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【無抵抗都市】戦後の闇市の裏で繰り広げられる、男と女と飢餓の果ての惨劇

#マンガ感想文 #丸尾末広 #闇市 #奇形 #カニバリズム #小平事件 #猟奇と狂気と怪奇と幻想 #川勝徳重

一九四六年・東京            連続婦女暴行殺人の白面の色魔Kが逮捕されたその夏 一組の奇妙な男女の出会いがあった。

ーーという一文から、この物語は始まる。白面の色魔Kとはもちろん、昭和の犯罪史上にその名を残す死刑囚、小平義雄のことだ。冒頭で、キャップを被った少年が、物陰に隠れて大便をしている。わずかばかりの細い大便が排泄された後、少年の肛門から白くうねった寄生虫がにょろりと這い出る。

少年は指先で寄生虫を引っ張り出すと、あろうことかミミズのようにのたくる寄生虫を口に入れ「ゴクン………」と飲み下す。

現代人から見れば少年の行為は不潔とか不衛生のレベルではなく、狂気の沙汰だろう。だが、作中の『今』は戦後なのである。さつまいも一本が家族の食卓に上がれば、ご馳走という世界なのだ。腹の足しにもなるわけもないが、せめてもの口さみしさをまぎらわすためには致し方ない行為だ。

用を足し終えた少年ーー光は、銀行用地と書かれた壁を背後に、蓙を敷いて1本3円でろうそくを売る母、セツ子の元に戻る。セツ子は粗末なポロシャツを着てもんぺを履き、色白で細面で、化粧などしているはずもないが、まだ若く美しい。

ふと、セツ子の背後から何者かが声をかける。

「おくさん/おくさん/背中に百足がついてますよ」                「じっとしてなさい/とってあげます」

と言う声とともに、蝉の止まっていた背後の壁から男の右眼と鼻が浮かび上がるが、セツ子はそれに気づかない。素手で男が母の背中から払われると同時にセツ子の隣りに現れたのは、前髪が後退した、重度の小人症の中年男だった。

男ーー平井は黒い革靴の底で百足を踏み潰し、闇市に店を出せない母子を気づかう言葉をかける。その身にまとった半袖のワイシャツに付いた胸ポケットの中から、なんとメイドインUSAの板チョコを取り出す。セツ子は光が伸ばした手を止め、平井の施しを強い口調で拒否するが、彼は自分の家に来れば米も野菜もある、ここで待っていてください、と、あくまでも紳士的な態度かつ丁寧な口調で、セツ子を引き留める。

しかし、セツ子は平井の言葉を無視し、ろうそく1本しか灯りのないバラックに帰る。

「魚たべたい」

光の言葉に、セツ子は、

「そんなものあるわけないでしょ」

と、無気力に返す。不可能なおねだりをする息子を、叱る気力も体力もないのだ。

「ないのよ/なんにも……私達には何もないのよ/ないのよ……」

光もまただだをこねる気力もなく、ただ悲しげな表情を浮かべ、何も言わない。セツ子の言う「何もない」は、食料のことだけではない。 

アジア広域を植民地にした大日本帝国は敗戦した。束の間の栄華を誇った満州国は崩壊した。神風も吹かず、桜花はすべて異国の上空に散り、人間魚雷もまた、すべて海の藻屑と消えた。日本という小さな島国には原爆がふたつも落とされ、長崎と広島は死の街と化し、かつて花のお江戸と歌われた東京は大空襲によって焼け野原となり、それらのこともすべて含めての「何もない」なのだ。

そこへ、平井が段ボール箱を抱えてバラックを訪れる。バラックとは戦後に建てられた掘っ立て小屋のような簡易な家屋で、現在41歳の私が30代になってからも、近所にそんな家屋の1区画が残っていた(現在その区画は取り壊され、コンビニになって跡形もない)。

