83歳父の実現力
脊椎を損傷し
下半身が全く動かず
移動は必ず他人の力が必要な83歳の父が
免許更新にいくといったら
あなたならどうしますか?
母は、
更新しても乗れないんだから意味がない
お金がもったいない
時間かもったいない
周りに迷惑をかける
運転して事故でも起こしたら大変
その年の人はみんな返納している
父を説得するために
老人の事故の記事を見せて
諦めてもらいたいと思っていた
私は、
乗れないかもしれないけど
やりたいならやらせてあげたいと思った
兄は、
父が下半身不随になってから
2度の免許更新に付き合い
連れていくことも大変だったし
免許センターの方とのやり取りも大変
たとえ健常だったとしても
高齢で事故を起こすリスクを考えると
免許更新するべきではないといった
父は免許更新をどうしてもしたい!
生きがいだといった
父は、時折ボケているのか
はたまた私たちとは違う世界にいるのか
日頃歩いていたり
運転しているという
みんなに迷惑かけなくても
一人で免許更新にバスなどに乗っていけるという
免許更新や歩ける発言以外には
ボケている発言はいっさいないのだが
頑なに足が使えることに関しての父の発言に
母や兄は辟易していて
なさけないらしい
みんなの想いが交差するなか
結果的に免許更新に
私たち夫婦と母で連れていくことになった
なんなく高齢者講習の筆記が終わり
いよいよ実技で車に乗ることに
下半身不随になってから8年
一度も運転をしたことがない
そして、障碍者用の手でアクセルやブレーキを
操作する初めての乗車する車
運転できるはずはないと
私たちが思うのをそっちのけに
軽快に車は進み始めた
ハンドルさばきも見事
1周する頃には加速して結構なスピードに
後で聞くと50キロ出してといわれて出したらしい
クランクや駐車も難なくこなし
最後は白線から5センチくらいのところに
並行して停車
見事すぎる運転で
感動で涙が出た
最後の視力検査でも
付き添った私たち夫婦よりも見えているようだった
はぁ、すごいなぁ
父は本当に日頃、運転をしているのかも
私たちが普段接している違う次元の世界で・・・
人のできる!という強い意志
これを否定するなんて
できないなと
目の当たりにした
やりたいことさせてあげたいとおもったけど
私の中で運転できるとは正直思っておらず
父にその可能性を見いだせなかったことが申し訳なく思えた
誰にでもどんな可能性はある
自分がその可能性をないことにしないようにしようと思った
出来事でした
後日談・・・
免許更新ができたら
障碍者用の車を買うんじゃないかという
母と兄の心配をよそに
父は、特に車を買おうとはしておらず
いろんなことに積極的になり
以前にもまして明るくなったそうです
免許更新と関係があるかない川わかんないけど
元気に過ごしてくれるのが何よりです。