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自分が望む道を作るのは、最終的には自分。【ミュージカル「ビー・モア・チル」】


ミュージカル「ビー・モア・チル」を観劇しました。


楽しかった!!!ストーリーと楽曲も相まって、観てて楽しかった!!!
なんだか、臆病な自分が自分の中にもいるんだなと思ってしまった。
「自分は臆病だ」と思ったことはあまりないけど、勇気が出ないことはたくさんある。
そして、本作の主人公ジェレミーみたいに、自分を変えたいと思ったこともある。
でもそれを、自分以外の何かに頼って自分を変えたいと思ったことはない。
でも、ジェレミーみたいに、「簡単に変われるよ」ってものに出会ったら、もしかしたら自分もそれに頼ってしまうのかも…と思った。



変えられるのは自分だけ

仕事柄、自己啓発書を読むことが多いけど、大体「他人を変えることは不可能。他人を変えたければ自分を変えなさい。」という内容が多く記載されている。
これについては私も同意見。
他人を自分が変えられると思っている人は過信しすぎだとすら思う。
でも、他人を変えられることもできる。それは、自分が変わったときだ。

ビーモアチルの主人公、ジェレミーは、あんまり冴えない男子高校生。
でも同級生のクリスティンのことが好きで、両想いになりたいと思っている。
たまたま知ってしまったスクイップ(スーパーコンピューター入りの錠剤)に頼って自分の思い通りに事を進めようとする。

このスクイップって、「Super Quantum Unit Intel Processor」の略で「SQUIP」だったんだね。初めて知った!
このスクイップという錠剤をのむことで、ジェレミーの脳にコンピューターが搭載されたということになる。
すごいぶっとんだ設定だけど、近い将来あり得るかもしれない話だよね。

最初はいい感じに進んでいたのに段々スクイップにジェレミーが支配されるようになっていくのがリアルで恐ろしかった。

何よりも、一番の親友であったマイケルのことを、スクイップは遮断し、更にはジェレミー自身もマイケルを拒否しだしたときは、さすがに胸が痛くてジェレミーそれはないよ、と叫びたくなった。
(この時のマイケルの「バスルームのマイケル」は大好きな曲になった。)

なんやかんやあって、最終的にジェレミーは錠剤を取り出して元通りになったんだけど、結局は、自分が望む道を開くのは自分だけだよ、というメッセージを感じた。
何かに頼っていくことも人生では大事。
でも、すべてを頼りっきりにするのは自分を失うことと同じではないか。
ジェレミーはスクイップに支配されそうになって(というかほぼ支配されていた)自分らしさを失っていたように見えた。
冴えないけれど心の優しいジェレミーが、どんどん怖くなっていくのを私は見てて耐えられない…となった。

大事なことは、自分を見失わないこと。
自分を常に持っていること。
そうすれば見てくれている人はいるし、支えてくれる人もいる。
ジェレミーにとってはマイケルやお父さんのように。
そして、クリスティンもきちんとジェレミーを見てくれたじゃないか。
だから、自分を失ってはいけないのだと、思った。


自分の味方になってくれる人は大切に

本作でかなり好きになったキャラクターといえば、やっぱりマイケル。
マイケル、本当に健気にジェレミーを想っている。
マイケル役の加藤清史郎くんは、それを「執着」と言っていたけど、あながち間違ってはいない気がする。
加藤清史郎くん、マイケルの解釈深くて最高だった。

ジェレミーがマイケルに「負け犬」と言い放った後のマイケルの「バスルームのマイケル」という曲が、本当に切なくてやるせなくて、
ジェレミーなんてことするの!?!?戻ってきて早くマイケルに謝りなさい!!!とお母さんみたいな気持ちにさせられたのだけれど、
マイケルはジェレミーにとっての唯一の親友であり、またマイケルにとってもジェレミーは唯一の親友だったんだ。
だからそこ、スクイップを飲んでもずっとジェレミーを気にかけて心配していたのに、ジェレミーはそのことなんて目もくれず「負け犬」と言い放った。

酷い。酷すぎるジェレミー。これもスクイップのせい。

「また一人になってしまった…」というマイケルの叫びが、この曲に詰まっていた。
とくに終盤の「マイケルって誰だ」という歌詞。
聞いた時はゾッとしたんだけど、
マイケルって誰だ?と一度自分の存在を自問自答しなければいけないくらい、マイケルはつらい気持ちだったの???
とってもやるせない気持ちになるな。


