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プロジェクトの心得、知識、そして作法

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プロダクトマネージャー、プロジェクトマネージャー、プロジェクトファシリテーター向けに書いたnote。考え方やノウハウなどを整理しまとめていきます。
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記事一覧

資料作成は「期間」で差がつく、早期着手がもたらす知的創造の好循環

多くのビジネスパーソンは、日々の業務に忙殺され、常に時間に追われていると感じている。特に、プレゼンテーション資料や企画書といった知的生産物が求められる業務においては、締め切り直前まで着手できず、質の高いアウトプットを生み出せないという悩みを抱えがちだ。 しかし、資料作成において本当に不足しているものは、時間そのものではなく、「期間」という概念ではないだろうか。私が本稿でテーマとしているのは、資料作成のスタートを極力早くすることの重要性だ。具体的な作業に着手する時間的な余裕が

プロジェクトワークにおけるプロとアマチュアの違い

プロはミスを織り込み済み プロジェクトワークにおいて、ミスも失敗も織り込み済みで対処するのがプロであり、絶対失敗しないように準備をするのがアマチュアである。 プロジェクトワークは不確定要素の塊であり、そもそも想定通りに進むことは稀である。想定通りに進んだとしたら、それは奇跡か、あるいはプロジェクトと呼べるものではないだろう。たぶんそれはオペレーション業務です。 機敏性が重要 プロはミスも失敗も織り込み済みであるため、些細なミスが発生した時点でリカバリーを行う。小さな失

「すぐ結果だせ」が阻害するもの、新規事業開発における”問い”の回復

「すぐ結果だせ」を強く求められる環境、すなわち短期的な成果への圧力が高い組織・プロジェクトにおいては、”問い”や”内省”のプロセスが抑制されがちです。 特に新規事業開発において顕在化しがちな問題であり、その根底には「不確実性下での意思決定」における「時間軸と評価軸の非対称性」がある。これが本日のnoteのテーマである。 問題の本質は「時間軸と評価軸の非対称性」「すぐ結果だせ」という状況下では、即時的に得られうる答えや目に見える進捗を優先する傾向があります。 言い換えれば、

不確実性を前提としたプロジェクトマネジメントについての探求を書いたnoteまとめ

「プロジェクトマネジメント」を学ぶ前は、予定の期日にリリースできて、数値目標を達成すれば良いと考えていました。しかし、私もメンバーも疲弊するばかりでした。 プロジェクトマネジメントを知る 一通り「プロジェクトマネジメント」の作法は学び、それなりの数のプロジェクトを行いました。以前よりも疲弊するレベルは減りました。推進力は大幅に向上しました。 しかし、まだまだプロジェクトを成功に導くには不十分であることを日々痛感しています。 プロジェクトとプロジェクトマネジメントのジレ

プロジェクトの合理性の再定義、エフェクチュエーション理論×両立思考とセレンディピティ

合理性とは?例えばプロジェクトや組織運営における合理性は、明確な目標設定とそれに向けた最適な手段選択を重視し、計画的かつ予測可能な行動を理想としています。 しかし、不確実性と複雑性が増大する現代社会では、このアプローチだけでは対応しきれない場面が増えています。 エフェクチュエーション理論このような状況下で注目されるのが、サラス・サラスバシーによって提唱されたエフェクチュエーション理論です。エフェクチュエーション理論は、企業家が不確実な環境下でどのように意思決定を行うかを解

改革なのか、変革なのか

私たちは何を求め、何処へ向かうのか。物事を進める際に、「何が求められているのか」を明らかにすることは、海図なき航海で羅針盤を手にするようなものだ。特に「改革」と「変革」の違いを見極めることは、迷いなき歩みを進めるための重要な鍵である。 現状の器を磨く改革改革とは、既存の形を保ちながら、その内側を研ぎ澄ます行為である。英語で言えば「Re-engineering」、すなわち「やり方を変えること」。現行のプロセスや仕組みを見直し、効率と効果を高める。それは、古い家に新たな装飾を施

アシスト力の本質、プロジェクトの成功を支える3つのシーン

「アシスト力」という概念は、プロジェクトにおける成果を左右する極めて重要な要素です。 この概念を意識しはじめたのは10年ほど前ですが、当時はその真の重要性を十分に理解していなかった。しかし「アシスト力」の言葉を意識してプロジェクトを進めることで今はその意義を深く認識している。本日のnoteはこの「アシスト力」について考えたい。 アシスト力プロジェクトにおける支援およびサポートの能力は、組織全体の成果に甚大な影響を及ぼし、その価値は計り知れないものがある。 アシスト力は、

