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業績を上げるポイントは?ESから顧客満足度を高める方法

企業にとって少子高齢化は大きな課題。というのも労働人口が年々減っていく一方だからです。
優秀な人材は喉から手が出るほど欲しいものであり、可能なら社内に定着して欲しいと思うものです。優秀な働き手を確保し企業内に定着させるには、どうしたらいいだろうと悩む方も多いのではないでしょうか。

本記事では企業の業績と顧客満足度、従業員満足度の関連性について詳しく解説していきます。

従業員満足度が企業業績を左右する理由

企業の業績を上げるには従業員満足度が大きくかかわっています。というのも満足度の高い従業員は生産性が高いとされているからです。

世界の上場企業 270 社の年次報告書を調査・分析した KPMG International(2016)は,開示すべき非財務情報の一つに顧客情報を挙げ,中でも顧客満足度は業績見通しを伝える重要指標であるとの見解を示した。

重松佳『顧客満足度と企業業績の関係性を検証した研究のレビュー』より

1.従業員のやる気向上が生産性向上に

毎朝「会社に行くのが億劫だ」と思う社会人は想像するより多く深刻な社会現象となっています。

労働政策研究・研修機構は「従業員の意識と人材マネジメントの課題に関する調査」を実施しました。そこでは、意欲が低くなった従業員では理由(複数回答)として 「賃金が低いから」(46.8%)、「仕事の達成感が感じられないから」(43.4%)、「評価の納得性が確保されていないから」(35.6%)などを挙げる者が多いことがわかりました。

労働政策研究・研修機構(2007)『従業員の意識と人材マネジメントの課題に関する調査』より弊社作成

やりたいことがあり選んだ企業なのに、やる気がなくなるような理由があるのでは生産性はあがりません。職場環境にばかり目がいきがちですが、従業員のメンタルヘルスを整えることがやる気を養い、生産性へと結びつきます。

2.職場環境や人間関係は離職率に影響する

仕事をするには社内の雰囲気も大切です。
居心地の悪さや人間関係は離職率が大幅に上がるきっかけになります。たとえば上司と部下のコミュニケーションが円滑でなければ、居心地の良い職場とはいえません。
またせっかく育てた人材がすぐに辞めてしまっては、時間と労力コストに見合いません。優秀な人材を長く定着させるには、職場環境はもちろん人間関係を整える必要があります。

厚生労働省による最新の雇用動向調査結果の概況では以下のような現状がわかっています。

厚生労働省(2022)『令和3年雇用動向調査結果の概況

令和3年1年間の転職入職者が前職を辞めた理由をみると、男性は「その他の個人的理由」19.1%、 「その他の理由(出向等を含む)」15.0%を除くと「定年・契約期間の満了」16.5%が最も多く、次いで「職場の人間関係が好ましくなかった」8.1%となっています。女性は「その他の個人的理由」24.6% を除くと「定年・契約期間の満了」12.3%が最も多く、次いで「労働時間、休日等の労働条件が悪かっ た」10.1%となっています。

3.より良いパフォーマンスで顧客満足度UP

従業員がやる気を持ち高いモチベーションを維持すれば、離職率が大幅に下がり生産性が上がります。
というのも商品に対し「もう少し工夫はできないか」や「顧客に満足してもらえる工夫をしよう」といった意識が働くからです。
より良い商品が多く生産できれば結果的に顧客満足度が向上し、企業の業績も上がります。

ROQ(リターン・オン・クオリティ)は,品質向上への取組み・顧客満足度・企業業績の関係性についてRust et al.(1995)が提唱した理論で,品質向上の取組みには過剰な費用を要する可能性(トレードオフ)があり,売上高でなくコストの視点を組込んだ収益性で評価すべきとした。
そして,品質向上への取組みは品質向上を通して顧客満足度を向上させ,顧客満足度は顧客維持と口コミによる新規顧客の獲得を通して売上高を向上させる。また品質向上はコストを削減させ,売上高向上とコスト削減の両経路から,収益性を高めると示した。

重松佳『顧客満足度と企業業績の関係性を検証した研究のレビュー』より


従業員満足度を上げる3つの要因とは?

優秀な人材を長く雇用し続けるには、従業員の満足度を上げることです。
ここからは従業員満足度を上げる3つの要因について解説します。

1.社内コミュニケーション

夢と希望を持って入社したのに「怒られてばかり」「理不尽な仕事を依頼される」のでは、従業員満足度は上がりません。毎日顔を合わせる上司や先輩が「嫌な人」であれば、退職を考えるきっかけになってしまいます。中でも人間関係の悩みは最も深刻なもの。従業員満足度を上げるには人事が大きくかかわっています。

少子高齢化の影響により、働ける優秀な人材はどの企業でも取り合いになっている現状です。特にストレス社会といわれている現在、社内コミュニケーションが円滑になるよう、企業が努力しなければなりません。

2.仕事に対するやりがい

企業が掲げるビジョンに賛同や共感をしているのなら、「期待に応えよう」と誇りを持つ従業員が多くなります。自ずと仕事に対するやりがいにもつながり、自ら企業にとって有利になる行動をとるのです。
とはいえ、従業員に対し強制的に賛同させたり共感させたりするものではありません。社内にどれだけ企業のビジョンに共感している社員が存在するのかについて、確認しておくのもひとつの方法です。

作業効率などの短期的な成果は満足に原因するであろうが,企業の業績は従業員(従業員だけではないが)の長期間にわたる活動の結果であり,その間持続して従業員が強く動機づけられていることが必要である。

木村亨(2011)『従業員の職務満足と企業業績』労働科学

3.快適だと思える職場環境

企業内の職場環境が適切なのかを知るには、従業員の声を聞くことです。定期的なアンケートをとるのも良いでしょう。アンケートをとる際は設備だけではなく、従業員が健康に過ごせているかも重要なポイントです。身体的なことだけではなく、精神的なことも心身の健康につながります。心身が健康でなければ快適に働けないからです。

サステナビリティ経営の推進を模索している企業にとっても, 顧客と株主の両者を満足させる自社の取組みを検討する際の参考となるはずである。

重松佳『顧客満足度と企業業績の関係性を検証した研究のレビュー』より


従業員満足度を向上させるにはメンタルヘルス対策が重要

従業員満足度=社内設備の向上ととらえる企業は、残念ながら多い現状です。社内設備だけ整えても従業員の精神的なストレスを減らさなければ意味がありません。
従業員が抱えている不安やストレスはどのようなものなのか、調査を実施することが大切です。従業員のメンタルヘルスケア対策をすることで、従業員が日々抱えているストレスを取り除くことも可能です。メンタルの不調を未然に防ぐことにもつながるでしょう。

従業員が心身ともに健やかに働ける環境が整えば、以下の大きなメリットがあります。

職場環境改善

ES・モチベーションUP

企業への帰属意識UP

生産性UP

顧客満足度UP

企業の業績UP

ストレスを軽減し、メンタルヘルスを整えることで従業員満足度は上がります。そして従業員満足度が上がれば顧客満足度が上がり、企業の業績も上向き、企業の健康経営にも結びつきます。

特定非営利活動法人産業メンタルヘルス研究所の木村氏も、著書において以下のように述べています。

経営者・管理者や労働組合幹部と筆者 との会話において,ほとんど全ての企業や事業所においてメンタルヘルス不全の従業員が存在することが指摘され,多くの企業がその対策に苦慮している現実がある。(中略)職務満足を高める方策は業績とメンタルヘルスを両立させる有力な手段となり得るであろう。

木村亨(2011)『従業員の職務満足と企業業績』労働科学


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