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「オカンの話10」-泥水と真水-


白馬の王子に♪連れて逃げてよ~(「矢切の渡し」作詞:石本美由起,作曲:船村徹)と歌いながら嫁いだオカンは、私たちの住む隣町で生活を始めました。

たまにオカンに呼び出されてかのお宅に伺うのですが、白馬の王子は私にかなりヘソを曲げたらしく、敷居さえも跨がせてくれません。

用事だけ済ませたらサッサと帰るのですが、オカンは会う度に愚痴をこぼします。「はー、細かいことにウルサイ。頑固やし、朝から晩まで私のやることに口出しするねん…」

(あんたが好んで出ていったんやないか…)

オヤジは、大酒飲みで貧乏父さんでしたが、鷹揚なところがあり、優しい人でした。もちろん、昭和の亭主関白ではありましたが、オカンに手を挙げたところを見たことはなく、晩年は、自分が弱っていることを自覚していたのでしょう「あーやん、あーやん」とオカンのことを呼び、一緒にパチンコに行ったり、ご飯を食べに行ったり、濡れ落ち葉のように過ごしていました。

それに対し、白馬の王子は長年サラリーマンとして勤め上げたと聞きます。おそらく実直に生きてこられたのでしょう。例えは悪いですが、オヤジが泥水とすれば真水の人です。

泥水の中で長年泳いでいたオカンが、いきなり真水で飼われても居心地が悪いのは当然でしょう。でも、それも自らが選んだ生き方です。

そんな時に、事件が起きます。オカンの娘、つまり、私の妹の自殺です……

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奥村一郎(メンタルパートナー、活動家、主夫)
I have a dream. 私の「夢」は、日本に活動家を養成する学校をつくることです。 私の「モットー」は、Life is Art. Life is Play. -生活をアートできるようになれば既に幸せ-