
メンタルタフネスでいるために強みを使う
私はメンタルヘルス会社で働いています。主にカウンセリングや研修講師をしていますが、数年にわたって「メンタルのタフさ」と「強み」の関係について考え続けています。これがまた、なかなかの難題でして。
メンタルを強くしたいという人は多いですが、「そもそも強いとは何か?」という話になると、人によって解釈がバラバラ。鋼のメンタルと言われたい人もいれば、繊細な自分を受け入れたい人もいる。どちらもアリですし、結局のところ「どのメンタルが正解か?」なんて決められません。
そこで今回は、私が現時点で考えている「メンタルタフネスとは何か?」について書きました。何かのヒントになれば嬉しいですが、「これが正解!」と断言するつもりはありません(というか、私自身もまだ試行錯誤の最中です)。
1.メンタルタフネスに強みが必要な理由
気づけば人生という大海原を漂流している皆さん、ご機嫌いかがでしょうか?メンタルタフネスは5つの要素から成り立っていますが、今回はその中でも「強み」にフォーカスします。他の4つ?それはまた別の記事で。そんなに急いでメンタルを鍛えてしまうと、タフすぎて人間味を失うかもしれませんからね。
さて、メンタルタフネスとは何か。
「メンタルタフネス」とは「自分の人生の舵取りができる状態」です。
自分の人生を、他の誰でもない自分自身がコントロールしている状態です。
他人の何気ない一言にグラグラ揺れたり、世間の流れに流されて気づけばどこかの島に漂着していた……なんてことがない状態ですね。
とはいえ、舵を握っても「どこに向かうの?」という話になります。何を大事にするのか、何を選ぶと楽しくなるのか、その基準がないとただの操縦ミス量産マシーンになりかねません。そこで必要なのが、「あなたの強み」です。
風の吹くまま気の向くまま流されて、人生の充実感を得られるのは、一部の超人的な悟り世代か、遺産持ちの自由人くらい。大半の人類は、何かしらの強みを持ち、それを活かすことで「生きてて良かった」と思う瞬間を得ています。
つまり、メンタルタフネスの第一歩は、自分の「好き嫌い」や「向き不向き」を把握すること。価値観もスキルも、どちらも知っておくことが肝心です。強みを活かしているとき、人は「自分らしさ」を感じ、充実感を得られます。逆に、強みを無視して生きると、「そこそこ無難だけど、別に楽しくもない」人生が完成します。そんな地味なエンディングで本当にいいのでしょうか?
2.強みと弱みの関係
人間はどうしても「弱み」にフォーカスしがちです。なぜなら、失敗や間違いは痛くてつらくてダメージがあるから。もう二度と恥はかきたくない! という思いから、弱み克服に躍起になるわけですね。
もちろん、仕事や生活でどうしても必要なことは克服すべきでしょう。たとえば私の弱みは「慎重さと謙虚さが足りないこと」です(不必要な場面でも発言して失敗したことなんて数え切れません)。
そこで、「STOP」と書いたメモを目に入る場所に貼ったり、発言する前に3秒間考えるルールを作ったりしました。が、それを徹底すればするほど、自分らしさがどこかへ行ってしまったのです。
弱みを抑えることで確かに失敗は減りました。でも、楽しくもないし、周りも前ほど喜んでくれない。むしろ、なんとなく空気が重くなっているような……。「私が望んでいたのって、こんな息苦しい成功だったっけ?」と疑問に思うようになりました。
もちろん、慎重さや謙虚さが必要な場面もあります。だからこそ、「決断する前に調べる」「相手の立場で考える」など、対処法を調整しながら使うようにしました。
その結果、「弱みを完全に消す」のではなく、「弱みのマネジメントをする」ことで、自分らしさを取り戻し、パフォーマンスも向上したのです。
「弱みなんて無視しろ!」とは言いません。でも、有限な時間の中で何に投資すべきかを考えると、やはり強みにフォーカスするほうが賢明ではないでしょうか?
3.あなたの強みが「弱み」になってしまうとき
ここで、もう一つ厄介な問題があります。それは、「強みが暴走すると、弱みになる」という現象です。
たとえば、
育成力のある人 → いつの間にか「圧がすごい人」になってしまう
探究心のある人 → 物事を追求しすぎて、仕事が一生終わらない
誠実な人 → 責任感が強すぎて、勝手に苦しむ
もう理不尽ですよね。「せっかくの強みなのに、やりすぎると迷惑扱いって、どんなバグ?」と言いたくなります。だからこそ、「自分の強みが暴走していないか」をチェックすることが大事です。実際に、良い組織では「上司の強みが弱みになっていますよ!」と部下が指摘できる文化があるそうです。
強みと弱みは表裏一体。強みを活かしたいなら、まずは自分の行動を振り返り、「強みが暴走してないか」を確認することが重要です。
まとめ
メンタルタフネスとは、「自分の人生の舵取りができる状態」です。そのためには、
自分の強みを知ること
弱みに振り回されないこと
強みが暴走しないようにマネジメントすること
が必要です。
人生の航海は、決して穏やかなものではありません。だからこそ、自分の強みを知り、うまく活用することで、荒波を乗りこなすスキルが求められます。また、どんな航海でも、頼れる仲間がいれば心強いですよね。職場や家庭でも、お互いの強みを認識し、補い合うことが、より良い関係を築く秘訣です。
というわけで、ここまで読んでくださった皆さん、ありがとうございます!あなたの強み・弱みを見つめ直し、メンタルタフネスな人生を築く第一歩を踏み出してみてください。……で、もし「自分の強みがよくわからない」という方は、日本人のために開発されたM式強み診断やメンタルタフネス協会(私はスタッフとして潜入中)の『強み習得講座』や『強みカフェ』へどうぞ。
他人の波に流されるか、自分の強みを活かして人生の舵を握るか。さて、どちらを選びますか?