🧠プレッシャーに負けないゴルフスイング！上位20％のプレーヤーに学ぶ最適な思考法💭

🏌️‍♂️ ゴルファーを対象とした興味深い研究があります（Bell＆Hardy、2009年）。この研究は、私たちにヒントを与えてくれます。腕前の良いゴルファー33人（平均ハンディキャップ5.51）に、フェアウェイからグリーンへ20メートルの短いチップショットを打つように求めました。目標は、ボールを可能な限りホールに近づけることでした。⛳

各ショットは、ボールの最終位置からホールまでの距離に基づいて採点されました。🎯

例えば、ホールインワンを決めれば、スコアは0点になります（通常のゴルフのスコアリングと同様に、ここでは低いスコアほど良い成績を意味します）。ボールがホールの2メートル手前（または2メートル奥）で止まった場合、スコアは2点になります。1回のショットで取り得る最低のスコアは5点です。つまり、ホールを10メートル通り過ぎてボールを打っても、そのショットのスコアは5点になります。

🧠 次に、ゴルファーたちをランダムに3つのグループに分けました。

各グループは全く同じ手順を踏みます。つまり、同じ場所から、同じクラブを使って、同じショットを打ちます。しかし、それぞれのグループには、ショットの異なる側面に注目するように指示されました。

1️⃣ 内的焦点グループ 内的焦点グループには、「スイング中の腕の動き」と「インパクトを通してリストのヒンジを維持すること」に注目するように指示されました。🦿

また、各ショットの前に「リストのヒンジ」というフレーズを声に出すか、心の中で繰り返すように言われ、各ショットの後に「そのスイングでどの程度リストのヒンジを維持しましたか？」と尋ねられました。

ここでのアイデアは、彼らに体に注目させ、ショットの力学のうち非常に特定の側面に焦点を当てさせることでした。🎯

2️⃣ 近位外的焦点グループ もう1つのグループ（近位外的焦点グループ）は、「スイングを通してクラブフェースの位置」、特に「インパクトを通してクラブフェースをスクエアに保つこと」に注目するように指示されました。🏌️‍♂️

各ショットの前に繰り返すように求められたキューフレーズは「スクエアフェース」でした。そして、各ショットの後に「そのスイングでどの程度クラブフェースをスクエアに保ちましたか？」と尋ねられました。

このグループのゴルファーには、体に注目するのではなく、体の外側にありながらも体に近いもの（ゴルフクラブの打球面など）に注意を向けさせようという意図がありました。⛳

3️⃣ 遠位外的焦点グループ 最後のグループ（遠位外的焦点グループ）は、「クラブフェースを離れた後のボールの軌道」、特に「ボールを打ち出すつもりの方向」に注目するように指示されました。🎯

彼らのキューフレーズは「ストレートフライト」で、各試行の後に「そのショットでボールを望ましい方向に打ち出せましたか？」と尋ねられました。

このグループは、体からかなり離れたところに注意を向けるよう促されました。そして、ショットの力学ではなく、すべての動作の望ましい最終結果（ボールの軌道と方向）に注意を向けるよう指示されました。🏌️‍♂️

グループ間で違いはあったのでしょうか？🤔

🔍 実はゴルファーたちは、2つの異なる方法でテストされました。

まず、リラックスした練習のような条件で30回のショットを行いました。⛳

しかし、次の20回のショットでは、研究者たちがプレッシャーを加えました。これらのショットはビデオ撮影され、参加者にはPGAのプロがチッピングのパフォーマンスを評価すると伝えられました。さらに、スコアはリーグ表で公開されることになっていました。そして、最初の低圧力下でのショットから、最後の高圧力下でのショットにかけて平均スコアが最も向上した上位5人のゴルファーには、£80から£10の賞金が用意されていました。💰

どのレベルの焦点が最高のスコアをもたらしたのでしょうか？🤔

通常の練習のような条件では、ボールの軌道に注目する遠位外的焦点を採用したゴルファーのパフォーマンスが最も良く（平均スコア＝1.5）、他の2つのグループよりも常に有意にボールをホールに近づけることができました。⛳🎯

一方、体の外側にありながらも体に近いもの（クラブフェースの位置など）に注目した近位外的群は、遠位外的群ほどの成績は出せなかったものの、腕の動きに注目した内的焦点群よりも有意に良い成績を収めました（2.10対2.99）。💪

ではプレッシャー下ではどうだったのでしょうか？🤔

やはり遠位外的焦点は、プレッシャー下でもより効果的だったようです。再び、遠位外的群の参加者は、近位外的群（2.13）や内的焦点群（3.24）よりも有意に正確にボールを打つことができました（平均スコア＝1.27）。🎯

この研究は、注意の焦点がパフォーマンスに与える影響について、スポーツ心理学の観点から興味深い洞察を提供しています。

1. 注意の焦点と運動パフォーマンスの関係
   この研究は、注意の焦点（内的焦点、近位外的焦点、遠位外的焦点）がゴルフのチッピングパフォーマンスに与える影響を調べています。結果は、遠位外的焦点（ボールの軌道と方向）が最も良いパフォーマンスにつながることを示唆しています。これは、注意の焦点がスキルの実行に影響を与えるという理論を裏付けるものです。

2. 自動化されたスキルの実行
   熟練したゴルファーは、スイングの力学を意識せずに、自動化されたスキルを実行することができます。内的焦点（腕の動きやリストのヒンジ）は、この自動化されたプロセスを妨げる可能性があります。一方、外的焦点（特に遠位外的焦点）は、自動化されたスキルの実行を促進し、パフォーマンスを向上させると考えられます。

3. プレッシャー下でのパフォーマンス
   この研究では、プレッシャーを加えた条件下でもゴルファーのパフォーマンスを評価しました。プレッシャー下では、パフォーマンスが低下することがよく知られています。しかし、遠位外的焦点を採用したゴルファーは、プレッシャー下でも他のグループよりも良いパフォーマンスを維持することができました。これは、遠位外的焦点がプレッシャーに対する耐性を高め、パフォーマンスの低下を防ぐ可能性があることを示唆しています。

4. 注意の容量と処理リソース
   内的焦点は、スイングの力学などの詳細に注意を向けることを要求するため、より多くの処理リソースを消費する可能性があります。これは、パフォーマンスの低下につながる可能性があります。一方、遠位外的焦点は、処理リソースを最小限に抑えながら、重要な情報（ボールの軌道と方向）に注意を向けることができます。

5. 応用可能性
   この研究の結果は、ゴルフ以外のスポーツや運動スキルにも応用できる可能性があります。コーチや選手は、パフォーマンスを向上させるために、適切な注意の焦点（特に遠位外的焦点）を採用することを検討すべきです。また、この研究は、プレッシャー下でのパフォーマンスを管理するための戦略としても役立つ可能性があります。

笠原彰プロフィール：

作新学院大学メンタルトレーニング教授
とちぎスポーツ医科学センター協力心理相談員　https://tis.or.jp/contact/
プロメンタルコーチ
自己肯定感養成プロコーチ
ライフバランスアーティスト
健康運動指導士
メンタルヘルスファーストエイダー
メンタルヘルス運動指導員

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