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ALS患者の夜間介護バイトをしている話

毎日noteを更新しようと思いつつなかなか毎日のネタが見つからないので、今日は私の夜間介護バイトについてお話しします。

始まり

この仕事との出会いは大学1年生の時。

同じ大学の大学院に社会人入学された40代の女性が在学中にALSという難病を発病し、自力では身の回りのことができなくなってしまったので24時間介護が必要になったとのこと。家族とはいえ、ご主人も子供たちもそれぞれの仕事や学校がある中で24時間つきっきりで介護することはできないので、同じ大学の学生の中から夜間の介護をしてくれる人を探している。

その女性に付いている大学教授が自分の授業で募集をかけたことで私は知りました。

今思えば1番興味を持った理由は、忙しくてバイトする時間がないけど夜勤なら夜の間に稼げるじゃん!という理由でしたね…

他にももちろん、私はドイツ語を専攻していたのですが、その方がドイツ語翻訳を仕事にされていたこと、難病を理由に様々な活動を諦めたくないと考え介護の体制づくりを試行錯誤されていることを知って、少しでも力になりたい、と思ったことが始めるきっかけでした。

仕事内容と資格

さて、とはいえ仕事内容は立派な医療行為です。普通の外国語学部の学生ができる内容ではありません。

仕事内容
・文字盤を使ったコミュニケーション
・対位交換(寝返り)
・吸引(痰の除去)
・栄養や薬の摂取(胃ろうから入れる)
・トイレ
・夜間の見守り
など

ですので当時、研修を受けに行きました。

座学を受けたり、実際に脳性麻痺がありヘルパーを利用されている方のご自宅にお邪魔してお話を伺ったり。
たしか丸1日か2日かかったはず…(詳しいことは覚えていない)

そうして「重度訪問介護従業者」の資格を取得しました。

介護と聞くと病院に勤めてるのかな?と思われる方もいらっしゃるでしょうか?

私の場合は完全にその大学院生の専属の夜勤ヘルパーとなり、ご本人のご自宅に通いました。もちろんご家族も一緒に住んでいらっしゃいます。

かれこれ長くやっております

大学1年生の秋から始めて、途中留学で私が日本を離れた時もありましたが帰国したらまた戻り、卒業までずっと続けました。

病気の進行は早く、私が始めた当初はまだ文字盤というプラスティックの透明な板を介してコミュニケーションが出来ていたのですが、だんだんと目が動かなくなっていきました。

本当はいつ病気が進行して最悪の事態になってしまうか分からない。
そんな病気ですから、留学で離れるときはお互いにこれでもう最後なのかも知れないと思い、涙でお別れしたんです。
まぁ女性が何を考えていたのかは聞いていないので分からないですが、私はそう思っていました。

でも再び会えて良かったです。あれからもう7年…

文字盤

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この50音表を板越しに目で見て、その視線を追って文字を読んでいきます。

1まばたきが正解
2まばたきが濁点
3まばたきが半濁点

たしかそんなルールだったはず。
もう長い間文字盤を読んでいないもので忘れてしまった…

だから目の動きが悪くなると、意図している文字を見れないし、まばたきができないと正誤が伝わらないので、かなりのセンスと初めの言葉から言いたいことを推察するコンビネーションが大切になります。

この文字盤読みは社会人のヘルパーよりも学生ヘルパーの方が筋が良かったみたいですね。よく通訳?を頼まれてました。

ALSを発症してから文字盤だけで書いた本が出版されています。
私も含め、ヘルパーの皆が勤務時間に交代で文字盤を読みながらみんなで作った本です。

戻ってきたこの場所

さて実は私は今月からこの夜間介護の仕事に再び戻ってきました。

社会人になってバイトを辞めた時、何とか引き続き手伝えないだろうかと考えたもののなかなかそんな仕事はなくて続けられなかったのに、あれから5年経った今また戻って来られるなんて!思ってもいませんでした。

ただ夜勤というだけでも続けるのが難しいのに、身体介護も含めた重労働、命を預かる緊張感があるこの仕事。この5年間なかなか続けられる人がいなくて、入れ替わり立ち代り新人が入っては辞め、既存のメンバーで回してきたそうです。

縋る思いで思い出して連絡をしてきてくださいました。思い出して貰えたのが嬉しいですね。

何とか力になりたい思いと、副業が可能な状況にあること。二つ返事で引き受けました。

私にできること

実際は私がお世話をしているんですが、お話ができなくなってしまった今でも何だかお世話になっている気分でヘルパーの仕事をしています。

私が学生だった頃に比べると病気が進行してしまって状況はまるっきり変わってしまいました。
それでも私が日々の仕事や生活の話をして外の世界を知ることで、少しでも楽しんで貰えて、心に新しい風を吹かせることができるのではないかと思っています。今ここで私ができる役割だと思っています。

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