今日もまた。

君に奪われた音。あの日止んだ音はどこから流れていたのだろうか。アルバムに残る動画を再生しても聴こえない。君と行ったライブハウスからも聴こえない。大きくて重い音だった。でも今も聴こえてくるの似たような音が、なにもできない無力な自分を感じた時に。努力ではどうにもならないモノと対峙した時に。今までの自分を普通として、その普通を疑った時、脳は思考することを諦めあの音がどこからか奏で始められる。でもどこか違う。君に奪われた音は鮮やかだったが、今聴こえてくる音は黒光りしてとろみがかった色だ。君に奪われた音は楽しかった。今聴こえてくる音は潰されそうだ。どちらも激しくて勇気が出る音。
君が奪う前は新しいことに、ものおじせずに前を向いていたのに、今の自分は何かを終わらせる勇気にかられている。
もし君が今の音を聴いているのであれば
返してほしいな、あの時の音。

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