緊張をコントロールする「リラクセーション技法」
緊張感や不安感について、否定的に考える必要がないということが前回までの記事で分かったかと思います。どれだけ大舞台を経験したとしても緊張や不安は起きるものなので、それをどう対処すればいいかということに焦点を当てればいいのです。
緊張をコントロールして自分の力を最大限に発揮させる〝ピークパフォーマンス〟に持っていくために必要となってくるのが、メンタルトレーニングです。最適な緊張度にするためのメンタルトレーニングはどのようなものが行われているのか、次に紹介していきます。簡単な紹介にはなりますが、自分で行ってみようと興味を持った人はさらに自身で詳しく調べてみて、トレーニングを行うつもりで取り組んでみたらいいと思います。
メンタルトレーニングはやる気にならないと継続することが難しいので、緊張で悩んでいるのであれば自分に合いそうなものを選び、覚悟を決めて行ってみましょう。
○リラクセーション技法
前々回記事の図1の右側に位置するような緊張感が高すぎる場合には、自身をリラックスさせる必要があります。そのためのリラクセーション技法を挙げます。主に挙げられるのが、
・呼吸法
・筋弛緩法(きんしかんほう)
・自律訓練法
の3つです。
呼吸法については、実践している人も多いでしょう。緊張したときに、自然と深呼吸して落ち着かせようとしているのではないでしょうか。
ただ、同じ深呼吸でも〝腹式呼吸〟を行うようにしましょう。腹式呼吸は息を吸うときにお腹が膨らみ、息を吐くときにお腹がへこむ呼吸です。
実は、緊張しているときには胸で呼吸をする「胸式呼吸」になっていると言われ、かつ呼吸も速くなっています。これを意識的に腹式呼吸に変え、ゆっくりと呼吸をコントロールすることにより、緊張が緩和されるのです。
筋弛緩法は、手や足など体の一部分に集中し、力を入れて筋肉を緊張させた後に力を抜いて筋肉を緩める、という手順を繰り返す方法です。緊張している中で自分の体の方に意識を集中させることで、筋肉の緊張と弛緩を感じ取って自身の体の状態を改めて認識し、心身のリラクセーションへと導いていきます。
自律訓練法は、自己暗示を行うと考えてもよいでしょう。自身で「気持ちが落ち着いている」といったように暗示をかけ、自分に催眠術をかけるように頭の中で繰り返すことでリラックスさせていきます。元々は医学の領域で使用されていたものですが、現在はスポーツの領域でも適用されるようになりました。
そのほかにも後日詳しく説明する「マインドフルネス(瞑想)」や、自身の心拍数や血圧などの測定数値を用いて客観的にリラックスしている程度を認識させる「バイオフィードバック法」といったものがあります。自分が興味を持ったリラクセーション技法がありましたら詳しい手順を身につけ、試合の前日や試合前に実践してみてください。
また、試合前に眠れなかったという人もいると思います。「寝よう、寝よう」と思えば思うほどそちらに意識が向いてしまい、逆に覚醒してしまうことになります。そういった人も、寝る前にリラクセーションを行ってみるといいでしょう。先に挙げた、あがりやすい性格にある特性不安の高い人にそういったケースがあります。思考や感情を、寝ることや不安に向けて追い出そうとするのではなく、呼吸や筋肉に意識をそらしましょう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?