『赤いモレスキンの女』 アントワーヌ・ローラン (新潮クレスト・ブックス)
この本は完全にジャケ買いでした・・・。
「赤いモレスキン」という惹かれるタイトル、素敵な装丁、雰囲気ぴったりすぎなイラスト、本を持った時の硬すぎず柔らかすぎない感じ、全てマッチしてる感じ。
しかも、「大人のためのおとぎ話」なんて、2021年3月初めの関東緊急事態宣言下で、Amazon PrimeもNetflixも一通り見ちゃった後、飛びつくしかない本でした。
ストーリーはジャケ買いを全く裏切らないもので、スーパー・ロマンチック。
映画みたい。字を追って読んでいるのに、頭の中でフランス映画の映像が流れているような時間を過ごせました。
パリには一度だけ行ったことがあるけれど、あの何とも言えない素敵な雰囲気が文章のあちらこちらに散りばめられていて、まるでパリを旅しているよう。
あの街の描写、人との会話、おしゃれでアンニュイな雰囲気、愛やノスタルジーについての考察・・・。
でもちゃんと現代の話だから、昔のフランス映画のように異世界に感じすぎるようなことはなく、ファンタジーすぎない感覚も好きでした。
主人公のローランが本屋の店主というのも、本屋好きとしては相当ワクワクしました。
しかも、色々あって、今本屋さんの店主をしているという設定。
ローランがそれぞれのシーンで考えることが、妄想や回想が混じっていたり、現実のことで頭を悩ましたり、理性と本能の狭間で迷ったり、それが行き来するところがリアル。
大人だからこそ、ローランの行動やこのストーリー自体に憧れちゃうのかも。
「赤いモレスキンの女」がモレスキンの手帳に綴った言葉たちは、感じたものそのままが現されていて、すごく透明感があって、拾ったローランの妄想を掻き立てるんです(笑)。
でも素直に感じたものをはっきり表現できるのって何だか素敵。それも大ぴらにするのでなくて、プライベートな手帳に書き綴っているのも奥ゆかしくて、かつ過ぎゆく時間を大切にしている感じがして良いなと思いました。
特に、本の中でそうであったように、生きるのに必死な時にこそ、私もやってみようかな。
人生色々ある大人だからこそ、ロマンチックなストーリーに没頭するのもいいもんだな、と思える本でした。
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