フリーランスの年末
このところ新たな仕事の打診がなく、今年は久しぶりに「仕事のない年末年始」になるかと覚悟していた。家の片付けやPC整理、放送大学の視聴等、仕事以外にしなければならないことは溜まっているので「仕方ない。年末は雑事をして送ろう」と覚悟していた。
ところが3日前の夕方、別々の取引先から、ほぼ同じ時間にぼん!ぼん!と大きい仕事が立て続けに来た。
1社はいわゆる「年またぎゲラ」。年末にゲラが出たので著訳者か校正者が担当する慣習をこう呼んでいる。もちろん編集者が見ることもあるが、編集者というのは自分がスケジューリングするので、最初から「この時期はどうしても自分は避けたい」「年末年始は旅行に行くから自分じゃない人に作業してもらいたい」と思えば、そのように設定できる。
けれども、わたしたち校正者は自分で仕事のスケジュールが選べないので、このように「調整弁」として使われることが多い。わたしはそれが嫌いではないのだ。
土日祝日は基本的に仕事をし、平日に休む(通院予定や娯楽を入れる)というのが性に合っているので、ひとさまが休むときには仕事をしたい。年末年始は高齢の親の家に行って雑用をこなすというタスクはあるが、2日間あれば十分である。
もう1社はというと、元々「1月にお願いします」と言われていた分が前倒しで来た教材校正。考えていたよりも4倍くらいの分量があるが、締切までの期間もそこそこあるのと、なんといっても年末年始が使えるのはありがたい。
というわけで年末年始は通常以上の仕事をこなすことになった。
フリーランスは1週間も手が空いたら「切られたのではないか」と危惧するし、何よりも収入が途絶えてしまうと焦る。世間の皆が休む期間であっても同じだ。そんなときに仕事が来るのはほんとうにありがたい。
昨年10月までわたしは、フリーランスの身分ではあるが出版社に常駐していたので、「まったく仕事がない」というリスクは回避できていた。ところがそこを離れ、「黙っていても仕事が流れてくる」状態はなくなった。
それから1年経ったが、なんとか生計を立てられる程度の仕事をもらうことができている。その現状と得意先に感謝して、大掃除と片付けは2月にやることにしようかな。