大人の自由研究
目標がなかなか決められない苦しさ
一年に一回くらいの親戚の集まりで、おじさん連中に、将来になりたいものがあるのかと聞かれていたのを思い出しました。それくらいしか、会話することがないんだなと思いながら、僕はいつもないと答えていました。すると、酔った勢いなのか大きな声で「人生は一度きりなんだから、夢くらい持ちなさい。でないと死ぬ前に後悔するぞ!」と、うっとうしいほど毎度のように言ました。
余計なお節介だと言い返したかった。そんなことは、子供だった僕でもわかっていました。だけど、見つけたくても、夢を見つけることは僕には難しかったのです。あの威圧的な声が、妙に僕の耳に残っていたんです。
僕は、なかなか、自分のやりたいことがみつかりませんでした。
ただ単に大学に行けっていわれても、行く必要性が感じられず、受験勉強に、どしても身が入りませんでした。行けばみつかるかもと、大人たちにたくさん言われて諭されたけど、それで、今の楽しいを捨てて、受験勉強に青春を捧げることがどうしても出来ませんでした。
それでも僕なりに、夢を描いたり、目標を持つことはできました。何もすることがなく、時間をもてあそぶように見ていたテレビの中に、凄いと思ったものがあったからです。「料理の鉄人」という番組で、日本のトップシェフたちが、お互いの料理を競い合う内容でした。時間の中で、次々に浮かんでくるアイデアと、それを実現させるシェフたちが、僕には、とてもかっこよく見えたのでした。そして、何よりも大学受験しなくてもなれる職業であること。勉強しなくても済むことが、僕にとっての大きな理由となりました。
あまり、よく考えなかった夢の割には、僕は思いの他、人生をかけて一生懸命になることが出来ました。それなりに憧れることも出来ました。しかし、大きな挫折がきっかけで、その夢が崩れ去ってしまった時に、再び立ち直り、新たにやりたいことを探すことは、とても困難を極めたのでした。
これまで、必死に頑張ってきたことを、諦めるのは、とても虚しさや寂しさを感じるものだし、とても傷ついたのです。
だから、また夢を持つことよりも、もう傷つきたくないという思いの方が、とても強くなってしまいました。夢なんか持つべきじゃないと思うようになったのです。
でも、どこかで目標を持たないといけないと思う気持ちもあって、この矛盾の狭間で、僕はモヤモヤするし、どこか焦りを感じるのでした。
視点を変えるだけでいい
僕は、大人になって、夢を失うことは、あらゆる競争社会の中においては、負けを意味するものだと考えていたのでした。
自分に情熱が注げないから、ギャンブルに注ぎこむ。自分に対する不平不満を、社会や世間のせいにして、テレビの前で、ああだこうだとぼやいている。そんな日常を人生の負け組の在り方だと勝手に想像して否定した自分が、あと一歩のところでそうなってしまうんではないかと想像して、勝手に怯えていたんです。
目標がない大人は負け組。そうなってはいけないと焦るばかりでした。でも、失敗してはいけないと、恐れている自分もいました。焦りと恐れ。このふたつの感情が心を支配している間は、どんなに必死になっていても、夢や目標は見つかりませんでした。
そんな右往左往しているときに、またまた、僕の中で人生のピンチを迎えてしまったのです。
なにもかも、嫌になってしまうのかと思いきや、僕の中で吹っ切れたような感覚になれたというのか。不思議な感覚。モヤモヤしていた気持ちが、ふわふわした感覚になったのです。
そんな感覚で考えたことは、僕は一体全体誰と戦っていたんだろうかっていうこと。そう思っちゃたんです。
それから、すぐに僕は、自分の人生と戦うことを辞めたのでした。僕が想像して、勝手に不安に思っていたような、負け組の人生に、なる気配はありませんでした。
むしろ、肩の力が抜けたようでした。焦りや恐れが完全になくなってしまったわけではありませんでしたが、どこか、客観的であるというか、冷静になれたのです。
目標は相も変わらず見つかってはいませんでしたが、どこか、夏休みの自由研究で何をするのかを、考えるみたいに、ちょっぴりワクワクすることができたのです。夢や目標を探すこと自体を楽しむような感覚になれたのです。
そこには、どうせやるんだったら、天下を取らなくちゃいけないとか、頑張らなくちゃいけないというものではなく、「あんなこともしてみたよ。」「これもやってみたよ。」っていう、遊び心を育むものでした。
それから、あらゆることにチャレンジすることが出来ました。他人からしたら、それは人生の無駄遣いだと言われるかもしれません。でも、僕は楽しかった時間を過ごせdあったのです。
そして、ようやく出会えたのです。文章を書くということ。まだまだ、未熟で、まだまだ、足りないことだらけです。自己満足の範囲であることも承知しています。でも、何よりも楽しんで書いています。ですので、読んで頂いている方々には、本当に感謝の気持ちでいっぱいなのです。いつもありがとうございます。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
メルシー
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