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不安障害は簡単には治らない。何度もぶり返し、繰り返す戦い。
私が「メンタル強し!」を開設した、大きなきっかけは、自分の不安障害を治したいという動機だった。身体に関する不安、病気不安が大きくて、毎日毎日、様々な病気の心配をして、何も手につかない日が多かった。
たくさんの本を読んで(インプット)、書いて、実践して(アウトプット)を繰り返していくことで、不安障害は一時期小さくなった。エゴグラムなどで、自分の心理を視覚化するのはとても良い方法だった。しかし、不安障害は、侮れるような相手でもない。何度も何度も繰り返し、ぶり返し苦しめられることが多い。
絶え間ない病気不安障害
きっかけとなったのは、友人の病死だった。同時期に、仲の良かった知人がすい臓がんで亡くなったことが衝撃だった。そして、自分もすい臓がんかもしれないと思うと、その妄想から抜け出ることができなくなった。
これは、友人ではないのだけれど、友人の友人で、壮絶な闘病の末に亡くなった30代後半のすい臓がん患者がいた。この人のガンの発見から、最後の時期までを、語ってくれる友人と話していて、私は気を失いかけた。一気に冷や汗が噴き出して、音が聞こえなくなり、吐き気に襲われた。話を聞いているだけで、そんな風になるのは初めてだった。
そこからは、毎日毎日、すい臓がんの恐怖におびえた。一時期は、ばかげた話だけれど、終活本を読んだり、葬儀の準備をしたりしていたくらいだ。完全にノイローゼだ。いま、そんなことを考えてもどうしようもないと分かっているのに、考えずにはいられないのだ。
何度も繰り返す・ぶり返す不安障害
すい臓がんの恐怖を肌で感じたおかげで、ずっと苦労しても減らせなかった飲酒量は激減して、ほとんど飲まなくなった。生活スタイルも相当に整った。恐怖の力は大きいと実感した。痩せられたらいいなくらいでは痩せられないのだけれど、この食生活を続けていたら、本当に病気になって死ぬかもしれないと思ったら、暴飲暴食をコントロールできるようになった。おかげで15キロもやせたのだ。
これほどに行動に影響を及ぼしているのだから、不安障害の力は大きいものだ。メリットもあるのだが、日常生活が送りづらくなること。病気のことしか考えられなくなることはデメリットだ。忘れている時もあるのだが、思い出すと、一気に冷や汗が出てきて、強い吐き気に襲われた。最初はすい臓がんの恐怖専門だったが、そのうち、あらゆる病が対象になる。
心臓疾患(胸が痛む)、肺の疾患(呼吸が苦しくなる)、脳卒中・脳梗塞(嫌な頭痛がする)、食道がん(のどの違和感)、もうあげればきりがないのだが、病気の特集をテレビで見てしまった日には、それがすべて自分に乗り移ってしまうのだ。考えないでおこうと思っても無駄だ。
先日、ああ、まだまだだなぁと思う出来事があった。この本、脳卒中から奇跡的に回復した脳科学者の話を読んでいる最中に、再び気を失いそうになってしまったのだ(悲しい)。脳卒中になった瞬間のリアルすぎる描写を読んでいるうちに、意識が遠いた。(落ち着くまで30分くらいかかった)
不安障害は簡単には治らない
不安障害が生活に影響を及ぼす前の十数年はIBS(過敏性腸症候群)で苦しんだ。いずれにしても、私の場合、心の問題は体に表れてくる。自分自身のコントロールをつけていくのは、簡単ではない。まるでハンドルのない車、ブレーキの無い車だ。
ただ、予感はある。きっかけも分かる。だんだん予知はできるようになっている。今回は「うかつ」だっただけだ。ADHDの特性も治らないけれど、それとうまく付き合えているように、不安が大きくなりやすい傾向も、また自分の持つ特性だから、うまく折り合えるはず。まさに絶え間ない戦いだ。
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