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長期インターンシップの活動による成長と課題克服

こんにちは!三条市立大学3年生の小鯖比央里(こさばひおり)です。
現在、大学の実習で「めおと」ブランドの製品を手掛ける株式会社プラスワイズさんにお世話になっています。

実は、インターン生として私が記事を投稿するのはこれが最後になります。

そこで今回は、これまでの4か月を振り返る意味も込め、私の経験談を書きたいと思います。


はじめに

小学校から始まり、中学、高校、大学と進学。今日に至るまで私が学生として過ごしてきた14年間を振り返ると、その大部分は教室や自室のデスクに向かった学びに費やされてきました。
テキストや講義、部活動などの課外活動を通じて学んだ知識はもちろん有益でしたが、実際の企業での実習を通して得られる知見や経験は、学校で学んだ内容を実践的に活かす場として、もっと言うならば「これまで学んできたことが社会で通用するのか確認する場」として、極めて重要であることを実感しました。
これからお話しする、昨年から今年にかけて4か月間取り組んだ産学連携実習は、自分の成長の大きな転機となりました。

1,産学連携実習とは

現在、私の在学する三条市立大学では、授業の一環として地元企業に実習に出向く産学連携実習が行われています。これは普通の大学にはない、在学中に「会社で働く」ということはどういうことなのかを知ることが出来る、貴重な機会だと考えます。
2年次に2週間、3年次には4か月という稀に見る長期間ということもあり、学生の間では、実習先の企業の選定は大学4年間の中でもかなり大事なイベントとなっています。
実習先は予め用意された200ほどある企業の中から選びます。実習先は多種多様で、様々な業種の企業があり、企業ごとに「企画」「開発」「生産」の大きく分けて3つの分野を学ぶことが出来ます。
私の選んだ企業「株式会社プラスワイズ」は、主に企画の分野を学ぶことができる企業です。

2,株式会社プラスワイズはどんな企業?

私から見た同社の印象や業務について紹介します。
新潟県三条市にある、農業資材ネット通販を手掛ける企業です。今年の5月で設立13年となる“準”ベンチャー。三条市内では最も勢いがあると言って間違いないでしょう。
社内の雰囲気は明るく風通しの良い印象。社長、社員のみなさんも優しい方が多く、理想の仕事環境だなと常々思います。
社員さんの多くは先述した農業資材のネット通販についてお仕事をなさっており、受発注や発送作業、社内システムの構築・改善などほとんどを自力で行える頼もしい方々です。

3,オリジナルブランド「めおと」について

実は、私が体験させていただいたのは、農業資材にかかわる業務ではありません。
社長の中川さんがマネージャーとして新たに立ち上げた「めおと」という自社オリジナルブランドについて様々な業務を経験しました。
めおとは夫婦のためのギフトブランドです。ふたりで過ごす時間に彩を添える、暮らしに馴染むアイテムを提供することをミッションに、製品開発を行っています。

Column 「めおと」ブランドの立ち上げ理由

数年前、ブランドマネージャー中川は双極性障害を発症し、病床に伏した経験がある。三条市にUターンしたり、病気で子育てが任せっきりになったりと、妻には相当な苦労をかけている。何か普段と違う感謝を伝える方法はないだろうか。こんな思いから「妻に贈り物として何か作れないだろうか」と考えるようになる。
そして生まれたのが「めおと包丁」ひいては「めおとブランド」だ。

中川への取材より抜粋

4,実習でどんな仕事を体験したか

私は、めおとブランドの製品開発から営業活動、さらにはマーケティングや販路開拓に至るまで、広範囲にわたる業務を担当させていただきました。
ブランドを支える軸となる様々な仕事を通じて、モノづくりの裏側やその販売戦略の重要性を学びました。
実習が始まる前、私は漠然としか「モノづくり」のイメージを持っていませんでしたが、実際には製品が生まれる過程には様々なステップやチームの連携が不可欠であり、その中で私自身がどのように貢献できるかを日々学んでいきました。
前置きが長くなりましたが、今回は、その中で得た経験や気づき、そして自分が直面した課題を深掘りし、これからの課題についても考察したいと思います。


インターンシップの内容とそこから得た学び

1,製品開発と商談の重要性

最初に取り組んだ仕事は、実際の製品開発におけるサポート業務でした。サポートとは言っても、最初は自分一人ではほとんど何もできないので、「見て学ぶ」がメインでした。
特にデザインや素材の選定、そして市場にどのように売り込むかといった点で多くを学びました。
ギフト向け製品のため、性能、デザインの両面で妥協できず、何度も試作と修正を繰り返すことが印象的でした。
製品開発では、品質の高さ(マネージャーやデザイナーのこだわりをどこまで再現できているか)を維持するために、メーカーや職人との密な連携が重要であることを痛感しました。
また、商談を見学しながら、製品が市場に出るまでの流れについて理解を深めました。商談では、相手にどれだけ自社の思いや製品の特徴を的確に伝えられるかが重要であることが分かり、コミュニケーション能力の向上が必要だと実感しました。商談では、製品の特長や要望を伝えるだけでなく、相手の持っている技術を把握し、それに応じた提案をするスキルが求められます。
この点は、単に商品の情報を提供するだけではなく、その後の関係を築くための土台作りに繋がる重要な部分だと考えました。

Column デザインするとは、、、

「デザインする」とは、単に見た目が美しいだけでなく、素材・加工法に無理がないか、コストに見合った設計かなどを総合的に判断し、バランスをとることだ。それらがぴったりと嵌った時、デザイナーは喜びを感じる。実現しないデザインを作りっぱなしでは、話にならない。

