感情の波: 走りながら涙するのは悪いことでしょうか？
ランナーが笑顔を作ると、比較的酸素消費が減少し、主観的には疲労感が軽減することが報告されています。
しかし、無理に笑う必要はなく、多くのランナーは走っている最中に自然と気分が高まることがあります。
特に長距離を走り続けると、身体的疲労が一定のレベルを超えると、突如として疲れや痛みが消失し、足は自動的に動き、幸福感や高揚感に満ち溢れることもあります。
これはいわゆる「ランナーズハイ」と呼ばれる現象です。
日常的に走ることには心理学的な利点があることが多くの研究で示されています。
とはいえ、逆に走ることで気分が沈んでしまう場合もあるのは事実です。
運動は脳内ホルモンの分泌を刺激し、感情を増幅させる作用があります。
これがポジティブな影響をもたらす場合もあれば、ネガティブな影響をもたらす場合もあります。
特に、ゆっくりとしたペースで長時間走ると、さまざまな思いが頭に浮かびます。
しかし、これらの思い出は必ずしも楽しいものばかりではなく、悔しいことや悲しいことを思い出し、それを頭から追い出すことができなくなることもあります。
このようなネガティブな反芻（Rumination）は、通常、運動によって軽減されるが、そうでない場合もある。
感情表現と運動パフォーマンス
走行中にネガティブな感情に捉われて泣きたくなった場合、ランナーはどう対処すべきでしょうか？
感情を抑えて泣かないように努めるべきでしょうか、それとも感情を自然に表現するべきでしょうか。
この疑問に対する答えを提供する研究があります。
英国ポーツマス大学のクリストファー R.D. ワグスタッフ氏による、スポーツ心理学ジャーナル（Journal of Sport and Exercise Psychology）に発表された研究です。
この研究では、感情を抑えることが運動パフォーマンスにどのような影響を与えるかを調査しました。
研究の結果と心理学的分析
この研究の結果、感情を抑えたグループは、感情を抑えなかったグループやビデオを視聴しなかったグループに比べて、タイムが遅れ、最大出力が低下し、主観的疲労度が増加したことが明らかになりました。
これは、感情を抑制する努力が運動パフォーマンスに悪影響を与える可能性があることを示しています。
ポジティブな心理状態がポジティブな結果につながることは明らかです。しかし、ネガティブな心理状態は避けられないものであり、走っている最中に泣きたくなることも自然な反応でしょう。
運動によって脳内ホルモンが分泌されるのは生理的な現象であり、感情を自然に表現することが推奨されます。
特に長期間にわたる運動では、感情を一時的に抑えることができても、その影響から逃れることは困難である可能性が高いです。
感情の自然な表現は、運動パフォーマンスを保ち、心理的健康を維持する助けとなるでしょう。
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