蓋の開いた段ボール箱には【CARE U.S.A】とある。アメリカから日本への援助物資が入った段ボール箱の使いまわしだ。

平井は段ボール箱の中に入れた米と野菜を提供するが、セツ子はそれを激しく拒絶する。平井は思いの外あっさり引き下がるが、光はその段ボール箱の中にコッペパンが入っているのを見つけてしまい、セツ子はなし崩しに平井からの施しに手をつけてしまう。

(どうせ隠れて食べるんだもの/ああ、とうとう食べてしまった)                  (私どうなるの?/あの男は今度はきっと肉体関係を求めてくるんだわ)

食料を山とつまれても私はあの男を受け入れる事はできない。だってあの男は……!

奇形だから。小人だから。身体障害者だから。

時は昭和21年、人権意識も著しく低い時代であり、五体満足な健常者であるセツ子が重度の奇形である平井に嫌悪感を抱くのは無理もない。それ以前に、セツ子は南方のガダルカナルに出兵したまま、生死不明の夫の帰りを待つ身だ。

セツ子は隣りに光が眠りに就いた後、夫の写真を手にし、寝間着代わりのシュミーズ一枚になると、セツ子が引き寄せた敷き布団にかぶせたシーツ代わりの白い布がぺニスの形に変わる。そして、白い布から突き出た男の両掌が、まだ張りのあるセツ子の乳房をつかむ幻影が浮かび上がる。この場面はセツ子の自慰の暗喩だろうが、

(私 この頃蜥蜴が見えてくるのよ)

と、涙と汗を流しながら心の中で夫に訴える。蜥蜴が見える、というのは、夫を思いながら自慰に耽るしかないほど心細く、精神的に追い詰められながらも、貞操観念の強いセツ子の自分自身に対する嫌悪感と、夫に対する罪悪感、そして自分がこのようにふしだらな行為に耽るのは、見えもしない幻覚が見えているのだという、精一杯の言い訳なのではないだろうか。

不本意ながらも、やがてセツ子と光の母子は平井と交流を深める。平井は米軍将校と知り合いで、彼が食料や日用品をわけてくれるのだという。そして平井は、セツ子に自分が浅草に出す焼き鳥の屋台で働いてくれないかとの話を持ちかける。そうすれば今までのような一方的な施す側と施されるだけの関係ではなく、雇用者と従業員の関係になり、れっきとした給金として報酬を受け取れる、と。

その頃、東京にはチフスが蔓延していた。俗にパンパンと呼ばれる日本人女性達が、米兵達に媚びと体を売っている。しかし日常生活全般においてすべてが物資不足な戦後の時代において、コロナが蔓延する現代のようにマスクも消毒液などありえない時代、予防策はただチフスに罹患しないことを願うしかない。

平井と米軍将校との間にある強いコネは、将校の性的嗜好(と思われる)で彼が自ら撮影する、いわゆるブルーフィルムの主演俳優であることだった。今でいう、劣悪なAV製作メーカーでしか使われない、キワモノキャラのAV男優と言ったところか。

矛盾するようだが将校はひとりの人間として平井を気に入っており「イイモノアゲマス」と、平井に逆三角の下地に十字架のマークが入ったペンダントを与え、自分の帰国とともに渡米しないかと誘うが、平井は「NO!」と、それを拒否する。

わずかに貯金はあったものの、新円に切り替えられて無駄になり、一文無しのセツ子は生活のため、仕方なく平井の申し出を引き受けた。そして、平井はセツ子に語る。

「ねえ おくさん……私のような者が戦時下にどういうあつかいを受けるかーーだいたい想像がつくでしょう」

「しかし私が非国民の屈辱に泣いていたと思ってほしくないのですよ/非国民(の汚名)は望むところです」

平井はつらつらと、持論の敗戦後の日本国民の哀れさ、惨めさを語る。それらの台詞を背景に、街頭に立ち、両腕と片足を失った傷痍軍人が自らの肉体を晒しながら募金を募る姿、冒頭に記された小平事件を題材にしたポルノ映画を公開する、小さな映画館が緻密な線で描かれる。