長岡市在住 プロダクトデザイナー談

2,POPUP販売での接客業務と実践

次に取り組んだのは、実際に商品を販売するという業務でした。特に※POPUPイベントでの販売活動は非常に印象深かったです。

POPUPストア/イベントとは、、、
特定の場所で短期間だけ開かれる期間限定の店舗です。百貨店やショッピングモールなど、他社のスペースを借りて販売します。メリットは、販売員が常駐することで、ただ商品を売るだけでなく、ブランドの「体験」を通じてお客様に強い印象を与えられることです。実物を見たり、試してもらうことでオンラインでは伝えきれない商品の魅力を届けられます。

POPUPでは、販売員として店頭に立ち、来店者に対して商品の説明を行い、購入に至るまでのサポートをする役割でした。最初は、どのようにお客様に声をかけ、どのように商品を紹介すればよいのか分からず、少し緊張していました。
しかし、実際に販売を重ねる中で、お客様の反応を直に受け取ることができ、どの製品がどのような層に受け入れられるのかを学ぶことができました。
年齢層や性別によって反応が異なるため、その場で臨機応変に対応する力が求められました。最初は、なかなかお客様が足を止めてくれず、反応が薄かったのですが、声のかけ方や目線の使い方を工夫することで、少しずつ成果が出るようになりました。
この経験から、接客における「熱意」や「誠意」が伝わるかどうかが、最終的な購入決定に大きく影響することを学びました。商品の魅力を伝えるだけでなく、お客様に寄り添った接客ができることが重要であると実感しました。

3,営業活動と商談の主導

さらに、営業の一環として、ECサイトの運営会社に対して営業メールを送るという業務にも取り組みました。自分が初めて書いた営業メールが実際に返答をもらい、商談へと繋がる過程を体験できたことは、大きな成果でした。営業メールを送る際には、相手の会社情報をしっかりと調べ、その上で自社の商品がどれだけ相手のビジネスにフィットするかを伝える必要があります。初めての営業活動においては、どのように相手に伝えるかを工夫し、細心の注意を払って書くことが求められました。
また、商談では、オンラインでのミーティングを通じて、相手との信頼関係を築くことが重要であることを実感しました。最初は、商談の進行や言葉遣い、話題の選び方に不安がありましたが、経験を重ねることで自信がつき、次第にスムーズに進行できるようになりました。この経験を通じて、ビジネスの場でのコミュニケーション力の大切さを実感しました。

4,多面的に思考することの重要性

企画・開発・生産・販売の一連の流れを体験し、多面的に考えることの重要性を再確認しました。
例えば、包丁の製造を工場に依頼することを考えるとき、「金物の町だから燕や三条の企業を探そう」と考えるのが一般的だと思います。しかし、実際にこの予想の元、請負先を探すと、なかなか取り合ってくれる工場が見つかりません
理由は大きく3つあります。地元企業は「自社製品の製造で手一杯」で「※OEMを受けなくてもすでに潤っている(仕事探しに困っていない)」こと、「風土的にOEMを受ける体制が整っていない」ことが挙げられます。

OEMとは、、、
「Original Equipment Manufacturing(Manufacturer)」の略語で、他社から仕事を受託し、他社ブランドの製品を製造することを意味します。商品企画はするが、製造する能力を持たない企業や、個人の顧客から注文を受け、自社商品以外を製造する業態を指します。 

このような要因は依頼側からの一方的な目線では気づきにくいことです。開発当時、実際にこの壁にぶち当たった中川マネージャーは最終的に製造依頼を岐阜の関市の工場にすることとなりました。
このように、1つの思考に固執せず、要因を分解し多面的に考えることが目標達成のカギになることを学びました。

Column 私の好きな言葉

"Science without religion is lame, religion without science is blind."
「信仰のない科学は不完全だ。科学のない信仰は盲目だ。」

Albert Einstein

自己改善と今後の課題

1,営業と商談スキル

商談や営業活動を通じて、最も大きな課題として感じたのは、言葉遣いや話し方のスキル不足です。商談を実際に行うと、聞いているだけでは得られない難しさを実感しました。商談中に相手の反応を見ながら、どのタイミングでどのように提案すべきかを判断する力が必要です。自分が話す内容やトーン、スピード、さらに相手の反応を敏感に察知して、会話をリードするスキルを磨く必要があります。
また、営業メールを書く際には、相手の企業の特徴を理解した上で、どれだけ自社の製品が相手に利益をもたらすかを簡潔かつ分かりやすく伝えることが大切です。この部分は、自分にとってはまだ時間がかかる部分であり、今後さらに効率的に営業ができるようにスキルを磨いていきたいと感じました。

2,接客と販売技術

POPUPでの販売経験も重要な学びとなりましたが、同時に課題も浮き彫りになりました。特に、商品を説明する際のアプローチ方法や、お客様との距離感をどのように保つか商品の魅力をどう伝えるかといった部分で、もっと技術的なスキルが必要だと感じました。販売員として、商品の詳細な情報を正確に伝えつつ、お客様にリラックスして買い物を楽しんでいただけるような接客が求められます。この部分は今後の大きな課題として、もっと場数を踏むことで改善していきたいと考えています。


終わりに

私がインターンを通じて学んだことは、製品開発から営業、販路開拓に至るまで、企業の全体像を把握する上で非常に重要な経験となりました。また、実際に商談や営業活動を行うことで、理論では学べない現場での経験を積むことができました。今後もこの経験を基に、さらにスキルを磨き、自己成長を続けていきたいと考えています。
私の今後の目標は、営業や接客、さらに商品の企画段階から携わることができるような立場に成長することです。そのために、まずは現場で学んだ課題を克服し、専門的な知識や技術を高めていきたいと考えています。自分の強みを活かし、課題に挑戦し続けることで、将来的には企業の成長に貢献できる存在になれるよう、これからも努力していきます。

最後までお読みいただきありがとうございました。