【ボカロで学ぶ】ドラムってどんな音? ~ライドシンバル編~
今年もやってまいりました、
ボカロリスナーアドベントカレンダー企画!!!!
こちらの記事はゆるめ2枠目での参加となります。
1枠目は満員御礼ですが、こちらはまだまだ空いてるので気が向いたリスナーはどんどん参加しちゃおう!
というわけで、本題。ドラムの音解説シリーズ、第5弾です!
本シリーズの過去記事をマガジンにまとめたので、読んだことのない方はぜひこちらから↓↓
第5弾とは言いましたが、今回は前回解説した「シンバル編」の延長となる内容です。
このシンバルの解説の中で、別の記事で説明しますと言った部分があったのを覚えているでしょうか?それが今回のテーマとなる"ライドシンバル"です。
ライドシンバルといえば・・・?そう。
『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』に登場するバンド"Leo/need"の書き下ろし曲「レグルス」で追加されたシンバルということでお馴染みですよね!!!!!!!!!!!!
プロセカの3DMVにおいて新しく追加された楽器・・・さぁ、ライドシンバルがどういうものなのか皆さん気になってきたんじゃないですか!?
ではさっそく解説いきましょう!
ライドシンバルってどんな見た目?
いつものドラムセットを、準備ー!!
この中で今回取り上げるライドシンバルは・・・
こちら!本日の主賓、ライドシンバルさんです。「ライド」という言い方でも通用すると思います。個人的にはDTMする上で一番の曲者なんじゃないかと思っています。理由は後ほど。
左にあるクラッシュシンバルやハイハットと似たような形状をしていますね。それもそのはず、ハイハット、クラッシュシンバルと同じでライドシンバルもまた「シンバル」の一種だからです。
これら2つのシンバル類と比べてとても大きいのがライドシンバルの特徴です。
前のシンバルと解説を分けたのは、このライドシンバルを叩いた時の音が(Garageband上で)2種類あるからです。これまでに紹介したシンバルとは明確に違う音があります。それを次の項目で説明します。
ライドシンバルってどんな音?
では、ライドシンバルの音を聴いてみましょう。
ライドシンバルは音が2種類あります。スネアやハイハットと比べると1つ少ないですね。もちろん関連はありません。
順を追って解説していきましょう。
①普通の音
は?という感じですが普通に叩いた時の音です。詳細は②でお話ししますが、上の音のうち前半で聴こえた音の方ですね。
(0:23~0:42、1:02~1:05、1:10~1:28、1:48~2:05、2:26~3:04)
有名曲でもっとも使っていることがわかりやすいのはこの曲かな、と思います。イントロ、Bメロ、サビ、アウトロで使われています。ハイハットやクラッシュシンバルの時のようなシャキシャキした音ではなく、チンチンチン・・・という擬音が合う音ですよね。
(0:36~0:58、1:16~1:32、2:06~2:52)
この曲はサビとサビ後の間奏、そしてラスサビの前にある落ちサビ部分です。サビと間奏は聴き取りにくいので特に聴いてほしいのは落ちサビ部分。時間だと2:06~2:20あたりでしょうか。
ここではジャズのようなセクションとなっていますが、このジャズにおいてはライドシンバルが非常によく使われるんです。前にハイハットの解説記事で「スネア、バスドラ、ハイハットを指して"3点"と呼ぶ」と書きましたが、ジャズにおいてはハイハットの代わりにライドシンバルが、何ならライドシンバルこそが中心として据えられています。それを考慮して、曲の途中でジャズっぽいことをする時にはライドシンバルが採用されることが多いですね。
②カップ音
上で参考に貼ったやつの後半の方です。
カップって何?という方のために説明します。カップとはシンバルの部位の名前です。
以下の画像をご覧ください。(画像はアクロミュージックスクール様のサイトよりお借りしています→https://acro-musicschool.com/blog/drum/drum001.html)
画像にあるように、中央の少し盛り上がっている部分が「カップ」です。ボウとエッジについてはカップと比べると部位名称で呼ばれる頻度はかなり少ないですね。
このカップを叩いた時に鳴る音がカップ音。盛り上がっていることと位置が中央なことで音の風合いが変わるんです。ついでに説明するなら、上に書いたライドシンバルの普通の音とは基本的にボウを叩いたときの音です。
ぶっちゃけボカロシーンにおいては普通の音よりも圧倒的にカップ音の採用率の方が高いです。
(1:38~1:49、2:56~3:15)
使用箇所は1サビ、ラスサビともにサビの後半部分ですね。個人的にはこの曲(ひいては次作のアンハッピーリフレイン)がボカロ曲にカップ音が異常に使用される元凶だと思っています。サビ後半に入るまではオープンハイハットを鳴らしているのですが、叩く部位を替えるだけでかなり印象が変わっているように聴こえませんか?
