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研究にも活用できる検査AI MENOU。可視化情報学会にて奨励賞を受賞!

どうも!MENOU広報のkojimaです。

今回は、検査AI MENOUが研究で活用された事例について、ご紹介したいと思います💡


どんな研究で検査AI MENOUが活用されたのか

どのような研究かというと、大分工業高等専門学校の機械工学科 稲垣歩准教授による、『渦』の研究です。
一般社団法人可視化情報学会にて、稲垣先生の「AI 外観検査技術を利用した金網後流の縦渦発生位置の時系列変化」をはじめとする『渦,はく離, 後流の可視化と AI 融合の研究』が奨励賞を受賞されました!

稲垣先生は以前より渦の研究をされており、さらにMENOU代表の西本の恩師でもあるのです!

高専でカリキュラムとしても導入される検査AI MENOU

大分工業高等専門学校ではノーコードの検査AI MENOUを使って、在校生に授業も行っています。

この取り組みは、AI人材の育成はもちろんですが、スタートアップ人材を増やすため文科省が主導する「高等専門学校スタートアップ教育環境整備事業」も兼ねており、課題に対しての対応力の習得や発想力を強化する課題解決型学習や、ビジネスモデルの開発などを目的としています。

検査AI MENOUは、AIの専門的な知識不要で誰でも操作ができ、簡単にAIモデルを開発することができるため、90分6コマの合計9時間という短い時間でAIの使い方をマスターし、さまざまなAIモデルの開発~発表までがカリキュラムとして導入されています。

現在、国もデジタル人材の育成に向け高等専門学校や大学へ数十億円規模の取組みを始めています。
大学の理系拡充進む、50大学が学部新設 定員1.9万人増 - 日本経済新聞

また企業からの高専生への即戦力としての期待は高く、企業が求める人数に供給が追いついていない、という調査報告もあります。
高専人材引っ張りだこ 内定人数、首位はJR西日本 採用状況調査から - 日本経済新聞

今後、AIの活用経験のある人材の需要は高まる中で、教員の確保が課題となっていますが、検査AI MENOUはプログラミングなど専門的な知識は不要のため、教員への負担や専門性も必要なく授業に導入することができます。

大分工業高等専門学校の学生さんが、実際に検査AI MENOUを使って、どのようなAIモデルを開発したかというと…
・ペンのインクの色の識別
・動物の識別
・爪の長さ検出
など

この中から、「ペンのインクの色の識別」についてご紹介します!

【目的】
ボールペンのインクの色の識別をしてみる

【内容】
ボールペンは本体の色がインクの色と一致していないことがあるため,インクの色を識別できるようなシステムを構築してみた.
まず,ラベルには色・太さが記されているため,ラベルを文字検出で検知してみた.

このように太さはある程度検出できたが,色の検出はできなかった.
そのため,色の検出はボールペンのノック部分の色を検出するシステムにしてみた.

このように色も検出できるようになった.
【まとめ】
・色と太さを認識することができた
・文字では色は認識できなかった
→手書きではなかったので、Windows組み込みモデルを使用したが,学習させると改善されそう.

すごいですね!文字検出や色の識別を使いこなしています。
またうまく検出しなかった際には、何をどう学ばせれば良いか試行錯誤しながら、インクの色の識別を追加学習させています。

その他の学生さんの発表内容についても、以下より閲覧可能です!
アイディアに満ちた発表が沢山ありますので、ぜひチェックしてください!👇

実は私たちの生活と身近な『渦』

さて、稲垣先生の研究内容について、もう少し説明したいと思います。

『渦』は、空気や水などの気体や液体が回転しながら流れる現象のことです。
自転車を漕いでいる時に服がパタパタと不規則に揺れることや、扇風機に向かって「あーーー」と声を出すと宇宙人のように声が揺れるのも、空気中の渦が関係しているそうです。へー!

きっと誰しもが幼いころにやったであろう宇宙人の真似

(また、流れには「層流」と「乱流」があり、それぞれ必要とされる場所が異なります。
渦を使って流れを層流にしたり乱流にしたりすることは、揺れや振動を減らしたり、室内の温度を一定にするためにファンなどで空気を乱して混合したりと活用しているのだそう。)

流れを乱したい時(乱流)と、流れをキレイに整えたい時(整流)があり、暖房や冷房など室内の温度を一定にするためには流れを乱した方が効率よく、飛行機や自動車では流れを整えることで空気抵抗が減ることがあります。

そして、流れを乱すことにも、整えることにも渦が利用されているのですが、渦が流れをどのように変えているのかその過程はまだ解明されておらず、今回稲垣先生が着目されたのが、渦の流れが変化する途中経過

解明されていないものを、気になるから研究しているのだそうです✨

(因みに、この途中経過の渦を解明しコントロールできるようになったら、一体どんなことができるようになるのか?
例えば、渦の流れをキレイに整えることで車や新幹線などの騒音や振動を減らし、もっとスピードを出すことができたり、抵抗は最小限に抑えながら渦をもっと乱すことで燃料を効率よく燃やし省エネが実現できる、などのことが考えられます。)

研究者の飽くなき探求心とは凄いですね!

どんな風にAIを活用したのか

その渦の流れが変化する過程の研究に、どう検査AI MENOUを活用したのか。
まず、以下のような類似する格子状のものを通すことで、乱流と整流という全く違う作用の流れが生まれます。この金網や格子はすでに実用化されていますが、渦の構造との関係は分かっていません。

この金網や格子から発生した渦を観察したところ、人間が見るとランダムに発生しているように見えるのですが、AIに学ばせることで、人間ではランダムに見えてしまう現象の中の発生傾向を長時間観察し、隠れた周期性を捉えることができるのではないか、ということ。

ちょっと難しいですね(笑)

では、この渦をどんな風にAIに学ばせたのかというと…

以下のように発生した渦をAIに検出させました。
この際、通常であれば閾値などを設定して“5センチ以上のものを渦とする”というような設定もできるのですが、では“4.9センチの渦は渦じゃないのか?”という疑問も生まれるため、特徴を捉えるのが得意なAIに判断を託し渦の特徴を持つものを検出させたそうです。
AIの特徴を上手く活用していただいて、渦の特徴を検出したのが以下の画像。

さまざまな大きさの渦を検出していますね。
この検出した中から、稲垣先生が「渦である」「渦ではない」をアノテーションし、2~3回追加学習をさせて渦をAIに教え込み、人と同レベルの検出に成功。

今回の研究では、まだ周期性を解明できた訳ではありませんが、マニアックなコードを書いて研究をしなくても、ノーコードソフトも研究に活用することができるということが証明されました

まとめ

稲垣先生は、可視化技術とAIの相性の良さを実感したことと併せ、AIの活用には人間の工夫が必要であると、解析ステップを3つにまとめられました。

  1. どの画像を教師画像とするか

  2. 何を渦として学習させるか

  3. 得られた結果をどう処理するか

AIは十分に研究に活用できるが、ものづくりの外観検査と同じく、どんな画像を使うか、検出したいものがしっかりと映っているのか、それをどう人間がAIに教えて、結果をどう処置するのか。その点を上手く工夫することで、AIは研究にも活用できるだろうということでした。

稲垣先生は、検査AI MENOUを使って渦の研究を続けていかれるということです!
渦の過程の解明に期待しましょう!

今回はものづくりの外観検査ではなく、研究にも検査AI MENOUが活用されたという事例をご紹介しました。

それでは、また!

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