雑な企画量産時代は直ぐに終了する。その次のマネジメント視点で考える
AIの進化により、企画書の作成が飛躍的に簡単になった時代に突入しました。AIへの指示を少し工夫すれば、それらしい企画書が誰にでも作れるようになりました。時にコンサルタント顔負けの企画書がジュニアレベルの方からも量産されます。雑に量産されると言っても良いかもしれません。
そのような状況下で企画のマネジメントとは何なのでしょうか?
雑に量産される企画と集合天才
AIと個人とで生成する「美しい企画書」や「面白そうなアイデア」は、その見た目のインパクトで注目を集めるかもしれません。時にしっかりとした背景も内包するので、企画書としてのクオリティはかなり高いものになります。
しかし、それでは個人能力の拡張にすぎません。そして雑な企画書の量産にすぎません。
大事なのは「良い企画」を組織でつくることです。組織の力を最大限に引き出すことです。本noteのテーマの1つは、個人が持つ独自の感性やスキルを、組織全体の中で結びつけていく発想についてです。
感性の新結合
従来のチーム単位での職種や役割ではなく、もっと個人のスキルや想い、アイデアを活かす。異なる専門性を持つ人材の連携、AIと人間の協働、部門や立場を超えた連携などを組織単位でマネジメントしていく。この「感性の新結合」のマネジメント。
それぞれの個性や能力を組み合わせることで、これまでにない発想やイノベーションが生まれる可能性を秘めている、これをAIが引き出す。
この新しい結合を実現する上で、「集合天才」の考え方が重要になります。集合天才とは、個人の卓越性ではなく、集合知や組織全体の力を引き出すという考え方です。組織内の人材とAIが互いに補完し合うことで、個人の能力を超えた、創造的な結果を生み出すことが可能になります。
集合天才について
一人の天才に頼らず、組織のメンバーの才能を集めることでよい結果を出す
個々の才能や蓄積された情報が有機的に結びつくことが重要
革新性の高いリーダーの存在により、個々の才能や蓄積された情報を有機的に結びつける
そのリーダーシップが機能する為には、コミュニティ環境整備やプロセスの構築が必要
集合天才の考え方では、スティーブ・ジョブスがいなくても、凡人が集まって画期的なコンセプトが生まれる可能性を示唆しています。また、人との会話から生まれるアイデアは、筋は定まりにくいですが、そのブレから多様なルートの選択肢が得られるという特徴もあります。
企画の本質は「アイデア」ではなく、「実行可能な計画」
AIが自動生成する「美しい企画書」や「面白そうなアイデア」は、その見た目のインパクトで注目を集めるかもしれません。しかし、企画とはその内容が評価されるだけでなく、実行されて初めて意味を持つものです。単なる「アイデア」ではなく、「実行可能な計画」として具体的な形を持つこと、さらにその実行力を伴うことが、企画の本質です。
ここで重要なのは、企画をどのように実現していくのか、誰がどう実行するのかをセットで考える視点です。良い企画を量産するために、組織内でチームを整えたり、テンプレートやルールを作成し、企画を構造化する取り組みも重要ですが、それだけでは真の価値を生み出すことはできません。
「企画を判断する」役割の縮小化
従来の企画マネジメントは企画書の内容をチェックし、その良し悪しを判断することは大きな役割の1つでした。決裁者が持つ過去の経験値や感性を駆使しての判断には価値がありました。
しかし、AIがあらゆる分析や計画を支援できる今、その役割は「企画を判断する」から「新しい価値の創造を促進する組織の環境を整えること」へとシフトしていく必要があるのではないか。これが本noteのもう1つのテーマです。
リーダーの役割は「アイデアを実行可能」にするための機敏な組織の土壌作り
AIの力を最大限に活用しながらも、その時代に求められるマネジメント力は、「企画の判断力」ではなく、企画を実現するための「土壌作り」と「変化のスピードに対応できる機敏なマネジメント」です。
リーダーは、単なるチェック役やメンター的な役割から、組織全体の結合を促進し、次の価値を生むための環境を設計する役割にシフトするのではないでしょうか。
AIの進化は、大きなチャンスであると同時に、適切なマネジメントを行わなければ、競争力を一気に失うリスクも孕んでいると言えるでしょう。人のスキル、アイデア、感性を最大限に新結合し、それを実行するため「土壌つくり」と「機敏なマネジメント」。「やる組織」と「やらない組織」の結論は直ぐにでるはず。
まとめの問い
AI時代において、企画マネジメント「組織の集合天才」を活かす方向へと進化するのではないか?
企画マネジメントのリーダーの役割は、企画の良し悪しを判断することから、変化に対応できる機敏な組織の土壌作りへとシフトするのではないか?
個々の才能とAIが融合し、スピーディーに実行できる組織こそ、この時代を勝ち抜く鍵となるのではないか?