キリコ
僕たちはいつも、消失点がいくつもあるような空間でないと、うまく愛し合うことができないね。
歩み寄ったと思えば、地面に伸びる相手の影を踏み、遊び、すこし荒らしてはすれ違っていく。
僕たちはさよならをしない。意図的にしないのではなく、たださよならを知らない。適切な距離がわからない。
心に数え切れないほどの消失点を携えて、それぞれの消失点を基準に愛を測る。
あなたは、僕たちがどこにも行けないことをほんとうは知っていて、僕がそれを知らないままでいるようにと、日々新たな消失点をつくっている、のを、僕は知っている。
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