも、もう先約がある?」 「もちろんエレンと行くよぉ。」 「ホント、嬉しい。浴衣着てくる?」

          【 パンドラの箱が開く時 】vol.5 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦

          【 パンドラの箱が開く時 】vol.4 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦

          エレンへ エレンは眩しく輝く太陽のような人。 太陽が輝けば輝くほど陰が濃くなる。 あなたのその輝きを、私が曇らせることがありませんように。 莉子より ❦この手紙を27歳になった今でも大切に持っている。 季節は夏を迎えていた。 2人の想いが通じあったあの日から、学校に行くのが今まで以上に楽しいものになった。 部活は惜しくも県予選で負けてしまって引退が決まった。 あとは夏を楽しみ、その後の受験に備えるだけだ。 「エレン、プール一緒に行こうよぉ。」 「かわいい水着、着て

          【 パンドラの箱が開く時 】vol.4 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦

          【 パンドラの箱が開く時 】vol.3 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦

          桐島エレン  27歳 私は今でもバレンタインのチョコに添えられた、あのメッセージカードを大切に持っている。 【あなたが私を見つけてくれますように 】 誰がくれたのか分からないチョコに添えられていたメッセージ。 私はその言葉に強く惹かれた。 あの頃の私はあなたに伝えただろうか? 私もあなたをずっと探していました…と。 映画に行った次の日、私は莉子にどんな顔をして会えばいいのかよく分からなかった。しかし、莉子は何事もなかったかのように放課後私を待っていた。 「部活

          【 パンドラの箱が開く時 】vol.3 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦

          【 パンドラの箱が開く時 】vol.2 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦

          若葉の季節に エレンは現在27歳。 これから語る恋の後、その想いをかき消すように幾度も恋を重ねてきた。 なのに新緑が芽吹き若葉の季節になる頃、いつも彼女との出会いが胸の奥から顔を覗かせる。 若き日のあまりにも幼い恋。 これからどれだけ新しい恋を重ねても、彼女を忘れる事は無いのだろうか? 「ねぇ、私と一緒にやらない?」 「あ。うん。」 私の名は桐島絵恋(エレン) 若草中学3年6組。身長167センチ。 雰囲気的には本田翼ちゃんににてるらしい。総勢60人いるバレー部員の中

          【 パンドラの箱が開く時 】vol.2 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