セツ子が平井が営む焼き鳥の屋台の仕事にようやく慣れ始めた頃、彼女の預かり知らぬところで事件は起こる。というより、平井がセツ子に仕事を持ちかけたのは、はなからこれが目的だったのだ。

1本1円で焼き鳥ともつ焼きの串を売るセツ子が働く傍ら、息子の光は捕まえた蜥蜴を靴底で踏み、それを水を貯めた缶カラに浸けるという、残酷な遊びに興じていた。それは子供特有の無邪気で残酷な遊びの範囲内なのか、あるいは身体的な飢餓からくるストレスによるものか、はたまた両親、特に母親への精神的な愛情飢餓から生じたものなのか、それともすべて含めたものなのかは、わからない。

「お母さんが呼んでるよ/おいで」

平井の言葉に、光は容易に彼の自宅へ連れ込まれる。当然平井宅にセツ子はいないが、代わりに光を迎えたのは、大量の食料だった。

ーー三連のバナナ一房。          ーーコッペパン3つ。           ーー缶切りで開けられたフルーツの缶詰。  ーー袋入りのグラノーラ。         

現代人の私達からすれば、どれも日常的に口にしているーーというより、コッペパンやフルーツの缶詰めなど、極めて安価な食品である。もしかしたら10代~20代の方々の中には、フルーツの缶詰め自体目にしたことも口にしたことさえない人もいるのではないか。

しかし、光はその予想だにしなかったご馳走ににむしゃぶりつく。3本のバナナを瞬く間に平らげ、缶詰めを両手で抱え、中身のフルーツより先に、甘いシロップをむさぼり飲む。

ゴム手袋を両手にはめ、エプロンを身につけた平井が、片手に金槌を持ち、光に背後から尋ねる。

「たくさん喰べたかい」

しかし、ここで思わぬアクシデントが起こる。背の低い平井が金槌を振り上げた瞬間、天井から吊り下げた電球を、うっかり割ってしまったのだ。だが平井は動揺することなく、コッペパンを食べることに夢中になっていた光の頭に、金槌を振り下ろした。

一撃で絶命し、左側頭部が広く割れ、失禁した光の死体を、平井は風呂場に引きずり込む。全開にひねった蛇口から溢れる水は、それを受け止めるバケツから絶え間なく床を浸たして行き、風呂場にあらかじめ用意されていた斧を振り下ろした平井が、ひと振りで光の頭部を切断し、水浸しの風呂場の上に転がした。

蛇口から溢れ出る水音をBGMに、平井は光の内臓ーー主に下腹にある臓物をーー両手で掬い、それを水が注がれ続けるバケツに入れる。

続けて、やや時間をかけて、先ほどの斧と同様、風呂場に置いていた鉈で光の両腕と両足を切断する。その様を、いつの間にか蛇口に絡みついていた一匹の蜥蜴が見つめている。 ギリ、ゴキ、と嫌な音を立てて、最後に左足をねじって体から切断し終えると、平井はそこで一息ついた。後には五体を失い、切断面が生々しい光の胴体だけが残された。       

ーーその日の満月の夜、セツ子は光の行方を探しまわることになる。平井が段ボール箱を背負い、闇市の中を進んでどこかへ向かっていることなど知らずに。

一晩中探しまわっても、光は見つからない。夜道で出会った平井に、無数の蛾がたかる裸電球のみのバラックまで送り届けられたセツ子は平井に励ましの言葉をかけられるが、両掌で顔を覆い、うちひしがれるしかなかった。

翌日、セツ子は屋台の仕事を休んで朝から光を探しまわる。しかし街中は無数の戦災孤児達があふれ返っている。

(子供一人不明になったところで誰も驚きもしない/警察は本気で探してくれるかしら?/ああ……疲れた/足が痛い)

