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夏模様
何かに興味関心を持つことは素敵なことなのだと思う。素敵なことはたくさん出来たらいい。出来なくても見つければいい。見つけられなければ、尋ねればいい。尋ねる人がいなければ、街に出ればいい。
どこに行こうかと地図を買う。地図には知らない街の名前が並んでいる。道は道へと続いている。あなたはそこに駐車場を見つけるかもしれない。見慣れない商品が並ぶ自動販売機を見つけるかもしれない。
昼寝を楽しむ猫は、あなたのことを無視するかのようにあくびをする。
蝉の音、遠くで聞こえる子供の声。空を見上げれば青いキャンバスにもくもくと雲が描かれている。あなたはそこに夏を見つけるだろう。
暑い日差しから逃げるように日陰を探せば、そこはどこか懐かしい風景。夏模様に彩られた木陰、そよ風、入道雲、澄み渡る青空にギラギラと輝く太陽。街の雑踏はくごもって、長い昼の時間を漂いながら気持ちのいい喉の渇きを感じさせてくれる。
アスファルトは影を写し、これでもかと熱を帯びる。
打ち水。風鈴、水溜りに映るビルの影。通り過ぎてくクルマから、聴き慣れた音楽が漏れ聞こえる。浴衣にウチワ、スーツを手に足早に先を急ぐ人。交差する人と季節。
知らない者は探さない。かつて公園は水遊びをする子供たちがキラキラと輝いていた。束の間の休息を親しい人々と過ごし、故人を思う。
夜は夏祭り。遠くで聞こえる花火の音。虫の音は騒がしく秋を誘う。ホタルを見る事はないが、可愛らしく火花を垂らす線香花火は、終わらない夏を装う。
何を探しにきたのか、何を見つけにきたのか、誰を尋ねにきたのか。夏の寄り道は冒険のように始まり恋愛小説のように切なく終わる、興味は自然と秋に移る。
今はまだ夏を愉しもう、