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提案しない提案の仕方

mixi日記(2007年3月)より転載

昨日、読書会内でオープンカウンセリングをしていて改めて気づいたこと。

「Aをしましょう。」
「Aしてみてください。」

相手に新たな行動を提案したいとき、上記のような提案の仕方をすると、説得するカウンセラーと、カウンセラーの提案を拒絶するクライアント、という構造ができやすい。

このようにクライアントに拒絶させるとカウンセラーとの関係が切れてしまう。カウンセラーサイドとしては、極力、心理的な距離を遠ざけないために拒絶させたくない。

そこで、

「Aをするのはどうですか?」

このように提案をする。

こうすれば、Aを受け入れるにせよ、断るにせよ、質問の形式を取っているために、直接的な拒絶にはならない。

さらに、

「Aをするとどうなりそうですか?」

こう質問すれば、Aをすることすら直接は要求していないことになる。

もしAをしてみたとしたら、その結果どんな状態になりそうですか?
そんな風に仮の話をしてみただけだ。だから、拒絶するのは非常に難しい。

しかし、メッセージの受け手はAをすることを頭の中でイメージする。
その時点で相手が選べる選択肢の一つにAすることは加えられる。これでもうすでに十分提案してみるという目的を果たしたことになる。

提案された事柄をイメージした結果、それがよさそうだと思えば、勝手にそれを選択する。

逆によさそうだと思えないときは、どんなに「○○しなさい」と指示的な表現を使っても、実行しない。

それどころか指示をされるということは、他の行動の選択肢を奪われたことになるので、それに対する心理的反発から、提案をよりいっそう受け入れにくくなる可能性もある。

つまり、たいていの場合は、

「Aしましょう」
「Aしなさい」

という指示の形はいらないということだ。

「Aするとどうなりそうですか?」

これはなかなか便利なので使ってみるのも面白いかもしれません。

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