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時代 / 中島みゆき

人生において、この人と出会わなければ今の私はいないと言えるよう人と、出会ったことはあるか?

私にはある。
出会うべくして出会ったように、導かれるように恋をした。


果たしてこの恋が叶うことはなかったけれど、恋をしているあいだも、失恋したそのあとも、命を燃やすように生きてきた。

失恋して流した涙は血となり肉となる。そうやって悲しみを乗り越えて、今の私がある。


異性は星の数ほどいるよ。
時間が解決してくれるよ。
いつかこの悲しみすら愛おしくなるよ。

なんて陳腐な文句があるけれど、痛みがそこにあるうちは、慰めにもならない。無情な文句に、いっそう傷つくこともある。

友達と楽しい時間を過ごしても、美味しいものを食べても、その瞬間は忘れられても、結局失恋の痛みから逃れることはできないのだ。

やまない雨はないというけれど、今降っている雨をどうにかしたいんだ。
という、失恋した人のブログの一文に何度頷いたことか。

そんなときによく聞いたのが、中島みゆきの「時代」。彼女の代表曲のひとつであり、世間の名曲でもある。

今はこんなに悲しくて 涙も枯れ果てて
もう二度と笑顔には なれそうにもないけど
そんな時代もあったねと いつか笑える日が来るわ
あんな時代もあったねと きっと笑って話せるわ

中島みゆき「時代」

だから今日はくよくよしないで
今日の風に吹かれましょう

中島みゆき「時代」

この歌詞にどれほど救われたか。

早く忘れなくちゃ。元気に過ごさなきゃ。前を向かなきゃ。と失恋の痛みに抗うには、悲しみが大きすぎる。

「時代」は、頑張らなくてもいい、悲しくても、苦しくても、ただ今日を生きる。それだけで十分なんだよ。と、痛みを抱える私をまるごと優しく包み込んでくれる。その優しさが、背中を押してくれるのだ。

この世には無数の曲がある。たとえば失恋ソングでも、同じような内容の曲なんて無数に存在しているし、絶えず生まれている。それでもひとつひとつの曲が色褪せないのは、主人の感情に脚色されているからなんだと思う。

私にとって、苦しいときに励ましてくれる曲はいつまでも「時代」。生涯、大切な曲。

#思い出の曲

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