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おしゃれ真似するひと
同僚の恋子ちゃん。
きっと育ちがいい。
言葉遣いもキレイだし、お上品だし、何よりオシャレだ。
ファッションセンス、凄く(・∀・)イイ!!
カワイイ系の服が好きみたいで、だけど甘くなりすぎず、スッキリ着こなす辺り、自分自身のことを良く知ってるんだなと、私はこっそりと彼女をリスペクトしている。
背も高いし、ハレがする女性だ。
私より2つ下のギリ40代。
私はカワイイ系のファッションはしないので、
へぇ、フリルのブラウスは、そんな感じのデニムと
合わせたらいいいのかぁ。φ(・ж・*)フムフム...
と、こっそり感心している(笑)
まぁ、私自身、フリルのブラウスは買わないんだけども。
*
ある日、恋子ちゃんがヘアスタイルを変えてきた。
ふんわりとしたパーマがあたっていて、素敵。
肩より長かった髪を顎のラインで揃えて、スッキリしてる。
いいね、似合ってる、みんな口々に褒めてて、恋子ちゃんも嬉しそう。
それから何日か経過したある日のこと。
岡山さんが出勤してきた時に、ん?と思った。
岡山さんとは、恋子ちゃんの斜め前の席に座っている同僚である。
岡山さんはわかりやすい。
プライドが高いからこそわかりやすい。
(略)
典型的な自称鯖女だ。姉御肌ぶる。
でも本当の岡山さんはナイーブで傷つきやすい60前の乙女なのは知っている。
岡山さんもヘアスタイルを変えていたのだが、ふわふわパーマで、長さも肩に当たらない程度で切りそろえている。なんだか既視感。
恋子ちゃんに似てるヘアスタイル……だな。
とは思いつつも、黙っていた。
*
また別のある日。
朝、出勤時恋子ちゃんと一緒になり、彼女が着ている秋物のブルゾンが初めて見るものだったので、
「それいいね、素敵な色ね。」
と、声をかけた。
トレンドに敏感な彼女のブルゾンパーカーは、その年の冬の流行りの丈の短めのもので、色はマスタード、ハリ感のある素材でとてもオシャレだ。
スカートでもパンツでも合わせやすそうだ。
その日の恋子ちゃんは、ボーイフレンドデニムに合わせて、とっても似合っていた。
次の話で、勘のいい方は察するよ(笑)
いや、もうみんな察してる?
恋子ちゃんのブルゾンを見た日から何日か経過したある日。
更衣室で着替えていると、
「オハヨー」
と言いながら、岡山さんが来た。
おはよう、挨拶をしながら振り返って岡山さんのスタイルを見て、また既視感……。
マスタード色の丈短めのブルゾン。
ハリ感のある生地。
パーカーではないが、恋子ちゃんの新しいブルゾンに酷似!
うっ!!(咄嗟に言葉が出ない)
岡山さん、恋子ちゃんのブルゾンと被ってるよ。
いや、敢えて真似してる?
色も形も素材感もよく似てる。
でも言えないわ(笑)
*
また別の日。
夏の暑い日が続いていた。
「暑いから思い切って切っちゃった!!」
と、照れ笑いしながら恋子ちゃんが襟足短めのショートボブにしてきた。
うわー!思い切ったね!似合ってるよ!
恋子ちゃんは、こんな感じで割とよくイメージチェンジし、それがうまくいってる。
さすがオシャレさんだなと毎回感心する。
恋子ちゃんがショートボブにしてから、しばらく経ったある日。
岡山さんが髪を切っていた。(;'∀')
襟足短めのショートボブ!(笑)おんなじ。
襟足短めに切るってなかなか勇気いるんじゃね?
決心したねw
*
3つのエピソードを書いたが、ほんの一部。
岡山さんが恋子ちゃんを真似してるのは、いっぱいあるんだけど書ききれない。
ここまで毎回似せてくると露骨な意思を感じる。
岡山さんも、恋子ちゃんをリスペクトしているんだろうね。
だからいいなぁと思ったら真似しちゃうんだろうね。
でも、恋子ちゃんの後で同じように真似してきたら、滑稽にしか映らんのよね。
岡山さんは岡山さんらしいスタイルがあるのに、恋子ちゃんの真似してもちぐはぐな印象しか受けないのよ。
口が裂けても、言えないけど。
岡山さんはプライドが高いので、恋子ちゃんっぽいねなんて言おうもんなら口を尖らせて、私の方が先だったのよと主張するだろう。(違うんだけど)
小さい子供が憧れのお姉さんと同じ髪型にしたい、同じお洋服が着たい、とかいうやつみたいでおかしい。
こんなあからさまに、同じような物着たり同じヘアスタイルにしたりできるってすごい。
岡山さんの執念をみた。(笑)
まぁ、みんななんだかんだ言うても、オシャレが好きなんだよね。
オシャレしたいんだよね。
おんなのこですもの。