マイケルだけじゃない、ジェレミーが手放したのはもう一人、大切はお父さん。
いつも家でズボンをはかず、パンツ一丁でうろうろしているお父さん。
お父さんはジェレミーのこと心配していたよ。
それなのに鬱陶しいとお父さんのことも手放した。
はあ…なぜ…まあそれもスクイップのせいなんだけど。

※ちなみにジェレミーのスクイップの目的は、他の生徒の脳内も乗っ取って世界をコントロールすることだったらしい。
そんなことできたらすごいね。大変だ。(他人事)


いついかなる時も、自分の味方になってくれる人、ジェレミーにとってのマイケルとお父さんは、やっぱり何があっても大切にしなければいけないよ。
ジェレミーはスクイップのことがあって学んだんじゃないかなと思う。

私も、思った。
自分を大切にしてくれる人、いつも味方でいてくれる人は、自分も大切にしないと、って。
ジェレミーが学んだように、私も学びました。


でもすごく話の内容が入ってきやすい脚本でした。
さすがトニー賞受賞作品。(?)


実力派キャストの表現力がえぐい

いや~すごかったです。さすが。
全キャスト人数多くないのに一人が色んな役バイトしててすごかった。

ジェレミー役の薮くんは、言わずもがな実力派俳優。
言ってなかったですが私はHey!Say!JUMPファンでもある。
しかもデビューからずっと好きな古参です。(自分で言う)
薮くんはグループの中でもミュージカル経験が豊富で、今年はジョセフとビーモアチルと、ミュージカルを連続でこなすほど引っ張りだこ!
強そうな役も弱そうな役も、なんでも器用にこなす薮くんだからこその、ジェレミーのスクイップ前後のギャップが恐ろしかった。
それを見事に表現していたのは、やっぱり薮くんだからだろうな。
そしてグループ内でもかなり定評のある歌唱力も、伸び伸びとしていて聞いてて気持ちが良かったです。

マイケル役の加藤清史郎くんは、るろうに剣心以来の拝見でした。
やっぱ…いいな!加藤清史郎くんは!!将来有望です!!
だってまだ21歳だって??なのにもう結構ベテランの域ですよ。
加藤清史郎くんは、歌えるし踊れるので、ミュージカル界にいてほしい人材だと思う。
というか私はいてほしいと思う。また見たいもん。舞台上で。加藤清史郎くんを。

クリスティン役のさゆりちゃんは、去年の「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」以来でした。
さゆりちゃん可愛いのにコミカルなお芝居も躊躇いなくこなすからすごい。
ちなみにリトショの前だと、「ざ・びぎにんぐ・おぶ・らぶ」でも拝見してたけど、コメディ要素強め舞台だったから結構印象に残ってる。
さゆりちゃん凄いなあ。

ジェレミーの同級生でクリスティンの元カレ役のあっきー!
個人的にはあっきーが薮くんと共演するの本当に嬉しい。
いつか推しも…と夢見ています。
あっきーも色んな役バイトしてて器用にこなしていてよかった。
役柄的にソロ歌唱のシーンは少なかったけど、あっきーが歌い出して「この人歌うまい…!」と歌のうまさがバレてしまうのが心地よかったです。

そしてジェレミーのお父さん役のブラザートムさん、なんかこう…他とは違う異様なオーラを放っていた…
なんかすごい…大御所だ…って感じ。

あと横山だいすけお兄さんは、意外だったというか、ああいうお芝居、できるんだ!って意外性があって面白かった。
もちろん歌はお上手だし動けるけど、お芝居のイメージなかったからびっくりしました。

ビーモアチル、日本初演をこのキャストで見てれよかったな~。


あとちなみに、歌唱シーンが比較的多かったかも?という印象だった。
OPのカカカカモーン!の歌(More Than Survive)独特すぎて頭から離れない。好き。
でもやっぱり一番好きなのは「バスルームのマイケル」かな。
他の曲も本当に素敵、素敵だけれど…
勝てない。どの曲も、これには勝てない。
悔しくて切なくて、大好きな曲です。

このポスター写真撮るのに列ができてた。
それにしてもこの薮くんとってもかっこいい。


おわりに

新国立劇場はじめていきました。
建物として芸術っぽくてきれいだった。
キャパはそこまで広くないけど、どこからでも見やすそうな構造でよかったです。

ところでタイトルの「be more chill」、chillというのは日本語で「落ち着く、リラックスする」という意味なのだけれど、
若者の間での俗語は「イケてる、クールな」という意味で使われていて、「be more chill」はジェレミーが自分をもっとクールな男に変えてクリスティンを振り向かせたい!という意味になるのかな、と思った。
よくできてるな~。


ビー・モア・チル、また見れたら嬉しいです!!

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