見出し画像

改革なのか、変革なのか

私たちは何を求め、何処へ向かうのか。物事を進める際に、「何が求められているのか」を明らかにすることは、海図なき航海で羅針盤を手にするようなものだ。特に「改革」と「変革」の違いを見極めることは、迷いなき歩みを進めるための重要な鍵である。


現状の器を磨く改革

改革とは、既存の形を保ちながら、その内側を研ぎ澄ます行為である。英語で言えば「Re-engineering」、すなわち「やり方を変えること」。現行のプロセスや仕組みを見直し、効率と効果を高める。それは、古い家に新たな装飾を施し、住み心地を良くするようなものだ。だが、その家そのものの構造は変わらない。

未知の地平を切り拓く変革

一方、変革とは、既存の形を超え、新たな存在へと昇華する行為である。英語で「Transformation」、すなわち「やることを変えること」。それは蝶が蛹から羽化し、空へ飛び立つような変容である。現状の枠組みに囚われず、新しい価値や目的を創造する。未知の地平を目指し、一歩を踏み出す勇気が求められる。

リーダーの真意を見つめる

では、私たちはその道程において、何を指針とすべきか。リーダー、すなわち目的を掲げる者の意図は、改革か、変革か。その問いに答えることなくして、我々は正しい方向へ進めるのだろうか。

もしリーダーが「業務効率化」を望むとき、それは現状の改善を意味するのか、それとも新たな次元への飛躍を意味するのか。言葉の背後に潜む真意を探り、対話を重ねることこそが、真の目的地を見定めるための道標となる。

意識の齟齬が生む影

プロジェクトの航海において、乗組員たるメンバーの意識がリーダーの望みと食い違うとき、船は波間に漂い、進路を見失う。改革を志向する者たちが「やり方を変えること」に専心する一方で、リーダーが変革を求めているならば、その間に広がる溝は深くなる。

その溝を埋めるためには、「なぜこの航海を始めたのか」を再び問い直すことが必要だ。共に地図を広げ、目的地と航路を共有することで、全員が同じ風を受け、帆を張ることができる。

改革と変革の調和

しかし、改革と変革は対立するものではなく、むしろ連続した波のように互いに響き合う。改革によって築かれた基盤の上に、変革の翼を広げることもできる。効率的な実行がもたらす力と、新たなビジョンが描く未来。その両輪が揃ってこそ、組織やプロジェクトは持続可能な成長を遂げる。

自身に問いかけてみよう

  • あなたは、現状維持を望みますか? それとも、新たな価値を創造したいですか?

  • 共に歩む仲間たちは、同じ星を見上げているのでしょうか?

  • 今、優先すべきは足元の課題でしょうか? それとも遥か彼方のビジョンでしょうか?

これらの問いに向き合うことで、我々は進むべき道を明らかにし、確かな一歩を踏み出すことができる。改革と変革、その本質を理解し、適切に活かすことで、望む未来を自らの手で紡ぎ出そう。


いいなと思ったら応援しよう!

柏木誠|プロジェクトデザイナー
アレとソレを組合せてみたらコノ課題を解決できるソリューションができるよね?と言うパズルをやるような思考回路です。サポートして頂いた費用は、プロジェクト関連の書籍購入やセミナー参加やAIの研究の資金にします。