必然の雨
つめたい雨が降ったの
それだけで身動きが取れなくなったの
水たまりに靴の先が浸かって
かんたんに足先が濡れて
もういけない いけない
その場で蹲りたかった
びしょびしょのコンクリートに寝そべって
いやいやとじたばたしたかった
そんな大人にはなりたくないと言われて
なにも言葉がでなかった
私もこんな大人になんてなりたくなかった
なってしまった
とても自然な成り行きで
そうなることは必然だった
雨が降ったことは必然だった
つめたい指先で結露をなぞる
理想の笑みを窓にすべらす
目からなみだがこぼれた
口からよだれがたれた
輪郭から私がくずれた
空間を満たす雨の匂い
ぜんぶ必然
匂いに酔えば失って
失えばもつれて
もつれた先に
つめたい雨が降っていたの
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