そこへ、街頭ラジオから並木路子の「リンゴの唄」が流れてくる。

《♪赤いリンゴに くちびるよせてぇ~~~》

セツ子は耳をふさぎ、その場から逃げるように走り出す。

(やめて/この唄きらい!!/なんでこんな馬鹿みたいな唄がはやるの)

そこでセツ子は、全裸で道端に伏せる老人に遭遇する。

ーーあの老人は石に化けようとしている/弱い生き物はあんなふうに擬態して敵から身を守るしかないのだ/もしかしたら私の夫も光も壁のシミに擬態して隠れているのかもしれない

それならどうして私にはそれが出来ないのだ ろう

この台詞から察するに、セツ子は我が身が置かれた過酷な現実を受け止めきれないのだ。夫と息子はどこかに隠れているのだ。それならいっそ私も壁のシミに擬態してこの現実から隠れてしまえば楽になれると。

その頃、平井は段ボール箱2箱いっぱいに詰め込まれた焼き鳥のネタをーーそれもすべて同じサイズに捌かれたーーセツ子が働く闇市の屋台に届けていた。そして、平井は屋台で焼かれた焼き鳥の串を12本もセツ子のバラックに届ける。

「さあ奥さんこれを喰べて/元気を出してください」

「さあ喰べなさい!」

平井は強制的な口調で、神経をすり減らし、無表情で無言なセツ子に串を差し出す。

「大丈夫/あの子はきっと見つかります」

肉を食むセツ子の口から、ゴリ……という音が漏れる。セツ子が1串食べ終えたところで、バラックにふたりの米兵が乱入してきた。

「コンバンワ!」

白人と黒人の兵士がひとりずつ。背の高い彼らにはバラックの天井は低過ぎ、白人兵士は裸電球の熱をライター代わりにタバコに火を点け、黒人兵士は梁に頭をぶつける。ふたりの米兵は英語で一方的にセツ子と平井にまくし立てる。

ざっくり要約すると、セツ子に対しては日本人にしては肌が白く美しい、自分と一緒に来い、平井に対してはこいつこの女の亭主か?ドワーフか?可愛いな、と言って、彼を嘲笑う。

黒人兵士がセツ子に襲いかかり、白人兵士が平井の足首をつかんで、逆さまに持ち上げる。しかし、ふたりの米兵は平井が将校からもらった十字架の刻印入りの逆三角形ペンダントを目にするや否や、

「OH!」「Sorry……」

と言い、大慌てでバラックから退散する。  検索してみても詳細はよくわからなかったが、どうやらこのペンダントは従軍牧師という将校クラスの軍人が身につけられる物らしい。軍隊において、自分より階級が上の人間と関わりのある者に無礼を働くわけには行かない、そういうことだ。

セツ子は恐怖のあまり、涙を流して平井にしがみつく。そして「大丈夫……」とつぶやいた平井の言葉に安堵したのか、セツ子はそのまま平井に抱かれてしまう。

ーー私は何と意志の無い女だろう      ーーふと気がつけば、この男に抱かれているではないか

そうだ/私は夫のいるガダルカナルが地球の何処にあるのかもわからない馬鹿女だ     夫は死んだのかもしれない/そして亡霊となって私のあさましい姿を見ているのかもしれない

あなた!あなた!            怒ったってだめよ 私達は負けたのだから

「私達は負けた」というのは日本の敗戦のことではない。夫は敗戦国の兵士として戦死した。自分は生きて行くための心細さから貞操を捨て姦通したという意味だろうと推測する。

しかし、平井はセツ子を抱きながら心の中でセツ子に問いかけている。

もしあなたの御主人が戦地で飢餓の果てに人肉を食べていたとしたら/あなたは御主人を許せるか? と。

翌朝、セツ子はバラックの入り口が叩かれる音で目を覚ます。しかし、枕がふたつ並べられた布団のかたわらに、平井の姿はない。

「失礼しますよ」

と、突然バラックに入ってきた強面の見知らぬ高齢の男に、セツ子はシュミーズ1枚の姿を、かけ布団でとっさに隠す。こちらも強面の、制服を着た若い男を連れたその高齢の男は、自分達が警察であると名乗る。