対話とユーザテストからプロジェクトメンバーが納得する課題を抽出する方法と、開発優先度をゲーム的に決めるファンクショナリティ・マトリクスPlus

2年ほど前に書いた2つの記事を再編集して掲載しています。 成功・失敗・頓挫・ペンディングという中途半端な状態問わず、かなりの数のプロジェクトを経験しています。役割はプロジェクトリーダーと言う立場で関わる事が最も多く、その時の最大の悩みは常にプロジェクトの方向性を皆に共感させ、プロジェクトに集中させること。 フェーズ1.対話とユーザテストからプロジェクトメンバーが納得する課題を抽出する方法 まずはプロジェクトメンバーが課題に対して納得感を得るための手法。 ざっくり言うと

プロジェクト成功の鍵を握る「キーマン」をどこに配置すべきか問題

プロジェクトの成否は企業の成長に大きく影響します。その成功のカギを握る要素の一つが、「キーマン」と呼ばれる重要人材を適切に配置することではないでしょうか? 効果的なキーマン配置する。これが本記事のテーマです。 キーマンの特徴と重要性キーマンとはプロジェクトや組織の成功に欠かせない重要な役割を担う人材を指し、以下の能力を兼ね備えていることが求められます。 高い問題解決能力 円滑なコミュニケーション能力 的確な状況判断力 迅速な実行力 リーダーシップ 専門分野にお

PMOとは何か?- 役割の考察 -

PMOとはProject Management Officeの略。PMOの需要は凄くあるんじゃないか?って肌感覚があるので、過去のnoteを再整理・編集して本日のnoteにします。 全ての能力を兼ね備えるスーパーPMは希少 「ビジョナリー、先見性」「マネジメント」「ファシリテーション力」「リスクへの感度」「専門家と対等に対話ができる」「プロジェクトの作法を理解して実戦経験も多数」「コスト管理得意」「経営者とのネットワーク」など。そんな都合のよいPMは普通いない。 プロジェ

プロジェクトの「キックオフミーティング」の押さえるべきポイント

「キックオフミーティング」とは何か?一言で言えば「プロジェクトの最初の公式なミーティング」だ。「キックオフ」というサッカーの試合開始時にボールを蹴り出すとことから来ている。 キックオフは非常に大事。その意味を改めて考えてみたい。本日のnoteは、今の私自身の現状に合わせて再編集・加筆しています。 もし貴方がプロジェクトマネージャーだったら? 1 キックオフミーティングの準備の前にキックオフミーティングを準備する前に、押さえておきたい貴方自身とプロジェクトメンバーの心構え

大きな構造変革をいかにリードするか?リーダーに必要な10の行動指針

既に絶版になっている「BCG 未来をつくる戦略思考: 勝つための50のアイデア」という本。私に色々なヒントを与えてくれる。その中にあるリーダーについての記述。私のnoteでも何度も引用している。自分自身に繰り返し確認している。 これは基本的なことかもしれない。しかし多くのリーダーと言っている人は、本当にできているのか?特に大きな構造変革に対応する人はできているのか? 1. 大胆であれ2. どこまでも明瞭に 3. 何を約束するかに注意しよう4. 人々のコミットメントを確実に

プロジェクトマネージャーの心構え - プロジェクトを立ち上げるタイミングあたりの話し

プロジェクトマネージャー初心者、特に初めて抜擢された人向けへの心構えのnote、プロジェクトを立ち上げるタイミングあたりの話。 もし貴方がプロジェクトマネージャーになったら?。 プロジェクトマネージャーへの期待値は沢山あると理解するプロジェクトマネージャーへの期待値は基本的にてんこ盛り、新人だろうが、ベテランだろうが関係無い。基本的にてんこ盛り、何があっても何とかしてくれる。だって責任者。ほんと色々な事を乗っけてくる。例えば、 スケジュールや予算の管理 ビジョンや企画

プロジェクト力を向上させるための「10の問い」

プロジェクト力があるかどうか?を確認しアドバイスを行うときに使う私のフレームワーク。プロジェクトリーダー育成の1つ。 順番に質問していくのが基本です。 1.プロジェクトの目的は何か? プロジェクトの目的は何か? 何のためのプロジェクトなのか? 何を解決するのか? シンプルかつ力強い「問い」です。 何の「課題」を解決しようとしているのか?? 2.その背景と課題は何か? 背景を確認することで、そもそも目的の設定があっているか? 合わせて課題設定はあっているか? 「1.プロジェ