(0:13~0:18、1:15~1:26、2:21~2:32、2:55~3:04、3:12~3:15)
そのフォーマットとも言える展開を、wowakaさんに大きく影響を受けている日向電工さんもまた使用しています。この曲においてはさらに強調して、各間奏でライドシンバルが登場していますね。
(1:42~1:56、2:25~2:31、2:43~2:55)
こちらはバンドサウンドではありませんが、よく聴くと先ほどの2曲と同じような位置で鳴っていることがわかります。
カップ音はライドシンバルの中でも特に目立つ音になるので、ロックでない曲でも採用されることがままあります。
ライドシンバルとハイハットは似ている
さて、ここまでの説明でお気付きの方はいらっしゃるでしょうか・・・。
そう、ライドシンバルはハイハットと似たような使われ方をすることが多いんです!
先ほどのワールズエンド・ダンスホールやブリキノダンスを聴き直してみると、オープンハイハットを叩いていたところからタイミングはそのままに叩く楽器がライドシンバルに切り替わっているのがわかると思います。
他の切り口からも説明しましょう。この曲の0:22~0:37と1:27~1:42を聴いてみてください。前者はハイハットを、後者はライドシンバルを叩いているのですが、どちらも毎回同じ音ではなく異なる音が途中に混ざっているのがわかりますか?
ここでは、前者はクローズハットとオープンハットを、後者はライドシンバルの普通の音とカップ音をタイミングによって使い分けています。そう、どちらも複数種類の音が出せるのでこのように違う鳴らし方を織り交ぜることで曲のニュアンスを細かく色付けしているんです。
このように、ハイハットとライドシンバルは同じようなことを実現できるという意味でも似ていると言えるでしょう。
ハイハットとライドシンバルの違い
じゃあ逆に何が違うのか。音色が違うと言われたらそうなんですが、もう少し踏み込んでみましょう。
ひとつが叩いた時の響き方です。
(1:19~1:25、1:42~1:47、2:14~2:36、3:35~3:40)
特に注目してほしいのは1:19~1:25、3:35~3:40の部分です。かなり残響感が強く、シンバルにも似た鳴り方してると思いませんか?
比較として同じタイミングでクラッシュシンバルを叩いている例も出します。この曲の1:50~2:08がそうですね。
聴き比べてみると、クラッシュシンバルの方が攻撃力は高いものの、確かにこの方向性の音がライドシンバルで鳴っていることがわかるんじゃないかと思います。
このように、ライドシンバルはハイハットと同じ役割を担うこともでき、クラッシュシンバルに近い音も出すことができる、非常に汎用性の高い楽器なんです。
まとめ
ライドシンバル編、これにて終了です。
シンバル編と分けて書いた動機であるライドシンバル独自の特徴、伝わったでしょうか?
これだけ魅力があり、実際の演奏では使う場面も非常に多いライドシンバルですが、DTMにおいては比較的出番が控えめな楽器でもあります。
その理由はDAW付属のライドシンバルの音の種類が少ない&パワーが足りないがちだから!!ライドシンバルの多面的な魅力を示すには、普通の音とカップ音の2種類だけでは全く十分ではないんです。故に、パワーを底上げするためにカップ音を多用するといったアプローチが使われることが多いという経緯があります。
ドラム好きの自分としては、このDTMで脚光を浴びにくいライドシンバルが使われているだけで作品の好感度が上がる(ある意味)魔法の楽器です。ライドシンバル使用のボカロ曲、増えろ~~~~。
ライドシンバルの好例をボカロ曲から探すのに苦労したため前回からかなり期間が空いてしまいましたが、「ここがわからん」とか「もっと良い例あるだろ」といったものがありましたら、ぜひ教えていただけると助かります!