年齢的に、警部だろうかーー高齢の刑事らしき男に、セツ子はなぜか平井のことを矢継ぎ早に尋ねられる。                 「あの……平井さんが何か?」

わけがわからず尋ね返したセツ子に、高齢の男は衝撃の事実を伝える。

上野の不忍池で段ボール箱に入れられた子供の骨が見つかった、四日前、段ボール箱を捨てている男が目撃されている、その男の背格好がまるで子供のようなーー、と。

(子供の骨!?)

「どうやら肉の方は焼き鳥といつわって自分の店で売っていたようなのです」

その言葉に、セツ子は昨晩平井に薦められたあの串が、脳裏に鮮明によみがえり、セツ子はその場で嘔吐した。

時と場面は変わり、「天皇絶對護持」という幕と、日の丸の旗を掲げた無数の群衆が集まった街中。恐らく昭和22年の昭和天皇の戦後巡幸の東京だろうか。何人かの女性達は涙を流し、群衆は両腕を上げて万歳を連呼する。

ーーあの男は絶対に逃げられるものか/あの男は群衆の中に隠れる事は/できないのだから

【地獄に堕ちるがいい!!】

セツ子の怨嗟の言葉が、群衆の中にいるのであろう彼女の心の中で叫ばれる。

その光景を、平井は高い建物のわずかな足場の上に座り、見下ろしている。そして頭にかぶっていた帽子を投げ捨てると、そのわずかな足場の上に立ち上がり、壁に背中をつけ、すぅ~~~と長く息を吸い込んだ。

平井が目を閉じると同時に、その矮驅は瞬く間に壁に溶け込み、消えた。

ーーおまえは俺が逃げられないと思っているだろうだが、俺は逃げられる/俺を捕らえる事はできない/逃げられぬのはおまえの方なのだ

やがておまえは呪われた子を生むだろう

セツ子の怨嗟は、矮驅の怪人、平井の前には効を成さなかった。            頭からスカーフをかぶったセツ子は額から脂汗を流し、吐き気に耐えられず、路上に手を突き、嘔吐する。それはたった一晩の交わりで平井の子を妊娠したことによる悪阻だった。

ハンカチで口を拭うセツ子は、復員兵姿の夫の後ろ姿と横顔を、群衆の中に見つけたーー。

ーー不意に夫が帰ってくる/この世の外から ーーもしかしたらこれもあの男のしくんだ事かもしれない               ーーあの男は私のうろたえる姿を見て楽しんでいるのではないだろうか?/壁のシミに隠れて……

バラックの布団の上で、ひざにもかかとにも穴の空いたストッキングを履き、ぼろぼろの白い服を腰まで下げたセツ子の手には、出刃包丁が握られている。

セツ子の頭の中に、テレパシーのような平井の言葉が響く。

【おまえは我が子を殺した俺に抱かれ/我が子の肉を食べた!!】

おまえは呪われた女だ/そのふくらみかけた腹を復員した御亭主に見せられるか

出刃包丁の刃は、セツ子の手によって我が身に突き立てられた。我と我が身によって横一文字に腹が裂かれるその様は、まさに切腹そのものだ。

【私は自殺するのではない/腹の中のできものを切り取るのだ】

切腹そのものとはいえ、介錯する者はいない。セツ子は布団の上ではなく、畳の上に敷いた蓙の上に仰向けに転がり、息絶えた。自ら裂いた腹から、わずかに膨れた子宮を引きずり出して。

ーー夫がここへ来る前に/床のシミに擬態して隠れていよう

©️「現代マンガ選集【恐怖と奇想】」ちくま文庫/「月的愛人」青林堂/青林工藝舎/電子書籍あり














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