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音楽家自身の観察眼を”鍛える"

音楽家のための自己観察力向上ガイド

音楽は時間芸術であり、常に変化を伴います。
この変化を認識し、適切に対応することが、
音楽表現の質を高める鍵となります。

本稿では、
音楽家が自身の観察眼を鍛え、
より豊かな表現を実現するための
具体的なステップをお伝えいたします。


● 変化を活かす3つのステップ

  1. 変化の認知

  2. 変化の判断

  3. 変化に対する行動

これらのステップを効果的に実践することで、
音楽表現の質を向上させることができます。


1. 変化の認知

変化の認知とは、
自分自身の状態や表現の変化に気づくことです。
以下の3つの側面から変化を観察しましょう。

身体的変化

  • 姿勢の変化

  • 身体の動き

  • 重心の移動

精神的・感情的変化

  • 気分の変化

  • 感情の揺れ

技術的変化

  • 発声技術の変化

  • フレージングの変化

  • 音程の変化

これらの変化は相互に関連しており、
例えば感情の変化が
身体の動きを引き起こし、
それが技術的な変化につながる
といった具合です。

以上が
1.変化の認知です。


2. 変化の判断

認知した変化を
どのように判断/解釈するかが
練習にあたっては重要です。
以下の3つの観点から
変化を判断しましょう。

時間軸での判断

  • この変化は今後も続くべきか

  • この変化は修正が必要か

音楽表現での判断

  • この変化は
    理想的な表現につながっているか

  • この変化は
    お客様に伝わる表現になっているか

想定と現状の比較

  • 想定していた表現と現状の表現に
    ギャップはあるか

  • そのギャップは埋める必要があるか

変化の判断は
単純に「良い or 悪い」で行うのではなく、
多角的な視点から行うことが大切です。

以上が
2. 変化の判断です。


 3. 変化に対する行動

判断した変化に対して、
適切な行動を取ることが重要です。
それには以下のような選択肢があります。

  • 追加: 現状の表現に新たな要素を加える

  • 変更: 現状の表現を別の方向に変える

  • 継続: 現状の良い表現を維持する

  • 修正: 理想の表現に近づけるために調整する

  • 停止: 望ましくない変化を中止する

これらの行動は状況に応じて柔軟に選択し、
常に最適な表現を目指すことが大切です。

以上が3. 変化に対する行動です。


それでは次に
変化を捉えるための
観察眼について
みてまいりましょう


観察眼を鍛える重要性

自身の観察眼を鍛えることは、
音楽表現の向上に不可欠です。
以下の2つの視点を持つことが重要です。

主観的視点

  • 自分自身の内側からの感覚

  • 「今、私はこう感じている」という認識

客観的視点

  • 外側から自分を見る視点

  • 解剖学的知識を活用した自己観察

これら2つの視点を
バランスよく持つことで、
より正確な自己観察と適切な対処が
可能になります。


解剖学的知識の活用

客観的視点を養うには、
解剖学的知識が非常に有効です。

例えば:

  • 「首が硬い」という感覚を
    「胸鎖乳突筋が緊張している」と
    具体的に理解する

  • 「腰がそっている」状態を
    「腹筋と背筋のバランスが崩れている」と
    具体的に認識する

このような具体的な認識はは、
より効果的な修正や改善につながります。


それでは
主観的 / 客観的な観察眼が
養われ後は、
何に取り組むべきなのでしょうか。

もちろん、それは
練習にどのように活かすかですね。


運動学習の重要性

観察眼を鍛えた後は、
その観察結果を
次のパフォーマンスに活かす
「運動学習」が重要になります。

  • うまくいったことを次回に再現する方法

  • うまくいかなかったことを改善する方法

これらの学習プロセスを通じて、
パフォーマンスの質を
継続的に向上させることができます。


まとめ

・自身の変化に敏感になり
・その変化を適切に判断し
・効果的に行動することで
音楽表現はより豊かになります。

主観的視点と客観的視点のバランスを取り、
解剖学的知識も活用しながら、
自己観察力を高めていきましょう。

常に変化を意識し、
その変化を肯定的に捉え、活用することで、
新たな表現の可能性が開けてきます。

そして、
その過程で得た気づきや学びを
次のパフォーマンスに活かすことで、
継続的な成長が実現できるのです。

音楽と身体の関係性を深く理解し、
自己観察力を磨くことで、
皆さんの音楽表現が
より豊かになることを願っています。

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Merge Labo 山本 篤
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