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漫画連載裏話①

マママンガ賞最終選考通過をきっかけにチャンスを頂いた、kodomoe webさんでの漫画の短期連載。
先月その連載が終わりました。
(いろんなことに追われていて、noteでは事後報告になってしまいました)

▼連載一覧はこちら
https://kodomoe.net/serial/okra/

▼第3話・きゅうりの話が1番気に入ってます


結果的に大きなPVにはつながらず、本連載の話は無しとなった訳ですが、初めてオリジナルストーリーの漫画が仕事になった(お金が発生した)経験から気づきがたくさんあったので、裏話をはさみつつ記録に残しておきたいと思います。

おそろしく長くなりそうなので、投稿を2回に分けます。

今回は「オリジナル漫画と企業案件漫画の比較」「めちゃめちゃ時間をかけたタイトル決め」の2つについて。

オリジナル漫画と企業案件漫画の比較

短期連載のチャレンジ権を得たことは嬉しいことでしたが、まずは短期連載をやってみるかどうかというところで一瞬迷いました。

どこに迷う要素があったのかというと、企業案件との原稿料の差。
一般的にこういう漫画(漫画家が好きなストーリーを描く漫画)の原稿料はあまり高くないとの噂ですが、やはり新人価格は少し厳しめ...。
(※業界全体での話です。そして人気作家さんは高い原稿料を貰っていると思います。)

ふだん企業案件で描いている漫画(書籍で使われる解説漫画や、商品紹介をする広告漫画など)では、作画だけでも数倍の金額をもらえるので、やはり少し躊躇してしまいました。

でも、そもそも企業案件と比べるのが間違っているってことに気がつきました。

企業からの依頼で何かを解説したり紹介したりする漫画を描くのと、編集の手は入るけど自分の好きなストーリーの漫画を描いて掲載してもらうのとでは、性質が全く異なるからです。

企業案件は、基本的に指示されたものを描くだけなので、漫画を描き上げた時点で漫画家の役目はほぼ果たしている。

でも今回のようなオリジナルストーリー漫画のweb掲載は、PV数が稼げるかどうかが全て。
でもその漫画がハネるかどうかは載せてみないと分からない。

結果的にPV数を伸ばせなければ、漫画家としての役目は十分果たせなかったということになる。

効果や利益が出るか分からないものにそんなにお金は出せない、というのは至極真っ当なことだなと納得しました。

そもそもSNSでいくら発表しようが1円にもなっていなかった漫画だし。
(営業ツールとしての効果があるので、それで十分ではあるのだけれど)

何事もやってみないとわからないし、こんなチャンスはもう二度とやってこないかもしれない。
とりあえずやってみればいいじゃないということで、短期連載に向けて進むことにしました。


めちゃめちゃ時間をかけたタイトル決め

漫画のネームよりも時間がかかったのが、連載タイトル。

最初は普段SNSで使っているタイトル「オクラ家ちんちくりん日記」でいいやと思っていて、それで一度OKも出ていました。

が、後日編集部から「やや難あり」の意見が出たとのことで、考え直すことにしました。
(「ちんちくりん」を悪い意味で受け取る人がいるかもしれない、との指摘)

「オクラ家ちんちくりん日記」も実は結構長い時間をかけて考えたものでした。
タイトルを考える上でのポイントは4つ。

・主人公である「オクラ」が入っていること
・一家の日常を描いていることが分かること
・ふにゃんとしたワードが入っていること
・語呂がいいこと

「ちんちくりん」はふにゃん要素で、言葉の響きと、「寸足らずの服」の意味が作風に合っている気がして使っていました。
でも確かに「背の低い人をあざける言葉」という意味もあるので、ツッコミどころは少しでも無くしておくほうがいいと思い、変更することに。

そして新しく考えたタイトルが「オクラ一家は日々しゅるり」。あらいいじゃない。
編集部での反応も上々ということで、これでいきましょうということになりました。

が、また後日。
『「しゅるり」が造語のため検索に引っかからず勿体ない』との指摘が上がりました。
PV数を上げるためには、検索に引っかかることも大事な要素とのこと。
なるほど確かに。そこは考えてませんでした。

こだわりがあるなら「しゅるり」のままでもいいと担当編集さんは言ってくれたのですが、やはりやるからにはPV数を少しでも上げなければ。

凝ったタイトルよりも検索の引っかかりやすさを優先することにしました。

そして最終的に行き着いたのが「オクラ一家のシュールな日常」。うん普通。
普通だし、ふにゃん要素は入れられなかったし、語呂もいい訳じゃないけど、まぁ分かりやすくていいんじゃないかと。
連載タイトルはこれでいくことにしました。 

そんなこんなでものすごい時間を費やしたタイトル決め。
最終的には無難なのになった訳ですが、でもこのタイトルをあれこれ考える時間がまぁ楽しかった。

▼「いいタイトルとは」を考えたり調べたりする中で、わたしが好きだなと思ったタイトル(主に小説)

・『砂糖菓子の弾丸は打ちぬけない/桜庭一樹』
・『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド/村上春樹』
・『ブギーポップは笑わない/上遠野浩平』
・『妻が椎茸だった頃/中島京子』
・『華々しき鼻血/エドワード・ゴーリー』
・『東海道中膝栗毛/十返舎一九』

なんじゃそれって思うものと、語呂がいいものが好きみたいです。
(桜庭一樹さんの『砂糖菓子の弾丸は打ちぬけない』は小説自体も好き。)

世の偉人たちはどんなこと考えながらこのタイトルをつけたんだろうか。
タイトルっておもしろい。深い。

話それましたが、「オクラ一家は日々しゅるり」っていうタイトルはけっこう気に入っているので、今後SNSでのタイトルはこっちに改めようと思っています。
やや難あり判定もらったものをそのまま使い続けるのもなんだし…。

長くなったので今回はここまで。
次回は「各話の考察と満足度」「コンテンツ消費時代に読まれる難しさ(じわじわ系は弱い)」「原稿料は妥当だったか(妥当だった)」について書く予定です。

文字で長文書いたの久しぶりすぎてとんでもなく時間かかりました。
最後まで読んでくださった方、いたとしたらありがとうございました。

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