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あなたは、だあれ?

わたしは神社に住むきつねのこんこ

今日はとなりの神社に住む猫の みーくんのところに遊びにいくよ。

こんこ「みーくん、あそぼ! また猫なのにつながれてるの。不自由だね。」
みーくん「うん、でもお守りを買いに来た人にナデナデさせたあげたり、かわいいねって写真を撮らせてあげるのも、ぼくのつとめだからね。」

みーくん「きょうは、お宮参りで赤ちゃんも来てるから、子守りもあるんだ。」
こんこ「そう、じゃあわたしは、ほかの人間さんとあそぼっ。」

こんこは人間に化けて、あたりを見回した。
ちょうど階段をふうふう言いながら上がってくる人間さんが2人いる。
2人が丁寧にお参りしているので、ちょっと遊びたくなった。
帰りかけた2人に、
こんこは
「今からお宮参りの祝詞をあげるようですよ。
太鼓の音もすごくいいので聞いていかれたらどうですか?」

人間さん
「そうなんですか?ではちょっとここに座って聞いてから帰ろうかな。」

お宮参りの祝詞が始まる。
ドンドドンとドン、太鼓の音が大きくなったり小さくなったり、山に反響している。リズムが心地よく、祝詞をあげる神職さんの声も太鼓とシンクロして歌っているかのようでとても心地よい。

こんこ
「この神社から2キロほど行ったところに、神社の奥宮があるんですよ。本当はこの神社の拝殿もそこにあったのですが、ここに移動したそうです。奥宮はとても立派なので行かれてみてはどうですか?」

人間さん
「それはすごいですね。奥宮の本殿も見て帰ろうかな。ご丁寧に色々教えて下さってありがとうございました。」

こんこは、にーっと笑顔で2人を見送った。だがその裏では、ふふっといたずらな笑みを浮かべていた。

こんこ「みーくん、今日はもう帰るね!」
みーくん「うん、あんまりいたずらするなよ。」
こんこ「いたずらなんてしてないよ。コンコンってお話しただけ。
今日はわたしが見える人間さんに久しぶりに会えたから楽しかった。またね。」

人間さんは、言われた場所の奥宮に着いた。
とても立派な本殿に驚いた様子だった。
あれ、ここにも鳥居があるねと言いながら、その鳥居をくぐると・・・。

急にあたりが暗くなり、道も荒れはてて草がぼうぼう伸びている。
さっきの神社の境内はすごくきれいだったのに、雰囲気がおかしいね。
あっ、また鳥居がある。
一歩踏み出そうとしたとき、人間さんのうちの1人が、
「ここから先は進みたくない。人間の気配が全くなくて怖い。」とおびえだした。
もう一人の人間さんも、先に行きたそうだったがあきらめて戻っていった。

こんこ「・・・・」

2人は車に乗って帰ることにした。
「さっきの、親切な女の人なんで声かけてきたのかな。今までそんな人に会ったことないよね。」
「うん、偶然会ったにしてはおかしい。奥宮に導かれた感じだった。」
「うん、変だよね。あの鳥居をくぐらせて奥に行かせたかったのかも。
もしかしてあの人、おきつねさん?
「・・・・そ う か も 。」






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