見出し画像

健康づくりと睡眠のポイントを知る

今年は、猛暑から短い秋を経て急に冬がやってきた。
寝苦しい暑さから、一転急な寒さなので体調コントロールが難しい、との声が聞こえてきた。

私自身も、例年になく寝付きが悪く、寝ているのに寝た感じがしない、すっきり起きられない。年齢のせいなのか?と思ったりもするが、それだけでもなさそうだ。
睡眠は寝ている時間だけでもなく、睡眠休養感の向上が健康のために重要だという。

そこで、睡眠と健康について興味が湧いてきたので「健康づくりのための睡眠ガイド2023」を学んできた。
講師は、東洋大学スポーツ科学部栄養科学科の吉﨑貴大先生。
「健康づくりのための睡眠指針の改定に関する検討会」の構成員のお一人で、今年改定された指針の内容に詳しい。


このガイドでは、健康と睡眠の意義について詳しく研究されていて、「ガイドで推奨している事項」「睡眠情報」についてまとめている。

ここでは、厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」から、そのポイントだけを抜粋して紹介していく。
よろしかったら、「ガイドのポイント」と併せて「厚生労働省のページ」も参考にしてみてください。

〇睡眠ガイドにおける推奨事項(高齢者、成人、こども別の方向性)の概要

高齢者
・長い床上時間が健康リスクとなるため、床上時間が8時間以上にならないことを目安に、必要な睡眠時間を確保する
・食生活や運動などの生活習慣や寝室の睡眠環境などを見直して、睡眠休養感を高める
・長い昼寝は夜間の良眠を妨げるため、日中は長時間の昼寝は避け、活動的に過ごす

成人
・適正な睡眠時間には個人差があるが、6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保する
・食生活や運動などの生活習慣、寝室の睡眠環境等を見直して、睡眠環境を高める
・睡眠の不調・睡眠休養感の低下がある場合は、生活習慣等の改善を図ることが重要であるが、病気が潜んでいる可能性にも留意する

こども
・小学生は9~12時間、中学・高校生は8~10時間を参考に睡眠時間を確保する
・朝は太陽の光を浴びて、朝食をしっかり摂り、日中は運動をして、夜更かしの習慣化を避ける

〇睡眠に関する6つの情報についてのポイント

①良質な睡眠のための環境づくりについて
②運動、食事などの生活習慣と睡眠について
③睡眠と嗜好品について
④睡眠障害について
⑤妊娠・子育て・更年期と良質な睡眠について
⑥就業形態(交代制勤務)と睡眠の課題について

以上を、個別や環境の状況を踏まえてガイドを活用してほしいとのこと。

①良質な睡眠のための環境づくりについて

・日中にできるだけ日光を浴びると、体内時計が調節されて入眠しやすくなる
・寝室にはスマートフォンやタブレット端末を持ち込まず、できるだけ暗くして寝ることが良い睡眠につながる
・寝室は暑すぎず寒すぎない温度で、就寝の約1~2時間前に入浴し身体を温めてから寝床に入ると入眠しやすくなる
・できるだけ静かな環境で、リラックスできる寝衣・寝具で眠ることが良い睡眠につながる

②運動、食事などの生活習慣と睡眠について

・適度な運動習慣を身につけることは、良質な睡眠の確保に役立つ
・しっかり朝食を摂り、就寝直前の夜食を控えると、体内時計が調整され睡眠・覚醒リズムが整う
・就寝前にリラックスし、無理に寝ようとするのを避け、眠気が訪れてから寝床に入ると入眠しやすい
・規則正しい生活習慣により、日中の活動と夜間の睡眠のメリハリをつけることで睡眠の質が高まる

③睡眠と嗜好品について

・カフェインの摂取量は1日400㎎(コーヒーを700㏄程度)を超えると、夜眠りにくくなる可能性がある
・カフェインの夕方以降の摂取は、夜間の睡眠に影響しやすい
・晩酌での深酒や、眠るためにお酒を飲むこと(寝酒)は睡眠の質を悪化させる可能性がある
・喫煙(紙巻きたばこ、加熱式たばこ等のニコチンを含むもの)は睡眠の質を悪化させる可能性がある

④睡眠障害について

・睡眠に関係する症状は「睡眠環境、生活習慣、嗜好品」によるものと「睡眠障害」によるものがある
・睡眠環境や生活習慣、嗜好品に起因する睡眠関連症状は、睡眠ガイドの実践で改善する可能性がある
・睡眠ガイドを実践しても睡眠に関連する症状が続く場合、睡眠障害が潜んでいる可能性がある
・睡眠障害が疑われる場合は、速やかに医療機関を受診する

⑤妊娠・子育て・更年期と良質な睡眠について

・睡眠は月経周期の影響を受ける
・妊娠中の睡眠は妊娠経過とともに変化し、胎児の健康にも影響する可能性がある
・子育て期の睡眠も健康増進・維持には重要である
・更年期には睡眠の悩みが再び増えやすい傾向がある

⑥就業形態(交代制勤務)と睡眠の課題について

・交代制勤務では、睡眠の不調などの健康リスクに注意が必要である
・不眠や睡眠休養感の低下、業務中の眠気が続き、日常生活に支障を来している場合は速やかに医療機関を受診する

ガイドラインだけでは実践が追い付かない人も多いという。
本ガイドでは、具体的な研究内容やエビデンスが詳しく研究・公表されている。
ボリュームが多いので、研究内容やエビデンスは、ぜひ以下厚生労働省のページを参照し、個々人で活用してみてはいかがだろうか。

https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf

なお、講師の先生曰く、睡眠と食事との具体的な関係は、さらに研究を進めている段階だそうだ。
次を楽しみにしたい。

今回もありがとうございました。

いいなと思ったら応援しよう!